新美 南吉

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うた時計

初級翻訳・うた時計 第1話

二月のある日のこと。野原の中のさびしい道を、十二、三歳くらいの少年と、皮のかばんを抱えた三十四、五歳の男の人が、同じ方向へ歩いていました。風ひとつないあたたかい日で、霜がとけて道は少しぬかるんでいました。枯れ草の上で影を落として遊んでいたカ...
小さい太郎の悲しみ

初級翻訳・小さい太郎の悲しみ 第2話

子どもとは遊ばん。子どもは子ども同士で遊ぶのが一番だぞ」 と、突き放すように言いました。 すると安雄さんが小さな太郎の方を見て、どうしようもないといった様子で、かすかに笑いました。 そしてすぐに、また自分の手元へと熱心に視線を戻しました。 ...
小さい太郎の悲しみ

初級翻訳・小さい太郎の悲しみ 第1話

一 お花畑から、大きな虫が一ぴき、ぶうんと音を立てて空へ飛び立ちました。 体が重いのか、ゆっくりと上がっていきます。 地面から一メートルほど上がると、今度は横へ飛びはじめました。 やっぱり体が重いので、のろのろとしています。 馬小屋の角の方...
新美 南吉

初級翻訳・飴だま 第1話

春のあたたかい日のことです。渡し舟に、ふたりの小さな子どもを連れたお母さんが乗りました。舟が出ようとしたその時です。「おーい、ちょっと待ってくれ!」土手の向こうから手を振りながら、ひとりの侍が走ってきて、そのまま舟に飛び乗りました。舟は静か...
新美 南吉

初級翻訳・花のき村と盗人たち 第4話

お前たちも、一緒にもう一度来てくれ」と言って、かしらは弟子たちを連れて、再び役人の家に入っていきました。「御老人」と、かしらは縁側に手をついて言いました。「何だね、しんみりとして。泣き上戸の奥の手でも出るかな? ははは」と老人は笑いました。...
新美 南吉

初級翻訳・花のき村と盗人たち 第3話

子供が来たら「お疲れさん」と言って、泥棒だと思われないように、気持ちよく子牛を返してやろうと考えていたのです。ところが、子供たちの声は村の方へ消えてしまいました。あの草鞋を履いた子供は、帰ってきませんでした。村の上にかかった月が、鏡職人が磨...
新美 南吉

初級翻訳・花のき村と盗人たち 第2話

だからおじいさんが教えてくれた竹藪に行ってみたら、本当に立派な笛竹が何百本も、すいすいと生えていたんです」「昔、竹の中から金の光が差したなんて話もあるが……どうだ、小判でも落ちていたか?」「それから、さらに川を下っていくと、小さな尼寺があり...
新美 南吉

初級翻訳・花のき村と盗人たち 第1話

一 むかしむかし、「花のき村」というところに、五人組の泥棒がやってきました。 若竹が空に向かって、ほっそりとした初々しい緑色の芽をのばしている初夏の昼下がり。松林では松蝉が「ジイジイジイイ」と鳴いていました。 泥棒たちは、北から川に沿ってや...
久助君の話

初級翻訳・久助君の話 第2話

しばらくの間、久助君は冗談のつもりでじゃれ合っていました。相手もそのつもりでやっていると思っていました。ところが、そのうちに久助君は一つの疑問にとらわれました。どうも相手は、本気になってやっているらしいのです。久助君を自分から引きはがそうと...
久助君の話

初級翻訳・久助君の話 第1話

久助君は、四年生から五年生に進級するとき、成績優秀で品行方正だという表彰状をもらってきました。初めてごほうびをもらったので、電気会社で集金をしているお父さんは大はりきり。それからは、「久助君が学校から帰ってきたら、すぐに一時間勉強すること」...
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