初級翻訳・花のき村と盗人たち 第4話

新美 南吉

お前たちも、一緒にもう一度来てくれ」と言って、かしらは弟子たちを連れて、再び役人の家に入っていきました。

「御老人」と、かしらは縁側に手をついて言いました。
「何だね、しんみりとして。泣き上戸の奥の手でも出るかな? ははは」と老人は笑いました。
「わしらは、実は盗人です。わしがかしらで、この者たちは弟子です」
それを聞くと、老人は目を丸くしました。
「いや、驚かれるのももっともです。わしはこんなことを白状するつもりはありませんでした。しかし、御老人が心のよい方で、わしらを真っ当な人間のように信じてくださるのを見ては、もう御老人を騙していることができなくなりました」

そう言って盗人のかしらは、これまでしてきた悪いことをすべて白状しました。そして最後に、
「ですが、この弟子たちは昨日わしの仲間になったばかりで、まだ何も悪いことはしておりません。どうかお慈悲で、彼らだけは許してやってください」と頼みました。

次の朝、花のき村から、釜師と錠前屋と大工と角兵ヱ獅子の四人が、それぞれ別の方向へ出ていきました。四人はうつむき加減で歩いていきました。彼らはかしらのことを考えていました。とてもいいかしらだったと思っていました。いいかしらだったからこそ、最後に言われた「もう二度と盗人にはなるな」という言葉を、必ず守らなければならないと心に誓っていました。角兵ヱは川のふちの草の中から笛を拾い上げ、ヒャラヒャラと音を鳴らしながら歩いていきました。

こうして五人の盗人は心を入れ替えましたが、そのきっかけとなったあの子供は、いったい誰だったのでしょう。花のき村の人々は、村を盗人の災難から救ってくれたその子供を探してみましたが、結局誰だか分からず、最後にはこう決まりました。
――あれは、土橋のたもとに昔から立っている、小さなお地蔵さんだったのだろう。草鞋を履いていたというのが、その証拠だということになりました。なぜなら、どういうわけかこのお地蔵さまには、村の人たちがよく草鞋(わらじ)をお供えするので、ちょうどその日も、お地蔵さまの足もとには新しい小さな草鞋が置かれていたからなのです。
――というわけでした。

お地蔵さまが草鞋をはいて歩き回ったなんて、とても不思議な話ですが、この広い世の中には、これくらいの不思議があってもいいはずです。
それに、これはもうずっと昔のお話なのですから、細かいことはどうだっていいことなのです。

でも、もしこのお話が本当にあったことだとしたら、それは「花のき村」の人たちがみんな心の優しい人たちだったからこそ、お地蔵さまが盗人から村を守ってくださったのでしょう。
もしそうなら、村というものは、やっぱり心の優しい人たちが住むべき場所だということにもなるのであります。

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