もちろんうさぎは、今どなったのはかけっこをしているあいての、あのはりねずみだと思いこんでいました。なぜって、はりねずみというものは、だれでも知っているとおり、おかみさんも旦那さんとそっくりだからです。
(こいつは、どうもおかしいぞ……)と、うさぎは思いました。
そこで、
「もういっぺんかけっこだ! それっ、まわれ右!」
とさけぶと同時に、またもやあらしのようにかけだしました。
うさぎの耳は、頭のところでビュービューと風になびきました。
けれども、はりねずみのおかみさんは、そのままそこにじっと立っていました。
うさぎは畑の上のほうへと、いっさんに走っていきました。
するとこんどは、はりねずみのご主人のほうが、
「おれはもう来ているぞ!」
と、どなりました。
うさぎはかんかんに怒って、
「もういっぺんやるぞ! まわれ右だ!」とわめきました。
「ああ、いいとも! お前の気がすむまで、いくらでもやってやるぜ」
とはりねずみは答えました。
そこからうさぎは、なんと七十三回もかけっこをしました。
そのたびに、はりねずみが勝ちました。
うさぎが上へいったり下へいったりするたびに、はりねずみか、はりねずみのおかみさんのどちらかが、「おれはもう来ているぞ!」とどなったのです。
けれども、七十四回目には、とうとううさぎも最後まで走りきることができませんでした。
畑の真ん中で、ばったりと倒れてしまったのです。
そして、首からは血が流れ出て、それきりもう動けなくなってしまいました。
はりねずみは、勝負に勝ってもらった金貨とお酒のびんを手に取りました。
それから、おかみさんをうねの中から呼びだしました。
ふたりはいっしょに大喜びで、家路についたのでした。ふたりとも、まだ死んでいなければ、今も生きているはずですよ。
ブクステフードの原っぱで、はりねずみとうさぎは、こんなかけっこをしたんです。
そして、このときからというもの、ブクステフードのはりねずみと、かけっこをしようなんて気をおこすうさぎは、一ぴきもいなくなりました。
このおはなしをきいて、ためになることがありますね。
まずだい一に、たとえ自分が、どんなにえらいとおもっても、うぬぼれて、ほかのものをばかにしてはいけない、ということです。
あいてが、はりねずみみたいなものでもですよ。
そのつぎには、およめさんをもらうなら、自分とおなじ身ぶんで、みたところも、自分とそっくりの人をもらうといい、ということです。
ですから、自分がはりねずみなら、およめさんも、やっぱりはりねずみがいい、といったようなことです。
初級翻訳・うさぎと はりねずみ 第2話
うさぎと はりねずみ
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