初級翻訳・うまれて 来る 雀達 第1話

うまれて 来る 雀達

そのスズメは、足が不自由でした。
やっと飛べるようになったばかりの頃、いたずら好きな男の子につかまって、片足をひもでしっかりと縛られてしまったため、か弱い足が傷ついてしまったのです。
その足の不自由なスズメが、麦畑が黄色く色づく頃、あるお家の軒下に3つの卵を産みました。
スズメはうれしくてうれしくて、3つの卵を胸の下にじっと抱きしめていました。
忙しそうに蜜蜂が飛んできました。
「スズメさん、こんにちは」と、蜜蜂は軒下の巣をのぞき込んで言いました。
「私、卵を産んだの」
と、スズメは言って、胸の下から卵を少し押し出してみせました。
「ほほう、こいつはすばらしい。卵がかえったら、お祝いに蜜柑からとったとっておきの蜜をあげようかな」と、蜜蜂は言いました。
それからふと、
「あなたのように足の悪い子(※)が生まれなければいいがなあ」と、何気なくつぶやきました。
スズメはその日から、とても心配しはじめました。
「私みたいな足の不自由な子どもが生まれてきたら、どうしよう」と、スズメは長いため息をつくのでした。
「私が『足が悪い、足が悪い』とスズメの仲間から仲間外れにされたように、この子どもたちもみんなにいじめられたらどうしよう……」
スズメがあまりに心配しすぎたので、体は弱り、激しいお昼の日差しには目がクラクラするようになってしまいました。
ある朝、3つの卵の殻が中から割れて、3羽の小さなヒナ(※)が現れました。
けれど、まだ羽もなく、目も開いていない小さな赤ん坊なので、足が不自由かどうかはわかりませんでした。
それでも、そのうち羽が生え、クチバシもしっかりしてきて、子スズメたちは飛べるようになりました。
そこで、お母さんスズメは子どもたちを1羽ずつ、軒下から地面へと飛ばして練習させました。
地面に着くと、子スズメたちは足をひきずることもなく、チョコチョコとかわいく歩き回ってエサを拾いました。
お母さんスズメは巣の中からそれを見て、どんなにうれしかったことでしょう。
それは、畑の麦が刈り取られたばかりの、明るいお昼のことでした。

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