初級翻訳・うみぼうずと おひめさま 第5話

うみぼうずと おひめさま

罪のないクジラや大人しいオットセイをいじめるばかりか、自分たちは何でもできると威張っている。雨を降らせずに、電気も水道も止めてしまったら、どんなに面白いだろうなぁ。」
と、うみぼうずは笑いました。
「そうとも、人間ほど自分勝手なものはない。あいつらがたまに海へ来ると、お線香を立てて追い返したりするからな。」
と、ウミヘビが青く光る体をくねらせながら言いました。
「中には分からない人もいますが、いい人もたくさんいます。私たちが神様と呼ばれるなら、困っている人たちを黙って見ているわけにはいかないでしょう。」
とおひめさまが言われると、うみぼうずは頭を垂れて聞いていました。
「あなたがみんなの願いを聞いてくださるなら、私たちはあなたを海の王さまとあがめます。」」
とおひめさまは言いました。
「ほう、海の王さまとな。」
とうれしそうにニコッとうなずいて、うみぼうずは立ち上がりました。
そして、家来たちを呼び集めました。
たちまちすさまじい嵐が吹き荒れ、真っ黒な雲がぐるぐると巻き起こりました。
ピカピカと稲光を走らせ、ゴロゴロと雷鳴をとどろかせながら、うみぼうずは陸地めがけて進軍していきました。
あっという間に、村も町もすっぽりと雨雲に包み込まれてしまいました。
「やったあ、夕立だぞ、夕立だぞ!」
とはるか下のほうで、人々が喜びの声をあげて叫んでいました。

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