まもなくして、そこへ、赤や紫や青の小さな旗を屋台に立てた、すっかり病気が治ったおじいさんが連れてこられました。
おじいさんは、一目でカラスの姿を見ると、うれしさのあまり涙を流して喜びました。
カラスもかごの中でしきりに頭をパコパコと動かし、おじいさんを見てとてもなつかしがりました。
おじいさんがチャルメラを吹いていないのにもかかわらず、カラスは自分で唄をうたってみんなに聞かせたのです。
この様子を見て、工場の主人は深く心を動かされました。
「私も子どものころは、静かな田舎で育ったのだ。あのころの時代を思い出すと、なにからなにまで懐かしい。年寄りは、こんな空気の悪い街の中に暮らしていないで、田舎へ帰ったほうがいい」
と言って、主人は旅費とお金をカラスといっしょにおじいさんにプレゼントしたのでした。
おじいさんもカラスも、飛び上がるほど喜びました。
それから何日かが過ぎたあと、ふたたび田舎の街道におじいさんの姿が現れました。そしてカラスは自由に放たれ、木の枝に止まって元気よく唄をうたっていたのでした。
初級翻訳・からすの唄うたい 第3話
からすの唄うたい
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