初級翻訳・金色のボタン 第2話

小川 未明

」と、ゆり子ちゃんは、思って、目をぱっちりあけて見ました。
ゆり子ちゃんは、はっとしたのです。
おじさんの洋服の、金色のボタンが、いつか往来で、自分の拾ったのと同じだからです。
「まあ、ほんとうに不思議だわ。おんなじボタンだわ。」
ゆり子ちゃんは、もう二度と見られないと思ったのを見たので、飛び上がるようなうれしい気がしました。
さっそくお母さんに、なんのボタンかと聞いたのです。
「あのおじさんは、鉄道へつとめていらっしゃるのよ。あのボタンのしるしは、車の輪ですよ。」
「菊の花じゃないの。」
「いいえ、車の輪なんです。」

ゆり子ちゃんは、鉄道のおじさんが、おばあさんをしんせつにしてやったのに感心しました。
このことを正ちゃんにあったとき、知らしてやろうと思いました。
正ちゃんは、まだ、鉄道のおじさんの洋服のボタンを見たことがないと思いました。
清ちゃんも、光ちゃんも、まだ知っていなかったのでしょう。
ゆり子ちゃんは、みんなに、今日の話をして、教えてあげようと思いました。
「鉄道につとめているおじさんが、道で落としたんだわ。あのボタンを停車場へ持っていって、とどけてあげればよかった。」と、ゆり子ちゃんは思ったのです。

そのうち電車が、自分たちの降りる駅へついたので、ゆり子ちゃんは、お母さんに、手を引かれて降りました。
この日、ゆり子ちゃんは、いろいろのいいことを知ったのでありました。

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