ほら いつも ぐっすり ねむってるからね、 たまに ちょっと おきたりするだけで。眠っているあいだ、やよいウサギにとってもぼうしやにとっても、ヤマネはとても便利なんです。だって頭がまるくてふかふかだから、枕にぴったりなんですよ。ひじをついても、もたれかかっても、気兼ねなくおしゃべりしても大丈夫。ふつうは頭を枕代わりにされるなんて嫌ですよね? でもヤマネみたいにぐっすり眠っていたら、気づくはずもありません。だから、きっと気にもしていないんでしょうね。
残念ながら、アリスは飲み物も食べ物も少しも分けてもらえませんでした。でもしばらくすると、「お茶もバタートーストもご自由にどうぞ」ということになりました。ただ、いったいどの席で食べたんでしょうね。そもそもお皿自体がないんですから。お皿が手元にあるのはぼうしやだけ。いや、きっとやよいウサギも持っていたかもしれませんね。だって、みんなで順番に席を移動するのがこのへんてこなティーパーティーの決まりごとでしたから。次にアリスが座ることになるのはやよいウサギの席ですし、そのときウサギが自分の席のお皿にミルク壺をひっくり返してしまったことに気づいたようですから。きっとお皿とミルク壺は、大きなティーポットの裏に隠れていたんでしょう。
このぼうしやは、いつも売り物の帽子を持ち歩いていました。頭にのっかっているのも、そもそも売り物です。ほら、値段がついているでしょう?――「10」と「6」――これは「銀貨10枚、銅貨6枚」という意味。こんなの、変な売り方だと思いませんか? あと、きれいなネクタイをつけているでしょう? ほら、いい感じの黄色いネクタイに、赤の水玉模様。そいつが立ち上がって、アリスにひとこと言いました。
「髪を切りたまえ!」
余計なお世話、ですよね? アリスの髪なんて切る必要があるんでしょうか? とってもかわいらしい長さだと――ちょうどいい長さだと、私は思うんですけどね。
11 クイーンのお庭
これが、前に話したきれいなお庭の一角です。ほら、アリスは最後にどうにか小さくなれたから、あの小さなドアも通り抜けられたんですよ。たぶん、二本足で立ったネズミくらいの背丈ですね。なので、もちろんこれは小さなバラの木で、こいつらは小さな庭師たち。なんておもしろい小人さんたちでしょう! いや、人間なのかな? たぶん生きているトランプなんじゃないでしょうか。頭と手足がついているから、小人みたいに見えるんですね。
で、赤いペンキで何をしているのか、かな? ということで、アリスにわけを話してくれました。ハートのクイーンがそのあたりに赤いバラの木がほしいと言ったらしいのですが、それなのにかわいそうなこの庭師くんたちは大間違いをしでかして、代わりに白いバラを植えてしまったのだそうです。それで、もうびくびくしているんです。だってクイーンさまはきっと腹を立てて、みんなの首をちょんぎれって言うに決まっていますからね!
ものすごく怖い女王さまで、誰かに腹を立てると決まってそう言うんです。
「首をはねよ!」
実際には、誰も誰かの首をちょんぎったりはしないんですけどね。だって、言うことなんて誰も聞きやしませんから。でも、いつもそんなふうに言うんです。さて、追い詰められたこの庭師たちはどうしてみたのか、わかりますか? バラを赤く塗ってみたんです。大慌てで、クイーンが来る前にやっちゃえってね。そのあとだったら、たぶんクイーンももともと白い木だったなんてわからないはずですから。そうなれば、たぶん小人たちも首をちょんぎられないで済むというわけです!
ほら、木に5輪の大きな白バラがあるでしょう――これをみんな赤くするのはけっこう大変ですよ! まだ3つと半分しか終わっていないし、ほら、それにせめて無駄話で手を止めたりしなきゃいいのに――頑張りましょうよ、小人さん、頑張って! そうしないと終わらないうちにクイーンが来ちゃいますよ! 木に白バラがあるって知られたら、どうなると思います? きっと「首をはねよ!」って言われちゃいますよ。もう頑張って、おまえら!急いで、急いで!
クイーンが来ちゃった!怒ってないかな?ああ、かわいそうなアリスちゃん!
12 エビのフォークダンス
ゲートボールはやったことある?いろんな色の大きな木のボールがあってね、それを転がして、針金のゲートの間を通すんだ。
長い取っ手がついた大きな木槌があって、それでボールをこづいて転がすんだよ。
さあて、挿絵を見てごらん。
ほら、アリスがゲートボールをやってるところだよ。
「でもできてないよ、なんかよくわかんない大きいの抱えてるし!ねえ、あれじゃあ木槌持てないよ?」
うん、あのね、あのよくわかんない大きいの(本当の名前はフラミンゴなんだけど)、あれが槌(つち)なんだよ!このゲートボールでは、ボールは生きたハリネズミ――知ってる?ハリネズミってボールみたいにまん丸になれるんだよ――で、あと槌が生きたフラミンゴってわけ!
それでアリスは、ただいまちょっとお休み中。
久しぶりのお友達、公爵夫人とお話しするためにね。
もちろんなくさないよう、槌をわきに抱えててね。
「でもお友達じゃないし、あんなやつ!赤ちゃんをブタって言うし、アリスの首を叩き切れって言ったし!」
うん、あれはほんの冗談。
アリスの首を叩き切れだなんて。
赤ちゃんは――まあ、本当にブタだったしね!あの笑顔を見てごらんよ!ねえ、あの口、アリスの頭よりでっかいよね。
でもあれで、見えてるのは半分だからね!
でも、ちょっとだけお話ししたところで、やってきたクイーンがアリスを連れてっちゃってね。
グリフォンとウミガメフーミに会わせるんだって。
グリフォンが何か知らないの?えっ!じゃあ何を知ってるの?こいつは問題だ。
でもでも、挿絵をごらん。
赤い頭、赤い爪に緑のうろこ、この生き物がグリフォン。
これでわかったね。
それからその隣がウミガメフーミ。
頭が子ウシなんだ。
だってウミガメフーミのスープには、子ウシの頭を使うからね。
これでわかったね。
「でもこいつら何してんの、アリスのまわりであんなにぐるぐる?」
えっ、もちろんわかってると思ってた!エビのフォークダンスを踊ってるんだよ。
グリフォンとウミガメフーミに次会ったとき、お行儀よく聞いてみたら、きっとまた踊ってくれるよ。
ただ、あんまり近づかせないでね。
かわいそうにアリスみたいに、つま先を踏まれちゃうから。
13 だあれがタルトを盗んだの?
ハートのクイーンがタルトを作る話、聞いたことある?そのあとどうなったか言える?
「うん、当たり前!歌が全部教えてくれるじゃない!
ハートのクイーンがタルトを作る
夏のさなか、一日かけて
ハートのジャックがタルトを盗む
隠れてこっそり、ひとりじめ!」
うん、そうだね、歌はそうなる。
ところが歌がこうだからって、ジャックにお仕置きするなんてなしですよ。
まず悪いやつとして捕まえなきゃいけなくて、手首に鎖をつけて、ハートのキングの前につれてって、ちゃんとしたお裁きをしなきゃね。
さあて、この本の初めにある大きな挿絵を見れば、このお裁きがどんなに大ごとかわかるよね。
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