クリスマスイヴの夜、どこのおうちも、
人間もネズミも、すっぽり静まり返っているよ。
暖炉の下には、靴下がぶらりんちょ。
サンタさんがやって来るのを、今か今かと待ち構えているんだ。
子どもたちはベッドでぐっすり、すやすや。
おいしいお菓子の夢を見ている真っ最中。
妻はスカーフを、ぼくはナイトキャップをかぶって、
さあ眠ろうとベッドに入った、まさにそのとき。
外から何やら音が聞こえてきたから、
ぼくは飛び起きて、何だろうって確かめに行ったんだ。
ものすごい速さで窓に駆け寄り、
鍵をパチンと外して、ガラガラッと窓を開けた。
積もったばかりの雪が、お月さまの光に照らされて、
お昼みたいに真っ白に輝いているよ。
びっくりして外を見ると、なんだか見えてきたんだ。
小さなそりと、ちっちゃなトナカイがなんと8頭も!
乗っているおじさんも、元気いっぱいで大はりきり。
「うわ、きっとあの人がサンタクロースだ!」ってすぐにわかったよ。
空を飛んでいくトナカイは、鳥よりもずーっと速くて、
サンタさんは口笛をぴーっと吹いて、みんなの名前を大きな声で呼んだんだ。
「おい! ダッシャー! ダンサー! プランサー! ヴィクセン!
それ! コメット! キューピッド! ダンダー! ブリクセム!
屋根を駆け上がれ! 壁をよじ登れ!
行くぞ、行くぞ、お空へ行くぞ!」
まるで、激しい嵐に巻き上げられた落ち葉みたいに、
障害物にぶつかる手前でふわっと真上に飛び上がって、
トナカイたちは屋根の上にたどり着いた。
そりにはおもちゃがてんこ盛りで、サンタさんもちゃっかり乗っている。
するとすぐに、屋根の上からドタバタと音がして、
トナカイのひづめが、ぱからん、ぱからん、と鳴り響いた。
あわてて頭をひっこめて、くるっと振り返ってみたら……
なんと、ドスン!とサンタさんが煙突から落ちてきたんだ!
上から下まで、ふわっふわの毛皮の服。
どこもかしこも、暖炉の灰とすすでまっ黒け。
おもちゃがぎっしり詰まった大きな袋を、どさりと床におろして、
サンタさんは大事そうにその中をあけたんだ。
目はキラキラ輝いて、えくぼはにっこり。
バラ色のほっぺに、お鼻はまるでまっ赤なサクランボ。
おどけた口は、キュッと反った弓のかたちらしく見えて、
あおひげは雪みたいにまっ白だったよ。
口にくわえたパイプから出るまっ白な煙が、
頭の上でぐるぐると輪っかを作っている。
まっかなお顔に、でっぷりとしたおなか。
「ほっほっほ!」って大きく笑えば、大きなおなかもぷるぷる揺れる。
ぽっちゃりした、とってもユーモアのあるおじさん。
それを見たら、ぼくも思わずクスッと笑っちゃった。
ぼくたちが怖がっていないってわかると、
サンタさんは首をコテンとかしげて、ウィンクをしてくれたんだ。
それから、一言も話をしないで、そのままテキパキと、
暖炉の靴下にプレゼントをぽんぽんと入れて、くるりと向きを変えた。
人差し指を自分の口に「しっ」とあてて、こくりと頷くと、
なんと、そのまま煙突をスルスルと登っていったんだ。
サンタさんは自分のそりに飛び乗ると、鋭く口笛を吹いた。
トナカイたちは勢いよく走り出し、ふわふわと夜空の向こうへ飛んでいく。
でも、暗闇に消えてしまうその直前、遠くからこんな声が聞こえてきたんだ。
「メリークリスマス! みんな、良い子でおやすみ!」ってね。
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