お薬係の小人も付け薬を飲ませました。なんとか立ち直ったババールは、お気持ちかたじけないと丁寧にお礼を言ってから、サンタさんと美味しいスープを一緒に食べました。
サンタさんのお宅を案内されている間、ババールはとにかくひっきりなしに、はるばるやってきた理由を話します。それは、お願いをするためでした。人間の子供たちと同じように、象の国にも来て、うちの子供たちにもおもちゃを配ってほしいのだと。サンタのおじさんはこの願いに心を打たれたのですが……。
(※案内でわかったこと:大きな部屋が、普段サンタさんがいるところ。右上にみえる穴からババールはここへ落ちてきた。それからおもちゃの部屋がたくさんある。お人形の部屋、ロボットの部屋、なりきりグッズの部屋、列車の部屋、組み立てブロックの部屋、ぬいぐるみの部屋、スポーツ用品の部屋などなど……(どれもきっちり袋に入っています)。あとは小人たちの寝床に、エレベーター、マシンルーム。サンタさんはババールに断ります。クリスマスイヴの夜はもう忙しすぎてくたくたで、どうしても象の国には行けないのだと。さらに言葉を続けて……)「世界の子供たちにおもちゃを配る。そのいつもの仕事でさえ、去年はいっぱいいっぱいでね」
そこでババールは言いました。
「これはこれは、サンタのおじさん、よくわかりました。でしたらむしろ、それまでこの秘密基地を離れて、外の空気を吸って、しっかりお休みしてはいかがでしょう。今すぐにでも象の国へまいりましょう。日向ぼっこをするのです。たっぷり休めば、クリスマスには元気いっぱいですぞ」
この申し出に心が動かされ、サンタのおじさんは小人たちに、ちゃんと留守番をするように言い付けました。そうしてババールとデュックを連れて、空飛ぶマシン「PN1号」に乗り込み、出発です。
到着しました。サンタのおじさんが景色に見とれていると、象という象が歓迎しようと、あちこちから集まってきます。ポム、フロール、アレクサンドルも大はしゃぎ。よく見えるよう、アルチュールはお家の屋根へ、ゼフィルは木の上へ登っています。騒ぎがひと段落すると、お妃のセレストがサンタのおじさんに、3人の子供たちとアルチュール、ゼフィルを引き合わせました。
「おお、手紙の主は君たちか。会えてうれしい。素晴らしいクリスマスを約束しよう」とサンタさんは言います。
繰り返し、サンタさんはシマウマでお散歩に出かけるので、ババールはそれに自転車でご一緒しました。それだけでなく、サンタさんは毎日2時間、楽しく日向ぼっこをします。これはカプロッス先生のおすすめです。ハンモックに寝転がっていると、ときどきポムやフロール、あとアレクサンドルがのぞきに来るのですが、みんな静かにして、決して邪魔はしませんでした。
サンタのおじさんはある日、ババールに言います。
「わが友よ、いろいろしてくれてありがとう。もうすぐクリスマスだ。もう行かねばならん。待っている人間の子供たちにおもちゃを配らんと。とはいえ、子象さんたちと交わした約束も忘れとらんぞ。この袋に何が入っていると思う? 本物のサンタ服だ、おまえさんサイズのな! 空も飛べるようになる魔法の服に、いつでもおもちゃがいっぱいのカゴ。あんたさんはクリスマスイヴの夜、象の国でわしの代わりをするんじゃ。わしもやることが終わったら、きっと戻ってきて、あんたさんの子供たちに素敵なクリスマスツリーを届けてやるぞい」
クリスマスイヴの夜、ババールはサンタさんに言われた通りにしました。服とひげを身につけると、たちまち体が軽くなって、飛べるようになったのがわかります。
「本当に驚いた。これならおもちゃも全部配りきれる」
夜が明けるまでに終わらせようと、大わらわ。そうしてクリスマスの朝。どのお家でも目を覚ました子象たちは、みんな大喜びでした! お城でも、お妃のセレストがそれぞれの部屋をちらっとのぞくと、ポムは靴下をさかさまにし、フロールはお人形をあやし、アレクサンドルはベッドで飛び跳ねながら大声を上げていました。
「とっても素敵なクリスマス! クリスマスぅ!」
アルチュール、ゼフィル、ポム、フロール、アレクサンドル……みんな、こんなにキラキラ輝く、それこそ美しいもみの木を、生まれて初めて目にしました。サンタのおじさんが約束通りに戻ってきて、この素敵なもみの木を届けてくれたのです。おかげさまで、家族の団らんもとってもうまくいきました。
あくる日には、サンタのおじさんもまたマシンで飛び立って、自分の秘密基地へ、小人さんたちのところへ戻ります。大きな湖のほとりで、ババールとセレスト、アルチュールにゼフィル、あと3人の子供たちがそろってハンカチを振ります。友達になったサンタさんが帰っていくのはちょっと寂しいけれど、うれしいことに、毎年象の国へお休みに来ると約束してくれましたとさ。こうして、サンタのおじさんは、また空飛ぶマシンに乗って、自分の秘密基地へと帰っていきました。
サンタのおじさんは、プロペラを回して空高く舞い上がると、象の国のみんなに向かって、手を大きく振りました。ババールも、セレスト妃も、ポムも、フロールも、アレクサンドルも、アルチュールも、ゼフィルも、みんなで声を合わせて「さようなら!」と叫びました。
サンタのおじさんは、雲の彼方へ小さくなっていき、やがて見えなくなりました。
ババールは、空を見上げながら言いました。
「本当に素晴らしい友達ができたものだ。来年のクリスマスが、今から待ち遠しくてたまらないよ」
象の国のみんなは、サンタのおじさんからもらったプレゼントを抱きしめながら、幸せな気持ちでいっぱいでした。こうして、象の国には、いつまでも温かくて穏やかなクリスマスの余韻が漂っていました。
それは、忘れられないほど素敵な、魔法のような冬の思い出となったのです。
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