サンタクロースがどこに住んでいるか、知っていますか?
実は、ニコニコ谷という場所に住んでいるんです。
サンタクロースはそこで、たくさんの妖精たちと一緒に暮らしています。
ひとくちに妖精といっても、ニコニコ谷にはいろいろな種類の妖精がいるので、順番に紹介していきましょう。
まずはリルです。リルは花の妖精で、自分が担当する花のお世話をしています。花は根っこから栄養をとるのですが、リルは花がちゃんとごはんを食べられるように土の中に栄養を用意したり、花びらを染めるための色を作ったりするのが仕事です。シルクハットをかぶり、スーツにネクタイという、いつもおしゃれな格好をしています。
次はヌックです。ヌックは木の妖精で、普段は木のお世話をしています。森の若い木に水をやって立派に育てるのが仕事ですが、これがとても大変な作業なので、ヌックたちはみんな腰が曲がってしまっているそうです。さらに、世界中の動物たちを見守るという役割も持っています。ヌックの顔や体は毛でびっしり覆われていて、遠くから見るともじゃもじゃの塊のように見えます。
それから、ピクシーという妖精もいます。ピクシーは、ただでさえ小さい妖精たちの中でも一番小さい妖精です。緑色の帽子と服を身につけていて、踊りがとても上手なうえに手先も器用なので、どんな仕事でもこなせます。
私たちに一番なじみ深いのはフェアリーでしょう。背中に羽が生えている、あの妖精のことです。金色の髪を肩まで垂らし、薄い布で作ったスカートをはいています。フェアリーの仕事は人間を守ることですから、私たちがよく知っているのも当然ですね。
他にも、土の妖精であるノームや、小さな女の子の妖精であるニンフたちが近くの森に住んでいます。
さて、ニコニコ谷の話に戻りましょう。この谷には大きくて広いお城があり、サンタクロースはそこで世界中の子どもたちのためにクリスマスプレゼントを作っています。おもちゃ工場で働くのは、数多くの妖精の中から選りすぐられた精鋭たちで、一年の終わりから次の年のクリスマスまで、休みなく働き続けています。
そうそう、どうしてこの谷が「ニコニコ谷」と呼ばれているのか、説明するのを忘れていましたね。それは、この谷にあるもの、生きているものすべてが、楽しく幸せに過ごしているからです。
妖精たちだけではありません。小川はいつもはしゃいでいて、岸の間でピチャピチャと跳ねてはくすくす笑っています。風は木々の間をすり抜けながら楽しそうに口笛を吹き、お日さまの光はやわらかい草の上で軽やかに踊っています。スミレなどの花々も、草の家の中から空を見上げてにっこりほほえんでいます。
ニコニコするためには幸せでなければなりません。そして幸せであるためには、楽しい気持ちで胸がいっぱいである必要があります。そういうわけで、サンタクロースの住むニコニコ谷には、楽しいことがあふれかえっているのです。
では、ニコニコ谷を空から見下ろしてみましょう。片方には大きなバージーの森が広がっています。反対側には「悪魔の洞窟」がある険しい山々がそびえ立っています。その二つの間に挟まれて、ニコニコ谷は楽しく平和にやっているわけです。
さて、ここから物語が始まります。
皆さん、サンタクロースのおじさんは知っていますね? 世界中の子どもたちを幸せにしようと毎日頑張っているサンタクロースを悪く思う人なんて、この地球上にはいないはずでした。何千年もの間、サンタクロースはどこへ行ってもみんなの気持ちを考え、みんなのために尽くし、みんなもそれに感謝して応えてきたのですから。
しかし、山の洞窟に住む悪魔たちにとっては、サンタクロースは憎たらしくてたまらない存在でした。その憎しみは、日を追うごとに強まっていきました。子どもたちを幸せにするという、ただその一点が、彼らには許せなかったのです。
悪魔の洞窟は、全部で五つあります。
大きな道を進んでいくと、まず一つ目の洞窟に行き当たります。その洞窟があるのはちょうど山のふもと。入り口はきれいな扇形で、いろいろな飾りつけがされています。その中には「ジコチュー」という悪魔が住んでいます。
その奥へ進むと、もう一つ洞窟があり、そこには「ネタマシー」という悪魔が住んでいるのです。その次にはニクシミーという悪魔の洞窟があり、そこを越えると、ミンナテキーのすみかがあります。
ミンナテキーの洞窟は、山の真ん中、奥深くにあるので、真っ暗でとても危ない場所です。
これより先はどうなっているのか、誰にも分かりません。
そこには奈落の底に通じている穴があり、飛び込むと死んでしまうという人もいますが、ひょっとすると、それは本当の話かもしれません。
でも、いま言った四つの洞窟には、狭い小さなトンネルがついていて、そこを通ると、五つ目の洞窟に行くことができます。
そこはこぢんまりとした小さな部屋で、ハンセーという悪魔が住んでいます。
ここに向かうトンネルは、本当なら岩でごつごつしているはずなのですが、たくさんの人に踏まれて、地面が真っ平らになっているところを見ると、相当多くの人があの悪魔たちの洞窟から逃げて、このハンセーの住まいにトンネルを通ってやってきたのでしょう。
しかも、なんとハンセーはとてもいい人なんだそうで、来た人がもう一度お日さまの光を浴びて、美味しい空気が吸えるように、外へ続くドアを喜んで開けてくれるんだそうです。
話をもとに戻しますと、この洞窟の悪魔たちは、みんなそれぞれの理由でサンタクロースのおじさんが嫌いでしたから、ある日、このことについてみんなで話し合うことにしました。
最初にジコチューがこう言いました。
「だんだんオレのところに来るやつが少なくなってきてるんだよ。
それというのも、あのサンタクロースが子どもたちにクリスマスプレゼントなんてものを配りやがるからだ。
そのせいで、子どもは幸せになるし、サンタクロース並みに心が広くなってきてやがる。
そのおかげで、ジコチューなやつが減って、オレの洞窟はさっぱりだ。」
するとネタマシーがうなずきました。
「そうなんだ、オレも困ってるんだよ。
あの小さいやつらはサンタクロースのおかげで、すっかり心が満たされちまって、甘い言葉をささやいても、ちっとも人を妬みやしないんだ。」
ニクシミーも声を張り上げました。
「そうなったら、オレだって迷惑するんだよ! ジコチューやネタマシーのところに子どもが来ないとなると、オレの洞窟はその奥にあるんだから、オレのところにも子どもが来ないってことになる!」
ミンナテキーもそれにつづいて、
「なるほど、お前のところに来ないとなると、さらにオレさまのところにも来なくなるわけだな。」
最後にハンセーが、
「ワタシにしてみても、キミらのところに子どもが来ないなら、ワタシのところへ来る必要もなくなる。
ということは、キミらと同じように、ワタシも子どもからは遠い存在になるってことか。」
そのとき、突然ネタマシーが叫びました。
「これもみんな、あのサンタクロースってやつのせいだ! あいつはオレたちのやることを今にもぶち壊してしまうぞ! すぐに何か手を打たなきゃ。」
ネタマシーの意見に、みんなうなずきました。
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