私はこの人のあとをついて歩いて、毎日、利息として三十円ずつ受け取る商売をしているだけなんです」
そう言いながら、自分の前にいる真っ赤なオシャレなばけものを指さしました。
すると、その赤色のオシャレなばけものが言いました。
「その通りです。私はこの人に毎日三十円ずつ払っています。払っても払っても、もとの借金は増えるばかり。それはともかく、私もまた、この前にいるお方に百四十年前に大変な貸しがあるんです。それを元手にして、毎日この人について歩いて、実は五十円ずつもらっているんですよ」「マッチを売る罪なんて、私はちっとも知りませんよ」と言いながら、その人は自分の前にいる、青い色をしたオシャレなばけものを指さしました。
すると、その青いばけものが言いました。
「その通りです。私は毎日五十円ずつ払っています。でも、私はこの前にいるお方に、二百年も前にたくさんのお金を貸したことがあるんです。だから、毎日あとをついて歩いて、百円ずつもらっているだけなんですよ」
指をさされた、その前にいる黄色いオシャレなばけものが言いました。
「そうだ、その通りだ。そして私は、この前にいるお方に、昔すごくたくさんのお金を貸したことがあるんだ。だから毎日ついて歩いて、三百円ずつもらっているんだよ」
「ふむ。だんだんわかってきたぞ。あとはもう、何年前に貸したかということと、今いくらもらっているか、それだけを言いなさい」とネネムが言いました。
「二百五十年で、五百円!」「三百年で、千円!」「三百一年で、千七円!」「三百二年で、千八円!」「三百三年で、千九円!」「三百四年で、千十円!」
ネネムは、すばやく計算しました。
「よし、わかったぞ。三十番目のお前! 電信柱の下で立ったまま居眠りをしていたやつだ。お前は千三十円もらっているだろう」
「まったく、その通りでございます。お見通しとは、恐れ入りました」
その時、さっき曲がり角に立ってあくびをしていた監督が言いました。
「どうです、そうでしょう? 私は毎日、千三十円と三十銭をもらって、そのうちの千三十円をこの人に払っているんです」
ネネムが言いました。
「なるほど。それなら一体、誰がフクジロを働かせているんだ?」
「私にはわかりません!」「私にもわかりません!」と、みんなが一度に言いました。
そこでネネムもちょっと困ってしまいましたが、しばらく考えてから言いました。
「よし。それなら、フクジロがマッチを売っていることを知っている者は、手をあげなさい」
体が硬くて黒いタンイチをはじめとして、順番に十人だけが手をあげました。
「よろしい。ということは、十人目のお前が一番悪いやつだ。監獄に入れ!」
「いいえ、とんでもありません! 私はただ、フクジロがマッチを売っているのを遠くから見ていただけです。それを十円で売っているなんて、そんな恐ろしいこと、私はちっとも知りませんでした」
「これは本当に、嫌な事件だな。よし、それなら、フクジロがマッチを十円で売っていると知っている者は、手をあげろ」
手をあげたのは、タンイチから数えてたった三人だけでした。
「それならお前だ! 監獄に入れ!」とネネムが言いました。
「それはさっきも申し上げました。私はただ、命令されて見ていただけなんです」
「つまり、お前は十円で売っていることは知っているけれど、ただ命令で見張っていただけだと言うんだな。そして、その次のお前は、見張れとは言ったけれど、十円で売れなんて言った覚えはないし、十円で売っているとも思わなかった。ただ、『フクジロがよちよちと家を出たり入ったりしているだけで、よくこんなに儲かるもんだなあ』なんて思っていた、ということだろう」
「まったく、おっしゃる通りです!」と、二人がいっぺんに言いました。
「よろしい、もうわかった。お前たちに言い渡す。これは、順番に少しずつ悪いことが積み重なっているんだ。百年も二百年も前に貸したお金の利息を、そんなオシャレな格好をして、毎日あとをついて回ってもらおうなんて、けしからん。ましてや、それが三十人も続いているなんて、本当にとんでもないことだ。お前たちは、あくびをしたり居眠りをしたりして毎日を過ごし、ご飯の時間だけ近くのレストランに入る。それから急いで出てきて、前のやつがまだ遠くへ行っていないのを見て安心するなんて、本当に勝手なやつらだ。それに、『自分が儲けているんじゃないから』と言って、悪いことをどんどんやるのも良くない。だから、全員が悪いんだ。みんなを罪にしなければならない。けれど、それではあんまりかわいそうだから、こうしよう。お前たち、今すぐ全員その仕事をやめてしまえ! そして、フクジロは、私がどこかのおもちゃ工場の小さな部屋で、たった一人で仕事をして、時々お菓子でも食べられるようにしてやろう。あとのやつらはみんな体が丈夫そうだから、自分で勝手に仕事を探しなさい。もし、どうしても自分で見つけられなかったら、私のところへ相談に来るんだぞ」
「わかりました! ありがとうございます!」みんなはフクジロを置いて、赤い山のように集まっていた人ごみをかきわけて、バラバラに逃げていきました。
そこでネネムは、一人の検事を付き添わせて、フクジロを張り子のトラを作る工場へと送ってあげました。
見物人たちは大喜びして、「えらい裁判長だ! すごい裁判長だぞ!」と、歓声をあげました。
それから、ネネムはまた街の見回りを始めました。
しばらく歩くと、通りの右側に大きな泥で固めた家があって、「世界警察長官の屋敷」という看板が出ていました。
「ちょっと入ってみようかな」と言いながら、ネネムは玄関の前に立ちました。
すると、家の中が急にザワザワし始めて、警察長官が自ら先頭に立って案内してくれました。
中の様子を一通り見て回ったあと、ネネムは警察長官と向かい合って、一つのテーブルに座りました。警察長官は、新聞紙くらいの大きさがある名刺を広げて、ネネムにうやうやしく差し出しました。
見ると、そこにはこう書いてあります。
「ケンケンケンケンケンケン・クエク警察長官」
ネネムは言いました。
「おや、クエクか。なんだか聞いたことがある名前だな。ちょっとお聞きしますが、あなたはこの近くの農家の出身ではありませんか?」
すると警察長官は、びっくりした様子で答えました。
「おっしゃる通りです! よくお分かりになりましたね」
「それなら、あなたは勝手に家を飛び出して来たのでしょう。お母さんが、とても泣いていらっしゃいましたよ」とネネムが言いました。
「いや、実は……。昨日の夜に電報を打ったところなのですが、別に逃げ出したというわけでもないんです。一昨日の朝、ちょっとした用事で家から大学の用務員室まで行ったのですが、そこでたまたまフゥフィーボー博士の講義にすっかり引き込まれてしまいまして。昨日までの三日間、ずっと講義を聴いたり、試験に落ちたり、考えたりしていました。そして昨晩、ようやく合格して、ここに赴任してきたのです」
「ハッハッハ! なるほど、そうでしたか。それは良かった。もう電報は打ったのですね」
「はい、もちろんです」
ネネムはすっかり感心して、警察長官の家を出ました。
初級翻訳・ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記 第7話
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
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