冬になって、あたりが寂しくなったら、そのときにゆっくり南の国の話を聞かせてもらおう」とかしの木は思いました。
光り輝く、希望にあふれた夏は、ずいぶん長く続きました。
けれども、やがて秋がやってきました。
年老いたかしの木は、まわりの木々の葉っぱが、いつのまにか霜(しも)におりて色づいていくのを見つめていました。
足もとに生えている草も、だんだんと枯れていきました。
でも、これは毎年繰り返されることでした。
そんなある日のことでした。朝の光を浴びて翼をキラキラさせながら、青空高く舞い上がり、どこかへ飛んでいった美しい旅の鳥たちが、その日は夕方になっても帰ってきませんでした。太陽が西の空に沈みかけても、戻ってこないのです。
「どうしたんだろう?」とかしの木は不思議に思いました。
その夜、かしの木は一晩中、眠れませんでした。鳥たちの身に何かあったのではないかと、心配でたまらなかったからです。
それに追い打ちをかけるように、冷たい北風が吹き荒れ、かしの木に戦いを挑んできたのでした。
ああ、また長く、つらい冬がやってきます。年老いた木と、北風と、そして雪との戦いが始まるのです。
そして、かしの木は、とうとうまた、ひとりぼっちになってしまったのでした。
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