初級翻訳・怪星ガン 第5話

怪星ガン

その後には帆村が壁際に立ち、この部屋で今、必死になって働いている人たちの邪魔にならないよう気を配りながら、悲劇的な第六号艇で起こった出来事の行方を見守っていました。

今、この操縦室には、本隊の首脳陣が残らず集まっていました。もちろん隊長であるテッド博士が中心となって、何とかして第六号艇を救う方法はないかと、懸命に取り組んでいました。

その悲劇の第六号艇の姿は、操縦室の前方側面の壁にある、一メートル四方のテレビジョン映写幕いっぱいに映し出されていました。艇の姿は斜めに傾いて映っています。本艇よりも少し後方に位置していました。そして、艇の後方から三分の一ほどの場所から、七、八箇所も炎が絶え間なく吹き出しています。その炎に混じって、まぶしいほどの火の塊がボコボコとはねながら飛び散っていました。

それらの炎と煙は、無残な火の尾を長く背後に引いています。それは艇の全長よりも五倍もの長さに伸びており、見ているだけで脳貧血を起こしそうでした。

一体どうして、こんな大事件が起こってしまったのでしょうか。第六号艇の艇長ゲーナー少佐は、原因不明だと無線でテッド隊長に報告しています。この救援隊の十台のロケット艇がエフ十四号飛行場を出発するとき、地上では不吉な噂が流れていましたが、それがとうとう現実のものとなってしまったようです。

隊長テッド博士以下の救援隊首脳部の心の痛みは、災害を直接身に受け、今や命が風前の灯火となっている第六号艇の乗組員三十名よりも、ずっと深く大きなものでした。テッド博士たちとゲーナー少佐は、あれから無線電話で絶えず言葉を交わしていましたが、テッド博士はついに、第六号艇の火災と爆発が、とても人力で防ぎきれるものではないと見抜き、乗組員全員に退避を勧めました。

艇長ゲーナー少佐は、沈着冷静で責任感の強い軍人だったので、隊長テッド博士のこの勧めにはすぐには従いませんでした。そしてなおも部下を励まし、消火作業を続けさせていたのです。

だが、それから五分後に致命的な大爆発が起こり、そのせいで艇の後部は吹き飛ばされてしまいました。その凄まじい光景は、司令艇の操縦室の映写幕にもはっきりと映し出され、帆村もそれを目にしました。見たことは見たのですが、あまりに悲惨で直視し続けることができず、思わず両手で目を覆ったほどです。

帆村だけでなく、他の人々の多くも目を覆いました。隊長テッド博士だけは、まばたきもせず、大胆にこの地獄絵巻のような第六号艇の爆発をじっと見つめていました。そして、艇長ゲーナー少佐に対し、再び総員退避を強く勧めました。

「ゲーナー艇長。この次の爆発が起こると、原子力的な大爆発となるだろう。そうなれば、第六号艇だけでなく、残りの我々九台の宇宙艇もすべて破壊される恐れがある。だから一刻も早く、全員を艇から退避させたまえ。君たちの救援は私が引き受けた」

隊長の忠告は、ついにゲーナー少佐を動かしました。

「隊長、わかりました。総員退避を命じます。部下を救ってください。お願いします」

少佐はそこで初めて、最後の命令を出しました。二十九名の乗組員は部署を離れ、空間漂流器を素早く体に装着すると、艇外へと飛び出しました。暗黒で、死のような空間へ……。

(爆発原因)

帆村は手に汗を握り、映写幕の上に見入っていました。彼はしばしば唸りました。こうしてじっとして惨劇を見ていることに耐えられなかったのです。自分もすぐに艇外へ飛び出し、あの気の毒な第六号艇の漂流者たちのなかに身を投じ、ともに苦しみ、励まし合って、この危機を脱出するために協力したかったのです。

だが、そんなことは許されません。艇外へ飛び出したところで、何の役に立つというのでしょう。第六号艇のまわりには、僚艇から放たれる探照灯が数十本、まぶしく集まっていました。その光の中には、空間漂流器を身につけて、艇からバッタのように飛び出す乗組員たちの姿も映っていました。また、すでにその漂流器にすがって空間を漂っている乗組員たちの姿を捉えることもできました。

それはどこか、タンポポの種子に似ていました。上に六枚羽根のプロペラがあり、そこから長軸が下に出ていて、種子の形をした耐圧空気室がついていたのです。人間はその中へ頭を突っ込むことができますが、だんだんと下から上へ入り込むと、しまいには全身をすっぽりと中に入れることもできました。
この耐圧空気室の中には、生き残るために必要な重要な器具や食料、燃料などが完備されていました。
まず発光装置があり、遠くからでもその位置がわかるように、空間漂流器全体が明るく照らされています。
無線装置は送受信の両方ができるものがついているので、連絡には困りません。
原子力発電機があり、必要に応じてヘリコプターのようなプロペラを回して上昇することも可能です。
そのほかにも、原子力を利用したロケット推進器がついており、航続時間は約一千時間というから、四十日間は飛び続けられる力を持っていました。
さらに、空気清浄器やさまざまな食料の貯蔵庫があり、娯楽用の小説やトランプ、聖書とハンドブックまで備わっていました。
これだけの準備が整っている空間漂流器だったからこそ、乗組員たちは十分な安心感を持って、自分の命をこれに預けることができたのです。
ですが、それだけで安心するにはまだ早すぎます。
なぜなら、もし第六号艇がテッド博士の恐れる「第二の爆発」を起こすようなことになれば、その近くにいる空間漂流者たちは、爆発の巻き添えになって命を落とすことが避けられないからです。

「おい、ゲーナー君。なぜ君は早く退避しないのか」
無線を通じて、隊長テッド博士がゲーナー艇長を叱りつけるように言いました。
「もうすぐ退避します。二十八名、二十八名です。まだ一名、艇内に残っている者がいるのです」
少佐は、部下がまだ一名残っていることを気にして、自分は危険を承知で踏みとどまっていたのです。
それを聞くと、隊長テッド博士は胸が締め付けられる思いでした。
「ゲーナー君。君は数え間違えている。二十九名だよ、今空中を漂流しているのは……」
博士は、人生で初めての嘘をつきました。
「二十九名? 本当に二十九名が漂流しているのですか?」
「本当だ。いくら数えても二十九名いるぞ」
「ははは、ぼくはあわてていたらしい。じゃあ、今度はぼくが飛び出す番だ……」
少佐は壁から空間漂流器を下ろして、体に縛り付けようとしました。
そのとき、少佐は驚いた顔をして戸口を振り返りました。
「誰だ? まさか……」
もう誰も残っていないはずです。しかし、戸の外から「ドンドン」と激しくたたく音がします。
人間らしい音です。そんなことがあり得るのでしょうか。
少佐は漂流器を床に置き、戸口へと駆け寄りました。
そして戸を前へ開いた瞬間、戸と一緒に一人の人間の体が転がり込んできました。
確かに人間でした。乗組員です。しかし、誰だかわかりません。
上半身が黒こげだったからです。顔も両手も、真っ黒に焼け焦げていました。
「誰だ、君は……」
その黒こげの人物は、火ぶくれになった顔を上げ、ぶるぶると震える両手に一つの黒い箱を捧げて、少佐に差し出しました。

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