じゃあそうしよう」
二人はそう約束して、恐る恐る鼻の入り口から入っていきました。まずは鎌で藪のように生えた鼻毛を刈り、鍬で鼻の垢を掘っては、鼻の壁を叩いて無事を知らせ合いました。
けれども、その仕事は命がけでした。なぜなら、巨人が絶えず呼吸をしているため、鼻の毛がまるで強風に吹かれる林のように音を立てて激しく揺れ、うっかりすると仙蔵が心配した通り、吸い込まれそうになったり、吹き飛ばされそうになったりしたからです。
それでもなんとか鼻の穴の半分までは無事に掃除を済ませました。ただ、このあたりから急に暗くなり、そのうえ暑くなってきました。弱虫でそそっかしい次郎作は、独りで作業しているのがいよいよ心細くなり、鼻毛を一本刈っては合図に壁を叩き、垢を一つ掘ってはまた合図をする、ということを繰り返しました。
しかし、巨人の方は奥に二人が入るにつれて鼻がむず痒くなり、くしゃみが出そうなのを必死にこらえていました。そのたびに中の二人は、巨人の強い息に吹き飛ばされそうになります。それに気づいた仙蔵は、次郎作が合図をするたびに「危ないからそんなに頻繁にするな!」と大声で叫んで注意しましたが、声が届かないのか、矢張り何度も合図をしてくるので、仙蔵はハラハラしていました。
そんなある時でした。次郎作が合図のために鼻の壁を叩いた拍子に、その叩き方が少し強すぎたのか、巨人はついに我慢しきれなくなりました。
「ハックション!」
巨人は上を向いて、まるで大きな山でも吹き飛ばすような勢いでくしゃみをしました。
空高く、まるで風が木の葉を舞い上げるように吹き飛ばされた二人は、しばらくして地面にドシンと落ちると、そのまま気絶してしまいました。
気がついてみると、なんと二人とも日本まで吹き飛ばされていて、無事に帰りついていたのでした。
コメント