そこを狙って、こっちは煙のように素早くその場から逃げ去るというわけさ。
ちなみに家ダニは別名「エロ虫」とも呼ばれていて、体の柔らかい部分を好んで噛みつくんだ。だから場所によっては、あまりの痒さに大きく熱を持ったり腫れ上がったりして、数時間は治らないこともあるんだよ。
そこを逆手にとって、一種の若返り法として使ってみるのも悪くないし、元気な人ならもっとシャキッと健康になれるし、夫婦の仲をより一層深めるのにもぴったりなんだ。
(この機械の売価は1個につき金15円で、その半額はちゃんと国家への税金として納めることになっているよ。
詰め換え用の家ダニは、10匹入りの筒が10銭、50匹入りが40銭、100匹入りが70銭だよ。
さらに、おトクな缶入りとして、1000匹入りや2000匹入りなんかも作る予定さ。)
切符を折らせない方式
この仕組みは、本当は折ってはいけない切符を、お客さんがついつい折ってしまったときに、切符の中からイタチの最期の屁のようなとてつもなく臭い粘液がプシューと飛び出して、指などにベッタリ付着しちゃうというものなんだ。一度ついたら約一週間経たないと匂いが取れないように作られていて、だからみんな「切符を折るのやめよう」と思うようになる、そういう切符を折らせないための方式なんだよ。
これは、ある市電の、ある車掌さんが考え出した発明なんだ。
そもそも人間という生き物はしつけがなっていないところがあってね、電車に乗ってちゃんと代金と引き換えに切符や乗車券を渡しても、「どうか折らないでくださいね」って何度も念を押して注意しているのに、いざ降りる頃にはクルクルと巻物みたいに丸めてしまう人がいるんだ。あるいは、これ以上は絶対に折れないというくらい小さく折りたたんで、まるで鼻くそくらいの大きさにしてしまう人もいる。そのせいで車掌さんが切符を改札するときに、ものすごく事務の邪魔になって渋滞しちゃうんだよ。
いくら口で注意しても、乗客の連中はちっとも言うことを聞いてくれない。だからこそ、この新しい方式を提案したというわけさ。
これを実際に導入すれば、天罰が下ったかのように、乗客たちもきっと反省するに違いないね。
(この発明方式は、ひとつの電気局、あるいはひとつの電鉄会社、ひとつの乗合自動車会社につき、金5000円で特許の使用を許可することにしているよ。)
〔おまけ〕
せっかくの素晴らしい発明だったんだけどさ、よく考えてみたら、そんな臭い仕掛けを作るよりも、乗客が簡単に折れないように、最初から切符の厚みをグッと増して、例えば省線の切符くらいの厚紙に改造しちゃえば、もっと円満に目的が達成できることに気づいちゃったんだ。だから、この発明はちょっと残念なんだけど、結局どこの電鉄会社にも乗合自動車会社にも採用されなかったっていうお話さ。
感電砲
海相「『発明小僧』というのは、君のことかね?」
小僧「そのとおりです!
『感電砲』というすごい兵器を発明しましたので、国家に献上しにやってきました!」
海相「それはご苦労なことだが、一体どこにその実物を持ってきたのかね?」
小僧「いやあ、実物はさすがに重いですから、紙に絵を描いて持ってきたんですよ」
海相「ふむ、二重リング陣形かね?」
小僧「そうです!
下の輪っかが艦隊で、上の輪っかが航空隊です。
敵がやってくるところへ、こっちは感電砲をサッと向けるわけですナ。
ボタンをポチッと一つ押せば、紫電一閃!
太い二本の光の柱がドカーンと現れます。
一本はまっすぐに空中へ飛び上がる。
もう一本は敵の艦隊の真ん中へドカンと突っ込む。
すると、パッと黄色い煙がモクモクと上がったかと思うと、その瞬間に敵の軍艦も兵士たちも、みんな跡形もなく煙になって空中に吹き飛んでしまう!
これが本当の『空中葬』……。
そして、これでおしまいってわけですサ!」
海相「なんだい、そりゃいったい?」
小僧「つまり、これが『感電砲』ですよ!
砲台から空中へ向かって紫色の光の柱が立ったのは、上空にある強烈な電気の天井である『ヘビサイド層』の電気を、一気に下へ引っ張り込むための『電離柱』なんです。
これのおかげで、ものすごく強烈な電気が天井から一気に下りてくる。
下りてきたらすぐさま、もう一本の、敵陣のど真ん中へ突き刺さった紫色の電離柱伝いに、敵の艦船や飛行機めがけて一気に電気を集中させる!
つまり、ヘビサイド層の強烈な電気が、まるごと敵軍の上にドカーンと浴びせかけられるってわけです。
何本も電気があったらたまらない!
軍艦も飛行機も敵の兵士たちも、みんなまとめて大感電して、あっという間に真っ白に熱せられた一筋の煙になって消え失せる……という仕組みです!」
海相「あー、もう、そのへんで十分だよ」
短波殺人砲
陸相「で、一体どういう仕組みだというのかね?」
小僧「私が献上しようと考えているのはですね、我が国の兵隊の身長と、敵の兵隊の身長とのあいだにある、ものすごい『身長の差』に着目したってことなんです。
こっちの兵隊は大体1.6メートルくらいなのに、あっちの敵の兵隊は2メートルもあるんですからネ!」
陸相「ふふん」
小僧「そこでですね、ものすごく強烈な電波を発生させる機械を作っちゃうわけです。
つまり、一種の強力な送信機ですナ。
その発生させる電波の波長はいくつにするかと言いますとですね、近頃すっかり流行っている『短波』にするんです。
それもただの短波じゃありません、ちょうど『2メートル』の短波にするんです!」
陸相「ふむ、ふむ」
小僧「この2メートルの超短電波が、敵の軍勢にドーンとぶつかるとどうなるかといいますと、猛烈な電気の振動が巻き起こるんです!
敵の兵士たちがこの電波を浴びせかけられると、たちまち全身が強烈な電気の振動にすっぽりと包み込まれてしまい、まず最初に容赦なくやっつけられるのは……なんと『心臓』なんです!」ギュッとねじられるような激しい刺激を与えられ、心臓はたちまちストップをしてしまいます。
これで万万歳です。
」
陸相「うん、そいつは面白いが、こっちの兵には危険はないか。
」
小僧「そりゃ大丈夫です。
いまも申したとおり、こっちの兵は一・六メートルで、メートルが足りませんから、そんな電波を身にうけても、電気振動が起らないから大丈夫です。
」
陸相「よろしい。
それまで!」
小僧「しかし出羽嶽(でわたけ)みたいな背高ノッポは、出陣を見合わせにして下さい。
そうでないと……。
」
陸相「それまでッ、喋り方やめイ」
長江封鎖機
社長「ちょっと待って下さい。
わしは製氷会社の社長ですよ。
兵器を作れったって、出来ない相談ですワイ。
」
小僧「そう思うのが畜生……イエその、つまり浅間しさですよ。
出来ます、出来ます。
立派に出来ます。
社長さんが報国の精神さえあればですよ。
もし無いというのなら、私の発明になる時計じかけの毒瓦斯(ガス)を会社の中に仕掛けてゆきます。
」
社長「マ、マ、待ってくれ給え、僕はナニもソノ……。
」
小僧「よろしい。
社長の精神は盲腸のつきあたりまでハッキリ見えました。
では始めから遣りなおしますよ。
いいですか。
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