やがてまた人々が私を取り囲み、まるで責めるかのようにいろいろなことを問い詰めてきました。詳しく話して疑いを解こうと思っても、幼い口で順序立てて語ることなどできるでしょうか。あれこれと根掘り葉掘り聞かれ、一つ一つ説明するにも、私はあまりに疲れ果てていました。
うつろな心で何かを口にしたようです。ようやく縛めは解かれましたが、周囲は私を「心が狂った者」として扱いました。
言うことは信じてもらえず、することなすことすべてが人々の疑いを深めるばかりで、どうしようもありません。私をしっかりと閉じ込め、庭に出すこともなく日々を過ごしました。
血色が悪くなり痩せてしまったのを見て、姉上は心配し、後見人の叔父夫婦にはひどくせめられながらも、姉上はこっそりと夕暮れ時を見計らって外の景色を見せてくれました。しかし、門の辺りにいた大勢の子供たちが私の姿を見るやいなや、一斉に「見ろ、さらわれものだ、気違いだ、狐つきだ!」と叫び、砂利や小石をつかんで投げつけてきました。普段は親しかった友人たちまでがそうするのです。
姉上は袖で私をかばいながら、顔を真っ赤にして逃げ帰りました。人目がないところへ私を連れ込むと、姉上は私を押し倒して打ちました。
悲しくなって泣き出すと、姉上はあわただしく背中をさすりながら、
「堪忍しておくれよ。こんなにかわいそうなものを」
と言いかけて、
「私こそもう気でも違ってしまいそうだわ」
としみじみと嘆いておられました。
私はいつもの自分と変わらないはずなのに、なぜそんなふうに誤解されるのでしょうか。世の中でたった一人、懐かしいはずの姉上でさえ、私の顔を見るたびに「気を確かにもって、心を鎮めて」と涙ながらに言うのです。そう言われるたびに、自分でも「ひょっとして、本当に心が狂ってしまったのではないか」と自分の身を危ぶむようになり、果ては本当に気が狂っていくのを感じました。
まるで、怪しげな糸が十重二十重にもなって私の身をまとっているような心地です。次第次第に暗い中へと深く落ちていくような感覚があります。それを切り払って逃げ出そうにもその術はなく、することなすこと、人は皆眉をひそめ、嘲り、笑い、卑しめ、罵り、あるいは悲しみ憂いたりするので、私は気が高ぶり、心は激しくなり、ただじれったくて、すべてのものが私を腹立たしくさせるのです。
口惜しく腹立たしいまま、身の回りのものはすべて敵だと感じられます。町も、家も、木も、鳥かごも、それ以外も何であれ。姉でさえ、本当に姉なのだろうか。前には一度、私を見ておきながら、自分の弟であることを忘れたこともありました。
塵一つとして私の目に入るものは、すべて何かが化けた姿であり、恐ろしく怪しい神が私を悩ませようとして現れたものなのでしょう。
だからこそ、姉が私の回復を祈る言葉も、私を狂わせようとしてわざと言っているのではないか――一度そう思ってしまうと、もう我慢ができません。力さえあれば、好きなようにしてやりたい。近づいてきたら食い裂いてやりたい、蹴飛ばしてやりたい、掻きむしってやりたい。隙さえあれば飛び出して、九つヶ淵(ここのつがふち)と教えてくれた、あの尊く美しい方の元へ逃げ去りたい。胸が湧き立つほどの思いがしたのも束の間、再び暗い部屋に閉じ込められてしまいました。
千呪陀羅尼(せんじゅだらに)
毒が入っているのではないかと疑えば物も食べず、薬もどうして飲めるでしょうか。美しい顔をして、優しい言葉をかけてきたとしても、偽物の姉には私は一言も口をきくまい。目にふれて見えるものといえば、みんなが激しく怒り狂い、大声で罵り叫んで暴れていましたが、ついには声も出なくなり、体も動かなくなり、自分でも人を見分けることができないほど気が遠くなっていました。
そんなとき、うつらうつらと担ぎ上げられて高い石段を登り、大きな門をくぐり抜けました。赤土の色が綺麗に掃き清められた一本の長い道の、左右には石燈籠と小さなざくろの木が、同じ間隔で代わる代わる続いていました。そこを進んでいくと、お香の匂いが染みついた太い柱のそば、お寺の本堂に通されました。
そう思った瞬間、耳元で竹を割るような激しい響きが轟きました。僧侶たちが五、六人一斉に声を揃え、高らかにお経を唱える声は耳を塞ぎたくなるほど騒々しく、我慢できないほどでした。
頭を丸めた坊主たちが木の両端に並んで座り、「何をふざけているんだ」とばかりに拳を振り上げて、一人の男の頭を叩こうとしました。その時、一筋の青い光がサーッと窓を射抜き、水晶の数珠が私の目をかすめ、ハッシと胸を打たれました。
ひるんでうずくまっていると、若いお坊さんが柱を伝うようにして出てきて、その場に座り込み、サラサラと金襴の帳(とばり)を絞りました。きらびやかなお厨子の(ずし)の中に、尊い仏像がありがたくおがまれたのでした。
一段と高まるお経の声と同時に、バリバリと雷が天地に鳴り響きました。
気高く美しくすばらしいお顔立ちで、雲の袖、霞の袴をまとい、ちらちらと美しい飾り(瓔珞)をかけられた仏様。玉のように美しい胸に細い手を添えて、しっかりと幼子を抱いていらっしゃいます。
仰ぎ見ると、仏様の瞳が動き、ふほほえみかけてくださった――そう見えた時、優しい手の先が私の肩にかかり、姉上が一心に祈ってくださっていました。
「滝のようにこのお堂に水がかかるのだろうか」と、ちょうどその時、雨が激しく降り続いていました。
渦を巻いて押し寄せる風の音は、遠くの方からうめき声をあげて近づいてきて、ドッと山全体に激しくぶつかります。
本堂が青く光り、雷が堂の上の空を転がり回る中、私はあまりの恐ろしさに怯え、「今はもう姉上を頼るしかない!」と、「助けて!」と姉上の膝に這い上がり、しがみついてその胸をしっかりと抱きしめました。
姉上は、こんな恐ろしい私を振り払おうなどとはなさらず、あたたかい腕でしっかりと私の背中を包み込んでくださいました。
そうしているうちに、私の激しい気も心もだんだん弱々しくなり、目の前がはっきりと見え、耳鳴りもやみました。恐ろしい暴風雨の中でお経を唱えるお坊さんたちの声が、はっきりと聞き取れるようになりました。
あまりに哀れで、心細く、ものすごい状況に、自分の居場所がどこにもないような心地がしました。
「いっそこの体一つが消えてしまえばいいのに」と思いながら両手を姉上の肩にすがりつかせ、顔をその胸に押しつけていくと、姉上は自分の服の襟をグッと掻きひらき、胸の谷間に私の頭をグッと押し込んでくださいました。そして、両袖を重ね合わせて深く私の背中を覆ってくださったのです。
仏様がその幼子を優しく抱いていらっしゃるのも、きっとこのように違いないと感じられてとても嬉しくなり、私の心は落ち着いて、すがすがしい気持ちになり、胸の中が安らかで穏やかになりました。
やがてお経の朗読も終わりました。
雷の音も遠ざかっていきます。
私の背中をしっかりと抱きしめてくれていた姉上の腕もふっと緩んだので、私は「そっ…」とその胸から顔を出し、おずおずと姉上の顔を見上げました。
美しさは昔のままで少しも変わりませんでしたが、姉上はひどくやつれていらっしゃいました。
コメント