初級翻訳・若草物語 第30話

オルコット ルイーザ・メイ

朝、みんなが集まったローレンス家の広い芝生に戻ると、お互いに挨拶を交わして、名残惜しそうに別れを告げました。

なぜなら、ボガン家の人たちは、これからカナダへ帰ってしまうからです。

四人の姉妹たちが庭を通って自分たちの家へと帰っていく後ろ姿を見送りながら、ケイトは、今度は意地悪な気持ちを一切交えずに、しみじみと言いました。

「アメリカの女の子たちって、ずいぶん気取らないというか、はっきりしたところがあるけれど、よく知ってみると、本当に素敵で良い人たちばかりね」

すると、そばにいたブルック先生がこう答えました。

「私も、まったく同感です」

第十三章 美しい空中楼閣(くうちゅうろうかく)

九月のある暖かい日の午後、ローリーは、「マーチ家のみんなは今頃何をしているのかなあ」と考えていました。けれど、わざわざ様子を見に行くのも面倒くさかったので、ただお庭のハンモックに揺られていました。

実は、今日の彼はとっても不機嫌だったのです。

というのも、今日は何をやっても上手くいかず、おまけに気候が暖かいせいで体はだるく、勉強をサボって家庭教師のブルック先生を困らせたり、お昼からずーっとピアノを弾き続けておじい様をイライラさせたり、お家の犬が狂暴になったと嘘をついてお手伝いさんを驚かせたり、馬の扱いが乱暴だと馬番の男の人と喧嘩をしたりと、さんざんだったのです。「あーあ、世の中なんてちっとも面白くないや!」とプンプン怒りながら、ハンモックに飛び込んだのでした。

けれど、周りの景色があまりにも美しくのどかだったので、だんだんとローリーのイライラも静まっていきました。自分が船に乗って世界一周の旅をしているような楽しい空想に浸っていると、どこからか人の話し声が聞こえてきて、ハッと我に返りました。

見ると、マーチ家の四姉妹がお出かけするところでした。

けれど、いつもとは様子がずいぶん違っています。みんな、つばの広い大きな帽子をかぶり、肩には茶色の袋をかけ、長い杖を手にしていました。さらに、メグはクッションを、ジョーは本を、ベスはひしゃくを、エイミーはスケッチ用の紙ばさみを、それぞれ大事そうに抱えていたのです。四姉妹は、静かに庭を通り抜け、裏の木戸を出ると、家と川の間にある丘を登り始めました。

「ひどいなぁ。僕を誘わないでピクニックに行くなんて! ボート小屋の鍵を持っていないから、ボートには乗れないはずだぞ。よし、鍵を届けてあげよう。それに、みんなが何をするつもりなのか、こっそり見に行ってやろうっと!」

ローリーは、どの帽子をかぶろうかと迷ったり、鍵をあちこち必死に探したりしました。ようやく鍵が自分のポケットに入っていることに気づくと、急いでみんなの後を追いかけました。けれど、女の子たちの姿はもうどこにも見えません。ボート小屋に行ってみましたが、そこにも誰も来なかったので、ローリーは丘の上へと登っていくことにしました。

すると、松の木立ちの陰から、そよそよと吹く風の音よりも、コオロギの楽しげな歌声よりも、もっと明るくて晴れやかな歌声が聞こえてきたのです。

「わあ、すてきだな!」と、ローリーはパッと目が覚めたような気持ちになりました。

木陰には姉妹たちが座っていて、きらきらした太陽の光と木の葉の影が、みんなの上でゆらゆらと揺れていました。

メグは針仕事をしていましたが、着ているピンク色のドレスが、まるで咲き誇るバラのように鮮やかで綺麗でした。

ベスは、拾い集めた松ぼっくりをきれいに仕分けしていました。

エイミーは、一かたまりに生えているシダの葉っぱを、一生懸命スケッチしていました。

そしてジョーは、大きな声で本を読み上げながら、手元ではせっせと編み物をしていました。

このとても美しい眺めが、ローリーの心をすっかり引きつけました。

ローリーは、みんなのそばへ行きたいと思いましたが、誘われたわけでもありません。かといって家へ帰ろうにも、あの家はたまらなく退屈で寂しい場所でした。どうしようかとその場に立ちすくんでいると、一匹のリスがローリーの姿にびっくりして、「キッ!」と鋭い鳴き声をあげました。

その声に気づいてベスが顔を上げると、そこにはローリーの寂しそうな顔がありました。ベスはローリーを安心させてあげるように、にっこりと微笑んで、「おいでよ」と手招きしました。

「僕も、そこへ行ってもいい?」

メグは眉をひそめて、「ダメよ」というような顔をしましたが、ジョーはメグに向かって顔をしかめると、ローリーに言いました。

「もちろんいいわよ、いらっしゃい! あなたもお誘いしようと思ったんだけど、こんな女の子の遊びなんて、きっと退屈でつまらないだろうなって思ったのよ」

「君たちの遊びなら、僕はなんだって大好きだよ。でも、もしメグが嫌なら、僕は帰るよ」

「嫌だなんて言っていませんわ。その代わり、ここには『絶対に怠けてはいけない』というルールがあるのですから、あなたも何かお仕事をしなければいけませんよ」と、メグが言いました。

「ありがとう! 何だってするよ。だって僕の家は、まるで砂漠みたいに退屈なんだから」

ローリーは、本当に嬉しそうに言いました。

「それなら、私が靴下のかかとの部分を編み終えるまでの間、この本を声に出して読んでちょうだい」

ジョーが本を手渡すと、ローリーは「はい、喜んで!」と丁寧にお辞儀をして答えました。そして、自分をこの「働きバチの会」の仲間に入れてくれたみんなの優しさに感謝しながら、一生懸命に本を読み始めました。

そのお話はそれほど長くはありませんでした。ローリーは最後まで読み終えると、頑張って読んだお返しに、2、3の質問をしてみました。

「ちょっとお尋ねしますが、このためになる素晴らしい会は、新しく作られたものなのですか?」

姉妹たちは、お互いに顔を見合わせました。秘密にしておくべきか、それとも打ち明けてしまうべきか? でも、ローリーになら話しても大丈夫だと、みんなは思いました。

ジョーは、にっこり笑って言いました。

「私たちね、あの『巡礼者(じゅんれいしゃ)ごっこ』を、冬から夏までずっと続けてきたの。それで、この夏休みには、ダラダラして怠けたりしないように、それぞれ自分で仕事を決めて、一生懸命に頑張ってきたのよ。お休みはもうすぐ終わるけれど、みんな予定していた仕事がちゃんとできて、とっても喜び合っているの。それからね、お母様が私たちを外の新鮮な空気に触れさせたがっていらっしゃるから、この丘の上までお仕事を持ってきて、楽しくやっているのよ」

ローリーは、なるほどと頷いて言いました。

「ああ、だからみんな、袋を背負って、杖をついて、古い帽子をかぶっていたんだね!」

「私たちは、この丘のことを『喜びの山』って呼んでいるのよ。ここからは、ずーっと遠くまで見渡せるし、私たちがいつか行って住んでみたいと夢見ている、美しい国も見えるからなの」

ジョーが遠くを指さしたので、ローリーは立ち上がって、その方向をじっと眺めました。

そこには、青くきらめく川や、広々と広がる緑の草地、そしてその向こうにそびえる美しい山々が見えました。

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