初級翻訳・虫喰ひ算大会 第5話

海野 十三

分かっているのは、答えの千の位の数字が「7」だということだけです。

もしこの穴を全部埋めて答えが出せたとしたら、「どうせ適当に当てはめたまぐれ当たりだろう」とか「最初から答えを知っていたんじゃないの?」なんて疑う人がいるかもしれません。
しかし、決してそうではありません! やはり推理の力でグイグイ押し進めていくことで、ちゃんと解けていくのです。
もちろん、とてつもなく骨が折れる名探偵の大事件ですが、それだけに苦労して解く時間が虫食い算ファンにとっては、本当にたまらない最高の快感なのです!

それでは、さっそく取りかかることにしましょう!

□7□□□
   _________
□□□)□□□□□□□□
    □□□□
    ――――――――
      □□□
      □□□
     ―――――――
      □□□□
       □□□
      ――――――
        □□□□
        □□□□
       ―――――
           0

 まず最初の第一歩は「0」を探すことです。
これはカンタンですよ。
答えの十の位の□は「0」です。
なぜなら、八段目をよく見ると、一度に上から数字が二桁も下りてきているからです。
だから、答えの十の位が0であることは間違いありません。
そこで、□の中に「0」を書き込みます。

次は、答えの一万の位と一の位は、どちらも「7より大きい数字」だと分かります。
つまり「8」か「9」のどちらかでしょう。
なぜなら、「7」をかけた場合は、五段目の計算を見ると分かるように答えが「三桁」になっていますよね。それなのに、一万の位の計算である三段目も、一の位の計算である九段目も、どちらも「四桁」の数字になっているからです。
だからこそ、どちらも7より大きい「8」か「9」のどちらかだと分かるのです。

それから次は、六段目の左端に注目してみましょう。
ここは「1」でなければなりません。
七段目で一桁右にずれて引き算されていますが、その下には何も残っていない(ゼロになっている)のですから、間違いなくここは「1」です。

それから今度は、二段目の左端にある割る数の百の位の数字が「1」でなければならない、と突き止めます。
なぜなら、答えの千の位の「7」を三桁の割る数にかけたものが、五段目にある通り、やっぱり同じ「三桁」になっているからです。こうなるためには、割る数の百の位は「1」でなければおかしいですよね。
もし「2」以上だったら、かけた答えが四桁以上になってしまうので矛盾してしまいます。

三段目の左端と、九段目の左端も、どちらも「1」でなければなりません。
なぜなら、割る数の百の位が今「1」だと決まった以上、この四桁の数字の左端は、どんな数字(8や9)をかけようが「1」以外にはなり得ないからです。

とすると、八段目の左端も「1」でなければなりません。
なぜなら、この八段目は九段目とまったく同じ数字だからです。

まあ、このあたりで一度計算式を整理して、下に示しておきましょう。
ただし「▲」は、「8」か「9」のどちらかが入るということを表しています。

▲7□0▲
   _________
1□□)□□□□□□□□
    1□□□
    ――――――――
      □□□
      □□□
     ―――――――
      1□□□
       □□□
      ――――――
        1□□□
        1□□□
       ―――――
           0

こうして、やっと七つか八つの穴を解き明かしましたが、残りの穴はなんと32個もあります!
まだまだ先は長いぞ……と途方に暮れそうな気分になりますね。
さあ、気を取り直して元気に次へ進みましょう!

二段目にある割る数の十の位の数字は、「2以下(2、1、0のどれか)」になります。つまり、2か1か0のどれかでなければなりません。

なぜなら、五段目の左端は「7」か、あるいは「8」だからです(もしこれが6以下だと六段目の左端が1になりませんし、逆に9であれば0になってしまうのでおかしなことになります)。そのため、割る数の十の位の数字が2と1と0以外では、五段目の左端が7や8にならないのです。

ところが、もっとよく調べてみると、それが「0」ではつじつまが合いません。だから「2」か「1」のどちらかにしぼられるのです。

なぜなら、もしそれが「0」だとすると、割る数は「10□」ということになります。これに答えの一万の位の数字と思われる「8」をかけようが「9」をかけようが、どちらも三桁の数字になってしまい、三段目や九段目に書かれているような四桁の数字にはならないからです。

次に、答えの百の位の数字は「8」になります。

なぜなら、割る数はすでに追い詰めた通り「12□」か「11□」のどちらかですが、それに百の位の数字を「7」と仮定してかけてしまうと「84」または「77」になってしまいます。六段目の四桁目である「1□□□」からそれを引いたとき、その残りが八段目の左端の「1」のように、一気に二桁も下りてくるという現象が説明できなくなってしまうからです。

ここはどうしても「8」でなければ成り立ちません。

答えの百の位の数が「8」だと決まれば、答えの一万の位の数と一の位の数は、どちらも「9」でなければなりません。

その理由は、8をかけただけですでに三桁になっているからです。
それなのに、一万の位も一の位もどちらも四桁になっているのですから、これは「9」であるしかありません。

これで、答えの数字はすべて分かりました!
つまり「□7□□□」は「97809」だと決まったのです。

さらに、七段目の左端は「9」になります。
なぜなら、もしここを「8」だとすると、その下に何かしらの数字が残るはずだからです。しかし実際には、この下には何も残っていない(ゼロになっている)のですから、「9」であるしかありません。

ここまでの分かっていることを計算式に書き入れてみると、下のようになります。

      97809
   _________
1□□)□□□□□□□□
(※割 1□□□
 る数 ――――――――
 の十   □□□
 の位   □□□
 は2  ―――――――
 また    1□□□
 は1)   9□□
      ――――――
        1□□□
        1□□□
       ―――――
           0

さあ、あと一息です!

割る数の十の位の数は、2か1のどちらかだとすでに追い詰められています。
この謎を片づけるのは比較的かんたんです。
ここまでの流れから考えると、それは「1」であるよりも「2」である方がずっと怪しくなく、有力です。

そこで、これを仮に「2」と考えてみましょう。
すると、割る数は「12□」の形になります。
そうなると、割る数の一位の数は「4」か、あるいは「4より小さい数」でなければならないことになります。

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