そういえば、今自分たちが遊んでいる道も、なんとひどく傷んでいることだろうと気がつきました。戦時中に開いた穴が、まだそのままになっているのです。
「ねえ、きみ! 夜中に通る人が、この穴に落ちないだろうか」
清吉は、道に開いた穴を指さして友達に話しかけました。
「さあ、落ちる奴もいるだろうね」
「怪我をしないかな」
「運が悪ければね、その時の弾みでさ」と、友達の一人が答えました。
そう聞くと、清吉は、それだけで済まされることだろうか、と思いました。
「いったい、誰が修理しなければならないんだろうね」
清吉は言いました。責任を持つ者の怠慢が腹立たしかったのです。
すると、いつも元気で快活なKが言いました。
「どこかに責任はあるんだろうけど、多すぎて手がつけられないんじゃないか」
「早く直さないと、お年寄りや目が不自由な人が落ちて危ないじゃないか」
「そうだなあ。近所の人が気がついたら、早く直せればいいんだけどね」
Kはいつものようにニコニコして、ほとんど無頓着でした。
一人、清吉はまだ考え込んでいました。こういったことは、どこへ訴え出ればいいのだろうか。こればかりでなく、身の回りには解決のつかないことがたくさんあるような気がして、くよくよしたのでした。
「いったい、誰に責任があるのだろうか」
清吉はあくまでもそう思いました。
「清ちゃん、何してるの? 早くボールを投げなよ」
Kが急かしました。
「考えていたんだよ」
「どんなことさ? 考えたって仕方がないじゃないか。誰でも、できることは自分でするものさ。『考えこじきの銭取らず』っていうだろう?」
「よし、わかった! 今度は強い球だぞ!」
清吉は、はじめて晴れやかな声で叫びました。
「いいよ!」
まさに、日は暮れようとしていました。そして、はるか北西のオレンジ色の空に、紫色をしたひと続きの山脈が、頭を並べていました。それを見て、清吉は写真にあった山や谷を思い出しました。
今ごろは、あちらも夕闇が迫っていることでしょう。そして、深い山の静けさを破って、岩に激しくぶつかる川の流れが、白く泡立っている様子を思い浮かべました。
セミの声に耳を澄ませながら道端に立っていると、帰りを急ぐ人々の顔には喜びがあふれていて、みんなとても楽しそうでした。
そのとき、Kの大きな声が夕焼けの空に響き渡り、BとY、そしてKの三人がこちらへ駆け寄ってきました。
「清ちゃん、道を直そうよ」
みんな、土を運ぶためのバケツや、くわを手に持っていました。
「ああ、直そう!」
清吉は、自分の中にあった悪い癖を打ち破り、明るい世界へと連れ出されて、みんなと一緒に心から楽しく、星が出始めるころまで語り合ったり笑ったりしながら、一生懸命に道を直しました。
「考えこじき、か」
Kが言ったその言葉を思い出して清吉が笑っていると、
「これで明日から、ボールを投げるのにも危なくないね」
Kはそう言って、ニコニコと笑っていました。
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