その間に姉は、この教室でバロウさんとお話を済ませるでしょうから」
ご馳走と聞いて、皆は目を輝かせました。アメリア先生は皆を並ばせ、セーラを先頭に立たせて客間の方へ連れて行きました。あとには、あの『最後の人形』だけが、たくさんの衣装とともに教室に残されていました。ベッキーだけは、ご馳走をいただくこともできないだろうと思い、悪いこととは知りながら、少しの間だけ教室に残って、美しい人形や衣装を眺め回していました。
ちょうどベッキーがそっとマフを手に取り、それから外套を手に取って見ていた時でした。ベッキーはミンチン先生の声がドアのすぐ外でするのを聞き、震え上がってテーブルの下に身を隠しました。ミンチン先生は、骨ばった体つきの、小柄な紳士を連れて入ってきました。紳士はどこか落ち着かない様子でした。ミンチン先生も、決して落ち着いているとは言えません。彼女はいらいらした顔つきで、この小柄な紳士を見つめました。
「バロウさん、どうかお掛けください」
バロウ氏は、すぐには腰を下ろしませんでした。彼は、そこらに散らばっている人形や、人形の小道具に目を奪われているようでした。彼は眼鏡をかけ直し、何か咎めるような目つきでそれらのものを見つめました。『最後の人形』は、そんなことには一向無頓着に、ただまっすぐに立って彼を見返しているばかりでした。
「千円はするだろうな。皆高価な材料でできているし、しかもパリ製だからな。あの若僧は、めちゃくちゃに金を使っていたと見えるな」
ミンチン先生は腹を立てました。バロウ氏はいくら代理人でも、クルー大尉のすることに口出しをする権利はないはずです。ミンチン先生は、セーラとセーラの学校のために惜しげもなくお金を出してくれる、大事なクルー大尉のことを悪く言われたくなかったのでした。
「バロウさん、失礼ですが、どうしてそんなことをおっしゃるのですか?」
「十一になる子供の誕生祝いに、こんなものを贈るなんて、まったく気違いじみているじゃありませんか」
「しかし、クルー大尉は財産家でいらっしゃるじゃありませんか。ダイヤモンド鉱山だけでも――」
バロウ氏は、くるりと先生の方へ向き直りました。
「ダイヤモンド鉱山なんて、そんなものあるものですか。そんなものはあったためしもない」
ミンチン先生は、たちまち椅子から立ち上がりました。
「え? 何とおっしゃいました?」
バロウ氏は、意地悪く答えました。
「とにかく、そんなものはなかった方がよかったくらいです」
「なかった方がよかったって?」
ミンチン先生は、椅子の背をしっかり掴んで叫びました。何か素敵な夢が消えていくような気がしました。
「ダイヤモンド鉱山などというものは、富よりも破産を意味する場合が多いものです。事業に詳しくない人が、親友の手の中に丸め込まれて、その親友の鉱山に投資するなんて大間違いです。亡くなったクルー大尉にしても――」
今度は、ミンチン先生が最後まで言わせませんでした。
「亡くなった大尉ですって? まさか、あなたはクルー大尉が――」
「大尉は亡くなられました。事業がうまくいかないところへ、マラリア熱に襲われて亡くなられたのです」
ミンチン先生は、どかりと椅子に腰を落としました。先生はぼんやりとしてしまいました。
「うまくいかなかったと申すのは?」
「ダイヤモンド鉱山がです。大尉はその親友のためにも、破産のためにも悩まれたようですな」
「破産ですって?」
「一文なしになられたのです。大尉は若いくせに金がありすぎるくらいでしたが、その親友がダイヤモンド鉱山に夢中になって、大尉の金まですっかりその事業に注ぎ込んでしまったのです。親友が逃げたと聞いた時には、大尉はもう熱病に取りつかれていました。恐ろしい打撃だったに違いありません。大尉は昏々と死んでいきました。娘のことを口走りながら――だが、その娘のためには、一文も残さずに」
ミンチン先生は、それでやっと事情を飲み込むことができました。こんなひどい目にあったのは初めてでした。自慢の生徒と、自慢の出資者が、一度に模範学校からさらわれてしまったのです。先生は何かを盗まれたような気がしました。クルー大尉も、セーラも、バロウ氏も、皆悪いのだというような気がしました。
「じゃあ、あなたは、大尉が一文も残さずに死んだとおっしゃるのですね。つまり、セーラには財産がない。あの娘は乞食だ」「大金持ちどころか、私の財産を食いつぶす厄介者として、手元に押し付けられたとおっしゃるのですね」
バロウ氏は抜け目のない事務家でしたので、もうここらで自分の役目は果たしたと考えました。
「乞食として残されたに違いありません。そして、あなたの元に残されたのもまた事実です。他に身寄りというものはないようですからな」
ミンチン先生は突然、歩き出しました。今にも部屋を飛び出して、盛り上がっている祝宴を台無しにしてやろうと考えているようでした。
「馬鹿にしている。あの子は今私の部屋で、私のお金でご馳走を食べているのですよ」
「そりゃあ、その通りですな」バロウ氏は平気な顔で言いました。「我々代理人は、もう何の支払いもできませんから。クルー大尉は、我々への支払いも済ませずに亡くなってしまったのです。それも、かなりの額だったのですよ」
ミンチン先生はますます不機嫌になり、振り返りました。こんな災難がふりかかろうとは、ついさっきまで夢にも思っていませんでした。
「私は、あの子のためにいくらお金を使おうと、きっと支払ってくれると信じきっていたのです。あの馬鹿馬鹿しい人形の代金も、衣装の代金も、すべて私が立て替えていたのですよ。『あの子のためなら何でも買ってやってくれ』と言われていたのですからね。あの子は馬車も持っているし、小馬も持っているし、女中だってつけている。前回の送金があってからは、私がすべて費用を立て替えているのですから」
バロウ氏は、それ以上ミンチン先生の愚痴を聞こうとはしませんでした。
「これ以上は、もう支払わない方がいいでしょう。あの令嬢に贈り物をするおつもりなら別ですが」
「ですが、私はこの際どうしたらいいのでしょう?」
先生は、バロウ氏に始末をつけてもらうのが当然だというように尋ねました。
「どうするもこうするもないですな」バロウ氏は眼鏡をたたんでポケットに入れました。「クルー大尉は死んでしまった。子供は食いつぶしになってしまった。あの娘について責任がある者があるとすれば、あなたぐらいなものですな」
「なぜ、私に責任があるなどと言うのです。そんな責任は断固としてお断りします!」
ミンチン先生は、立腹のあまり顔を真っ青にしました。バロウ氏は立ち上がると、気のない声で言いました。
「あなたが責任を持とうが持つまいが、私にはどうすることもできません。こんなことになって、お気の毒とは思いますがね」
「それで、私にあの娘を押し付けるおつもりなら、大間違いですよ。私は泥棒に遭ったようなもの、騙されたのです。あの子は今すぐにでも外へ追い出してやります」
バロウ氏は平然と戸口に立って言いました。
「私ならそんなことはしませんな。世間の目によく映るはずがありませんから。
コメント