アリスが泥棒だって捕まえられたら大変だからね!
上がって進んでウサギのお部屋に入ると、そこのテーブルの上に手袋が置いてあったから、さっと取って出ていこうとしたそのとき、たまたま目に入ったんだ。
テーブルの上の小瓶が。
もちろんあの言葉、「ノンデ!」というラベル付き。そりゃあアリスも飲むよね!
まったく、よかった、よかった。そう思わない? だってここで飲まなかったら、これから話す素敵なお話も起こらなかったんだから。そうなるとやっぱり残念だよね?
もうアリスのお話にも慣れてきたから、次にどうなるか分かるよね? 無理なら聞いてて。おっきく、おっきーくなったんだ。
ほんのあっという間に、お部屋はアリスでぎゅうぎゅう。丸っこい瓶にジャムがぎっしり詰まっている、ちょうどああいう感じ! 天井までずっとアリスで、お部屋のどの隅にもアリス!
ドアは内側に開くものだったから、やっぱりどうやっても開く隙間がないわけで。
そのときウサギが待ちくたびれて、自分で手袋を取りに帰ってきたんだけど、もちろん中に入れない。
で、どうしたと思いますか?(さあて、ここでさし絵)
トカゲのビルをお家の屋根に登らせて、煙突を降りてけって言い付けたんだ。ところがたまたまアリスの片足が暖炉に突っ込んでいてね。ビルが煙突を降りてくる物音がしたとき、軽くちょこんと蹴り上げちゃったから、ビルは弾き飛ばされて、お空へぴょーんと出ちゃったんだ。
かわいそうなビルくん! そう思わない? きっとものすごく震えていたよ!
6 かわいいワンコちゃん
えっ、そんなワンコちゃんには見えないって? でもほら、いまはアリスのほうがちっちゃくなっちゃったから。そういうわけで、ワンコが大きく見えるんだよ。白ウサギのお家で見つけた、小さくて不思議なパンケーキ。それをひとつ食べたアリスは、ぐんぐん小さくなって、そのままドアを通れるようになったんですよ。
そうじゃなかったら、もうお家から外へ出られないところでした。
かわいそう、だと思いませんか? だってこれからお話しするような、こんなへんてこなことが起きるなんて、夢にも思っていなかったんですから。
さて、実はそこにいたのは小さなワンコでした。
かわいいペットでしょう? ほら、この様子を見てください。アリスが差し出した棒きれに向かって吠えていますよね! アリスもちょっと怖がっているみたい。ずっと、大きなアザミの影に隠れているでしょう。こっちに飛びかかってきたら大変だからです。
もしそうなったら、4頭立ての馬車にひかれたのと同じくらい、アリスはひどいことになっちゃいますからね!
ペットのワンコちゃん、きみのお家でも飼っている? もしいるなら、いつもイヌに優しくして、ちゃんとしたエサをあげているといいんだけど。
昔々あるところに、ぼくの知り合いの子どもたちがおりました。
背の高さは、きみと同じくらい。
ペットにワンコを飼っておりました。
名前はダッシュ。
これはその子どもたちから聞いた、ダッシュに誕生日のお祝いをあげたときのお話です。
「知ってる? ある日ね、そういえば今日がダッシュの誕生日だってなって、こう言ったの。『ダッシュに誕生日のお祝いをあげようよ。あたしたちも誕生日にはもらうでしょ?』。でね、いっぱい考えて『じゃあ、自分たちの誕生日だったら、何が一番いいかな?』って。またいっぱい考えて、最後にみんなでひとつに決めたの。『じゃあ、オートミールのおかゆだね、絶対!』。だからね、ダッシュも絶対に気に入るって思ったの。お手伝いさんのところに行って、ひと皿おかゆを作ってって頼んでね。それからダッシュをおうちに呼んできて言ったの。『さあダッシュ、お誕生日のお祝いをあげる!』。ダッシュが喜んで飛び跳ねるって思ったのに、なのに噛みついてきて! だから前に皿を置いて、言ったの。『もうダッシュ、がっつかないの! いい子だからおとなしく食べて!』。で、ダッシュがぺろぺろって舌をつけたんだけど、そうしたら、その、とんでもない顔になっちゃって! でね、あのね、大嫌いなんだって、もうちっとだって食べるもんかって! だからあたしたち、スプーンで全部のどに流し入れなきゃいけなくって!」
アリスもこのワンコにおかゆをあげるのでしょうか? そうするとは思えないけれどね。
そんなものどこにも持っていなかったし、さし絵にもお皿がありませんから。
7 あおムシ
ワンコから逃げ出したあと、アリスがどうなったか知りたいですか? ほら、じゃれるには本当に大きすぎる動物だったからね(たとえばカバの子どもみたいに。一緒に楽しくじゃれられる? 無理ですよね。きっとでっかい足でずどんと、パンケーキみたいにぺしゃんこにされちゃう!)。
だから、気づかれずに逃げ出せたとき、アリスはほっとしたんです。
で、あちこちうろついたんだけれど、何をしたら元の大きさに戻れるのかさっぱり分かりません。
そりゃあ何かを飲み食いすればいいんだろうけど、これまでもそうだったしね。
でも、それが何なのか思いもつかなくって。
そんなとき、ふと現れたのがでっかいキノコ。
背丈が高くて、つま先立ちしないとてっぺんにあるものなんて見えなくって。
で、何が見えたと思いますか? こんなの絶対に言い当てられないね!
なんと、おっきなアオムシ。
今から始まるのがアリスとアオムシのお話なんだけど、まずはこのさし絵をよく見てね。
アオムシの真ん前に置いてあるへんてこなものは「水ギセル」。煙を吸うために使うんだ。
長い管を通って煙が、ヘビみたいにうねうねやってくるってわけ。
で、アオムシの長っぱな、しゃくれアゴ、わかる? というより、鼻みたいなアゴみたいなもの、が正しいかな? 本当は足のうちのふたつなんだけど。
ほら、イモムシは足がたくさんあるよね。その下を見ていくと、どんどん付いているし。きっと面倒だと思うけれど、アオムシは毎晩寝る前に、あんなにたくさんの足を数えなきゃいけないんだって!
それに、すごく面倒だと思うんだけど、どの足から動かしたらいいか決めなきゃいけないんだってさ。
なんせ40も50も足があるから、ちょっと歩くにしても、どの足から動かそうか決めるだけでそれなりの時間がかかって、もう歩くどころじゃないよ!
ともかく、アリスとアオムシ、いったい何を話したんだろうね?
その、アリスは言ったんだ。大きさがいろいろ変わって、もうわけがわからないって。
するとアオムシが、ちょうど今の大きさ、これをどう思うって聞いてきてね。
アリスの返事は、もうちょっとくらい大きくなりたい――8センチじゃあ、あんまりな大きさだって!(8センチを測ってみるとしたら、中指くらいの大きさかな。ほら、この時のアリスがそれくらい。)
そこでアオムシが教えてくれて。
キノコの片端を食べると大きくなって、もう片端を食べると小さくなれるぞって。
なのでアリスがふた切れちぎって、おそるおそる口に入れると、まあ、けっこういい感じの背格好になんとか慣れてさ! ようやく公爵夫人のところへ向かったんだ。
8 ブタの赤ちゃん
アリスが公爵夫人のところへ伺ったお話、聞きたい? 本当に面白いお伺いになってね。
期待していいよ。
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