」
警部のうしろにいたふたりの刑事が、長いほそびきを持って、両方から二十面相に近づくと、うむをいわせずしばりあげてしまいました。
「いまに、おもてへ護送車が来る。窓のない、厳重な護送自動車だ。こんどは、途中から逃げ出すなんて、思いもよらないことだぞ。」
こうして二十面相は、かんぜんに明智探偵のおくの手にかかってしまいました。
「うん、おれの負けだ。もう手向かいはしないよ。さすがに明智先生の腕まえは、見あげたものだな。それにしても、おれのうちがどうしてわかったのだ。参考のために、聞かせてもらえないかね。」
「よし、種あかしをしよう。ポケット君、ここへ来たまえ。」
明智が呼びますと、暗い廊下に、まちかまえていた小林少年が、黒しょうぞくのポケット小僧の手を引いて、二十面相の前にあらわれました。
「や、きさまポケット小僧だなっ。また、このチンピラにしてやられたのかっ!」
「そうだよ。」ポケット君が、きみが逃げ出した自動車のトランクの中に、こっそり隠れていたのさ。そして、この屋敷の場所や、美術品のことについて、ぼくに知らせてくれたんだよ。そこで、ぼくは美術室にあったよろいの中に入り込んで、音を立てていたずらをしてみたというわけさ。ハハハハ……。」
二十面相は、すっかり降参してしまいました。ぐるぐる巻きに縛られたまま、不機嫌そうな顔をして、黙り込んでいます。巨人と怪人の戦いは、とうとう明智探偵の完全な勝利に終わったのです。やがて二十面相は、厳重に守られた護送車の中に押し込まれました。もう逃げ出す見込みはどこにもありません。そして護送車は、真夜中の町を走り抜け、静かに警視庁へと向かっていくのでした。
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