初級翻訳・オホサウヂ 第1話

オホサウヂ

ブチとシロは、タロウさんの家で飼われている子犬です。
ある日、タロウさんの家で何やら大騒動が持ち上がりました。
夜が明けると、ブチとシロはお湯に入れられて、ゴシゴシと洗われてしまいました。

「ああ、気持ちが悪い」
と、シロが唸りました。
「早く行って、泥の中に転がらなくちゃたまらない」
と、ブチも唸りました。

泥の中に転がっていると、家の中で何やら騒がしい音がし始めました。
「変だな」
「うん、ちょっと覗いてみよう」
二匹の子犬は、台所の戸の隙間から中を覗きました。
ドン、ドン、バタ、バタ、ゴシ、ゴシ。
掃いたり、叩いたり、こすったり、家の中は大騒ぎです。
「これはかなわん。ぐずぐずしていると、またお湯に入れられるぞ」
二匹は飛んで逃げました。

窓の下に逃げて、これで安心と寝転んだ途端、
パタ、パタ、パン、パン。
頭の上で大きな布団が、窓のところでパタパタと暴れていました。
風に吹かれて、ゴミが植木のところまで飛んできます。
「ここもダメだ。表へ逃げよう」

表には畳がずらりと並べて立てかけてあって、
トン、トン、バタ、バタ。
細い竹の棒で叩かれていました。
そして、いつもならシロやブチが少し上がっただけでもひどく叱られるその畳から、蜘蛛の巣のようなホコリがいっぱい舞い上がっています。

「これはたまらん」
「逃げろ、逃げろ」
二匹は裏の板塀の陰に逃げてきて、ハアハアと苦しい息をつきました。
「ああ、驚いた」
「一体何事が起きたんだろう」
「これが戦争というものかもしれない」
「うん、敵が攻め込んできたのかもしれない」

シュウ、シュウ、ジャブ、ジャブ。
大変です。どこから現れたのか、ホースの水が板塀に飛んできました。
二匹は裏の空き地へ逃げました。
するとそこに、隣のポチがのんきな顔で寝そべっていました。ポチは年寄りの犬です。
「ポチさん、戦争だよ!」
「敵が攻めてきたんだよ!」

するとポチはぼんやりした目を開けて、
「なあに、あれは大掃除だよ。あれが始まったら、ここへ来て寝ていればいいんだ。夕方になるとすっかり静まるよ。一年に二度くらいあるよ。厄介なものさ」

それで二匹の子犬は安心して、ポチの横で眠りました。
夕方、目が覚めてみると、大掃除はもうどこへ行ったのか、影も形もありませんでした。

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