三つ頭の犬から、すぐにまた何になったかというと、あの六本足の怪人ジェリオンで、掴まれている足を振りほどこうとして、残りの五本の足でハーキュリーズを蹴りつけました! しかしハーキュリーズは、やっぱり掴んだままでした。
やがてジェリオンの姿が見えなくなると、今度は、ハーキュリーズが赤ちゃんの頃に締め殺した蛇に似た、しかしその百倍はあろうかと思われる巨大な蛇になりました。
それは彼の首や胴にぐるぐると巻きつき、尻尾を高く振り上げて、彼を丸呑みにでもしようとするかのように恐ろしい口を開けました。
それは本当に大変恐ろしい光景でした! それでもハーキュリーズは少しも恐れず、その大きな蛇をうんときつく握り締めたので、まもなく蛇は苦しがって、「シュッ、シュッ」というような声を出して鳴き始めました。ここで一つ断っておかなければならないのは、この「海の老人」という者は、まるで波にさらされた船首の木像のような見た目をしていましたが、実は自分の好きなものなら何にでも変身できる不思議な力を持っていた、ということです。
彼がハーキュリーズにこうして手荒く捕まえられたと知った時、その魔力を使っていろんなものに変身し、相手を驚かせて怖がらせ、さっさと手を離させようと考えたのでした。
もしもハーキュリーズが手を緩めてしまっていたら、「老人」はきっと海の底へと潜り込んでしまったことでしょう。一度海の中へ逃げ込まれてしまえば、ぶしつけな質問に答えるためにわざわざ浮き上がってきてくれるなんてことは、まず期待できなかったはずです。
百人のうち九十九人までは、僕の考えでは、彼が最初に恐ろしい姿へ変身した時点で、すっかり肝を潰して逃げ出してしまったことでしょう。
というのは、本当の危険と、ただ危険そうに見えるだけのものとを見分けるということは、この世で最も難しいことの一つだからです。
しかし、ハーキュリーズがどうしても手を離そうとせず、「老人」が変身を繰り返すたびに、かえって強く締め上げたので、本当にひどく痛い思いをさせられた「老人」は、とうとう元の姿に戻るのが一番だと悟りました。
そこで彼は再び、魚のようであり、うろこに覆われ、足には水かきがついていて、あごには一束の海藻が生えているという、あの本来の姿に戻りました。
「一体、あなたはわたしに何の用があるんです?」
「老人」は、ようやく息がつけるようになると、すぐにそう叫びました。そんなに次から次へと別のものに化け続けることは、本当に骨の折れる仕事だったからです。
「どうしてそんなにきつく締めつけるのですか? すぐに離してください。さもないと、あなたを非常に失礼な人だとみなしますよ!」
「俺の名はハーキュリーズだ!」
力自慢の見知らぬ男は、地響きのような声で言い放ちました。
「君がヘスペリディーズの庭への一番の近道を教えてくれるまでは、決して手を離さないぞ!」
老人は、自分を押さえつけている男の名前を聞いた時、これはもう彼の知りたいことを何でも教えてやらなければならない、とすぐに察しました。
前にも言った通り、「老人」は海に住んでいて、他の海で暮らす者たちと同じように、世界のいたるところを歩き回っていました。
もちろん、彼はハーキュリーズの評判は何度も耳にしていましたし、彼が世界のあちこちで常に素晴らしい偉業を成し遂げていることや、一度やろうと決めたことは必ずやり遂げるということも知っていたのです。
だから彼はもう逃げようとはせず、その勇士にヘスペリディーズの庭への道を教えたばかりか、そこへ辿り着くまでに切り抜けなければならない、数々の困難についても注意を促してくれました。
「あなたはこう行って、それからこう進まなくてはなりません」
「海の老人」は方角を確かめてから言いました。
「そうすれば最後に、大空を肩に背負って立っている、とても背の高い巨人に出会うでしょう。その巨人は、もし機嫌が良ければ、ヘスペリディーズの庭がちょうどどの辺りにあるか教えてくれるはずです」
「そして、もしその巨人が機嫌の悪い時にぶつかったとしても」
ハーキュリーズは棍棒を指先で、まるで天秤のようにバランスを取りながら言いました。
「多分、俺が何とかして彼に話させるよ!」
「海の老人」にお礼を言い、またあんなに乱暴に締め上げたことを詫びて、その勇士は再び旅を続けました。
彼は実に数多くの変わった冒険に出会いました。
それらは詳しく話す価値のあるものばかりで、もし時間さえあれば、君たちにも十分聞き応えがあると思うのですが。
神様が実にうまく工夫して、地面に触れるたびに前より十倍も強くなるという恐ろしい巨人をお作りになっていましたが、ハーキュリーズが彼に出くわしたのは、確かこの旅の最中のことでした。
その巨人の名前はアンティーアスといいました。
そんな男と戦うのがどれほど面倒なことか、君たちにもよく分かるでしょう。
彼は相手がそっとしておいてくれるよりも、何度も殴り倒してくれた方が、かえって強く、タフになり、武器の扱いも上手くなって起き上がってくるのですから。
そんなわけで、ハーキュリーズが棍棒でその巨人をひどく叩きのめせば叩きのめすほど、勝つ見込みがなくなっていくような気がしました。
僕はちょうどそんな風に、やっつけられればやっつけられるほど、ますますいきり立ってくるような相手と議論をしたことは時々ありますが、実際に殴り合いをしたことは一度もありません。さて、ハーキュリーズは、この喧嘩に勝つためのたった一つの方法を思いつきました。それは、アンティーアスの足を地面から浮かせて持ち上げ、そのまま力いっぱい締め上げることです。そうすれば、あの巨大な体からすっかり力をしぼり出すことができるはずでした。
この戦いに勝ったハーキュリーズは、旅を続けてエジプトの国へとやってきました。そこで彼は捕らえられてしまいましたが、もしもその国の王様を倒して逃げ出していなければ、彼の方が殺されてしまうところでした。
アフリカの砂漠を通り抜け、一生懸命道を急いでいるうちに、彼はついに大きな海の岸へと出ました。ここまで来てしまうと、大波の頭の上を歩くわけにもいきませんから、当然、彼の旅も行き止まりかと思われました。彼の前には、泡立ち、湧き上がる、果てしない大海原が広がっているだけだったのです。
しかし、彼が水平線のほうを見つめると、ずっと遠くに何かふと目につくものがありました。それは大変きらきらと輝いていて、まるで地平線のかなたで昇ったり沈んだりしている、丸い太陽を見ているかのようでした。それは確かに、だんだんとこちらへ近づいてきていました。なぜなら、その不思議なものは刻一刻と大きくなり、輝きを増していたからです。
とうとうそれがすぐ近くまで来たので、ハーキュリーズには、それが金か、あるいはよく磨かれた真鍮でできた、大きなお椀かお鉢であることが分かりました。それがどうして海を流れてきたのか、僕には分かりません。とにかく、それは騒ぎ立てる大きな波にもまれていました。しかし、波はそれを上下に揺り動かすだけで、泡立った波頭がその胴にぶつかって盛り上がっても、しぶきがそのお椀の縁を越えることは決してありませんでした。
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