初級翻訳・ワンダ・ブック――少年・少女のために―― 第10話

ホーソーン ナサニエル

幸いなことに、寝ている姿勢のせいで、彼らの顔はパーシウスの方からは完全に見えないようになっていました。というのも、もし彼が少しでもその顔を見てしまったら、その瞬間に冷たい石の像となって、空から真っ逆さまに墜ちてしまったはずだからです。

「今だ!」クイックシルヴァはパーシウスのそばを飛び回りながら小声で言いました。「今こそ君がゴーゴンの首を切り落とす時だ! 急ぐんだ、もしゴーゴンたちのどれか一人でも目を覚ましたら、もうおしまいだから!」

「どれに切りかかればいいのですか?」パーシウスは剣を抜き、もう少し下の方へ降りていきながら尋ねました。「三匹ともみんな同じに見えます。三匹とも蛇の髪をしていますし……どれがメヅサなのですか?」

この竜のような怪物たちのうち、パーシウスが首を落とすことができるのはメヅサだけであると、知っておかなければなりません。他の二匹に至っては、パーシウスがどんなに名高い名刀を持ってこようと、何時間ぶっ続けで切りつけようと、傷一つ負わせることはできなかったでしょう。

「気をつけて」と、先ほどパーシウスに話しかけた静かな声が言いました。「ゴーゴンたちの一つが、寝ながらむくむくと動いて、ちょうど寝返りを打とうとしています。あれがメヅサです。彼女を直接見てはいけません! 見たらあなたは石になってしまいますよ! あなたの磨き上げた盾の鏡に映った、メヅサの顔や姿を見るのです」

パーシウスはこの時初めて、クイックシルヴァがあんなにも熱心に、盾をピカピカに磨けと言ったわけを理解しました。盾の表面に映してこそ、彼は安全にゴーゴンの顔を見ることができるのです。

なるほど、映っていました。あのおそろしい顔が。月光をいっぱいに浴びて、その物凄さを余すところなくさらけ出しながら、ピカピカの盾の中に映し出されています。頭の蛇たちは、自分たちが持つ毒のせいか、十分な眠りにつけないのか、メヅサの額の上で絶えず体をよじり続けていました。

とにかくそれは、これまで見たことも想像したこともないような、この上なく獰猛で、何とも言えない恐ろしい顔でした。それでいて、一種の不思議な、ゾッとするような野性的な美しさが、その中にはありました。

目を閉じてはいましたが、メヅサは何か嫌な夢でも見ているのか、うなされているような苦しげな表情をしていました。そして白い牙をバリバリと鳴らし、真鍮の爪は砂の中に深く食い込んでいました。頭の蛇たちもまた、メヅサの夢の内容が薄々わかっているらしく、そのせいでますます眠れない様子でした。彼らは互いに絡み合ってゴチャゴチャの塊になり、激しく身をよじりながら、目を閉じたまま「しゅっしゅっ」と音を立てて、百もの鎌首をもたげていました。

「さあ、さあ!」少しじれったくなってきたクイックシルヴァが、低い声で促しました。「メヅサに飛びかかれ!」
「でも落ち着いて」と、パーシウスにつきまとっている、あの誠実で響きのいい声が言いました。
「下へおりて行く時、盾をよく見て、最初の一太刀をしくじらないように気をつけなさい」

パーシウスは、盾に映ったメヅサの顔から目を離さないまま、注意深く下の方へおりて行きました。近づけば近づくほど、蛇の生えた頭と鉄のような胴体は、いよいよ物凄さを増して見えました。とうとう、メヅサのすぐ頭上まで舞い降りたと思った瞬間、パーシウスは剣を振り上げました。

と同時に、メヅサの頭の蛇たちが恐ろしい勢いで一つ残らず立ち上がり、メヅサはくわっと目を見開きました。しかし、もう遅かったのです。剣は業物、それが雷光のように打ち下ろされたのだからたまりません。流石に凶悪なメヅサの首も、ぽろりと胴体から転がり落ちました!

「天晴(あっぱ)れな手並みだ!」とクイックシルヴァは叫びました。「急いでその首を魔法の袋の中へ入れるんだ」

パーシウスが驚いたことには、彼が首にかけていた、今まで財布ほどの大きさしかなかった刺繍(ししゅう)入りの小さな袋が、たちまちメヅサの首が入るほどの大きさに広がりました。目にもとまらぬ早さで、彼はまだ蛇がしきりにうごめいているメヅサの首をつかみ、袋の中に押し込みました。

「あなたの仕事は済みました」と静かな声は言いました。「さあ逃げなさい。メヅサを殺された仇(かたき)を討とうとして、他のゴーゴンたちが命がけでかかって来るでしょうから」

実際、逃げる必要がありました。というのも、パーシウスがメヅサの首を落とす時、いくら静かにやろうとしても、剣を打ち下ろす音、蛇が「しゅっしゅっ」と鳴く声、それからメヅサの首が海辺の砂の上にどさっと落ちる音などがしたため、他の二匹が目を覚ましてしまったからです。

彼らはしばらくの間、眠そうに真鍮(しんちゅう)の指で目をこすりながら座っていましたが、一方彼らの頭の蛇たちは、驚きと――相手が何者かは知らないながらも――毒気を含んだ敵意とで、みんな棒立ちになりました。しかし、その二匹のゴーゴンたちが首のなくなった、うろこだらけのメヅサの死骸と、すっかり逆立って半ば砂の上に広げられた金の翼とを見た時に上げた叫びと悲鳴といったら、本当に聞いていて身の毛がよだつほどでした。

それからまた、蛇たちの声も凄まじいものでした。百もの蛇がそろって一斉に「しゅっしゅっ」と音を立てるものですから、魔法の袋の中に入っているメヅサの頭の蛇も、それに応えて鳴いていました。ゴーゴンたちはすっかり目が覚めるとすぐに、ガラガラというような音を立てて空中に舞い上がり、真鍮の爪を振り上げ、物凄い牙をバリバリと鳴らしました。そして、その大きな翼をあまりに激しく羽ばたかせたので、羽根の毛が幾つか抜けて、ひらひらと海岸の方へ落ちていきました。

そしておそらく、それらの羽根の毛は、今でもそこに落ちていることでしょう。

ゴーゴンたちは高く舞い上がり、誰でも石に変えてしまおうと、物凄い勢いであたりを睨(にら)み回しました。もしもパーシウスが彼らの顔をまともに見るとか、彼らの爪にかかるとかしていたら、彼の気の毒なお母さんは、二度とわが子に接吻(せっぷん)する時は来なかったでしょう。しかし、彼はゴーゴンたちのほうを見ないようにと、よく気をつけました。それに彼は隠れ兜(かぶと)をかぶっていたので、ゴーゴンたちは彼がどちらへ逃げたのか分からなかったのです。また、彼は飛行靴をできるだけ利用することを忘れず、まっすぐに一マイルばかりも上空へ飛び上がりました。

その辺りまで昇り、あの怪物たちの鳴き声が下の方からかすかに聞こえるようになった時、彼はポリデクティーズ王のところへメヅサの首を持って帰るため、セライファス島を指して一直線に飛びました。

パーシウスが帰る途中で、今にも一人の美しい少女を呑(の)もうとしているおそろしい海の怪物を退治したとか、またちょっとゴーゴンの首を見せただけで、とても大きな巨人を石の山にしてしまったとか、いくつかの驚くべき出来事もありましたが、時間がないので略しておきましょう。しかし、巨人を石の山にした話などは眉唾(まゆつば)ものだと思うなら、君たちそのうちにアフリカへ行って見るといい。

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