初級翻訳・ワンダ・ブック――少年・少女のために―― 第38話

ホーソーン ナサニエル

「翼の生えた杖だなんて! こんな杖は、小さな男の子がまたがって遊ぶのにぴったりの乗り物になりそうですよ!」

この時、フィリーモンと二人の旅人は、すでに家の戸口までたどり着いていました。
「さあ、お二人さん」と老人は言いました。「このベンチに座って休んでください。家内が何か夕飯に出せるものがないか見に行っていますから。私たちは貧しい暮らしですが、戸棚にあるものなら何でも、喜んでご馳走しますよ」

若いほうの旅人は、気にすることもなくどっかとベンチに腰を下ろしましたが、その拍子に杖を落としてしまいました。
すると、ほんのささいなことですが、不思議なことが起こりました。なんと杖がひとりでに地面から起き上がると、小さな翼を広げ、半分跳ねるように、また半分飛ぶようにして、家の壁にピタッと立てかけられたのです。
杖はそのままじっとしていましたが、巻きついている蛇だけは相変わらず動いているように見えました。しかし、たぶんフィリーモンおじいさんの目が悪かったから、そう見えただけなのかもしれません。

おじいさんが何か尋ねようとしたその時、年上のほうの旅人が話しかけてきたので、不思議な杖への興味はそちらへ逸らされてしまいました。
「ずっと昔には、今村があるあたり一帯は湖だったのではないかな?」とその旅人は、とても深みのある声で尋ねました。

「私が知っている限りでは、そんなことはありませんよ」とフィリーモンは答えました。「私も見ての通りの年寄りですがね。ずっと昔から、今の通りの野原や牧場がありましたし、古い木々も、谷の真ん中を流れる小川もそのままでした。私が知る限り、父親の代も、そのまた父親の代も同じだったようです。そして、このフィリーモンじじいが死んで忘れ去られた後も、きっと同じことでしょうよ!」

「そうとも言い切れないな」と、その見知らぬ人は言いましたが、その深い声にはどことなく厳しい響きがありました。
さらに、彼が頭を振ると、黒いどっしりとした巻き毛がぶるぶると震えました。
「向こうの村に住む人間たちが、生まれつき持っているはずの愛や情けを忘れてしまったのなら、湖が再び彼らの住まいの上に漣(さざなみ)を立てたほうがいいのかもしれないな!」

旅人の表情があまりにも厳しかったので、フィリーモンは少し怖くなってしまいました。
それに、彼が顔をしかめると、夕闇が急に深くなったように感じられ、頭を振るたびに空でゴロゴロと雷のような音が聞こえる気がして、ますます怖くなりました。
しかし、そのすぐあとで、見知らぬ人の顔がとても優しく穏やかになったので、老人はすっかり恐怖を忘れてしまいました。

それでもフィリーモンは、この年上の旅人が今は見すぼらしい姿で徒歩旅行をしているけれど、決してただ者ではないと強く感じずにはいられませんでした。
もっとも、お忍びの殿様だなどと思ったわけではありません。きっと世の中の欲望をすっかり捨てて、このような汚れた服を着て世界を歩き回り、どこへ行っても少しずつ知恵を磨こうとしている、偉大な賢者なのだろうと思ったのです。
そして、その想像こそが、どうやら真実に近かったようです。というのも、フィリーモンがふと顔を上げてその旅人の表情を見たとき、彼が一生かけて学ぼうとしても到底及ばないような、深い思慮がその顔に刻まれていることが一目で分かったからです。

ボーシスが夕飯の支度をしている間、旅人たちはフィリーモンとすっかり打ち解けて話し始めました。
若いほうの旅人は、本当に実によくしゃべり、気の利いた鋭いことを言うので、善良なフィリーモンおじいさんは大笑いを続け、「お前さんは近頃にない面白い人だ」と感心しました。

「ねえ、お若い方」二人の仲が親しくなると、おじいさんは切り出しました。「わしはお前さんの名前を、何と呼んだらいいかな?」

「そうですねえ、僕はご覧の通り、とてもすばしこいでしょう」その旅人は答えました。「ですから、僕を『クイックシルヴァ(水銀)』と呼んでくだされば、かなりぴったりくる名前だと思いますよ」

「クイックシルヴァ? クイックシルヴァだって?」フィリーモンは繰り返しました。もしかしたらこの若者が自分をからかっているのではないかと思い、その顔をのぞき込みました。「それは随分とおかしな名前だね! それで、そのお連れの方は? やはりそんな妙な名前なのかい?」

「それは雷に聞いてみないと分からないな!」クイックシルヴァは謎めいた顔をして答えました。「雷ほどの声でなければ、その名前を呼ぶことはできないんですよ」

これは本気なのか冗談なのか分かりませんでしたが、もしフィリーモンがおそるおそる年上の旅人の顔を見て、いかにも慈悲深い人だと感じ取っていなかったら、ひどく怖気づいてしまったことでしょう。
しかし、普段ならこんな小さな小屋の戸口のそばに座るはずもないような偉い人が、今ここで、ごく普通の人間のようにして座っていられるのだということだけは間違いなさそうでした。

その見知らぬ人は、いかにも厳かに、フィリーモンがいやでも心の奥底まで打ち明けずにはいられないような雰囲気で言葉を投げかけました。
これは、自分の良いところも悪いところもすべて見抜いていながら、それを少しも馬鹿にしないほど賢い人に出会ったときに、人が必ず抱く気持ちです。
とはいえ、フィリーモンは単純で優しい心の老人でしたから、打ち明けるような秘密などほとんどありませんでした。

それでも、彼はこれまでの人生について、いろいろと語りました。
この長い年月の間、彼はこの家から二十マイル(約32キロメートル)と離れたこともなかったのです。
妻のボーシスと彼は、若い頃からずっとこの小さな家に住み、正直に働いて食べて、いつも貧乏でしたが、それでも満足していました。
彼は、ボーシスがどんなに美味しいバターやチーズを作るかということや、自分が庭で育てる野菜がどれほど美味しいかを自慢しました。
そして、夫婦はお互いを深く愛し合っているため、死別するのは耐えられないから、これまで一緒に暮らしてきたように、死ぬ時も一緒に死にたいというのが二人の願いだと話しました。

見知らぬ人はそれを聞くと、顔いっぱいに微笑みました。その表情は厳かでありながら、とても優しいものでした。
「あなたは本当にいいおじいさんだ」と彼はフィリーモンに言いました。「そして、連れ合いとして素晴らしいおばあさんをお持ちだ。あなた方のその願いは、かなえられていいと思う」

そしてフィリーモンには、ちょうどその時、西の空から夕焼け雲が輝かしい光を放ち、あたりが急にパッと明るくなったような気がしました。

ようやく夕飯の支度ができたボーシスが戸口に出てきて、お客様に出せるような立派なものは何もないけれど……と言い訳を始めました。
「もしあなた方がいらっしゃるのが分かっていたら」とおばあさんは言いました。「じいさんと私は何も食べないで、もっと良い夕飯を用意していたのに。でも私は、今日の牛乳はほとんどチーズ作りに使ってしまったし、残っていたパンも半分食べてしまったところでした。

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