町中の人たちは、大山のようなものすごい大男が来たのでびっくりして、わいわい言いながら、みんなでぞろぞろと後をついていきました。
ぶくぶくは広場へ来ると、
「さあ、みんなどけよどけよ、あぶないぞあぶないぞ!」
と言いながら、大通りに群がっている人たちを追い払いました。
そして両手でお腹の横をおさえて、
「ゴホン、ゴホン、ゴホン!」
とせきをしました。
するとそのたびに腹の中から騎兵たちが十人ずつかたまって、すぽん、すぽんと飛び出しました。
町の人たちは、
「うわあ、うわあ!」
とおもしろがって、みんなで手をたたいてはやした立てました。
ころがり出た騎兵たちは、死んだようにまっ青な顔をして、後をも見ずに逃げていきました。
ぶくぶくは、
「ゴホン、ゴホン、ゴホン、ゴホン!」
とせきつづけにせいて、とうとう何千人もの騎兵を一人残らず吐き出してしまいました。
その一番しまいにとび出した兵は、戸惑い(とまどい)をして、ぶくぶくの鼻の穴へとびこんでしまい、もがいていました。
ぶくぶくは、
「ちょっ、うるさいね」
と言って、クシャンとくしゃみをしました。
するとその兵は、ぱたんと鼻の穴から吹き飛ばされて、馬といっしょにころころころがりながら逃げていきました。
御殿では王子と王女の御婚礼(ごこんれい)の式をあげることになりました。
それで、王女のお父さまの王さまにも来ていただかないといけないというので、王子はいそいで長々をおつかいに出しました。
長々は例の足でひょいひょいひょいと、一時に一里ずつまたいで、すぐに向こうの王さまの御殿へ着きました。
見ると、さっきの兵たちは、馬で逃げていったくせに、まだ一人も帰り着いていませんでした。
長々は先に着いたのを幸いとして、王さまに向かって、兵たちの大将の命を許してやるようによくお願いしてやりました。
そうでないと、大将は王女を取り返さないで手ぶらで帰ってきた罰として、きっと首を切られるにきまっていたからです。王さまは、王女さまのお婿さんがそんなに立派な王子さまだと聞いて、大よろこびしました。そして、すぐにお供をつれて、王子さまのところへやって来ました。
こうして、結婚式も何事もなく、無事にすみました。
王子さまをたすけて、いくつもの大がっぱな手がらをたてた、ぶくぶくと、長々と、火の目小僧の三人は、王さまから大そう立派なごほうびをもらいました。
初級翻訳・ぶくぶく長々火の目小僧 第5話
ぶくぶく長々火の目小僧
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