ですけれども、私このおへやに、たった一つほしいと思うものがございますのよ。
それはほかでもございません、ロック鳥の卵が、あのあの高い天じょうのまん中からぶらさがっていたら、もう申し分なしだと思いますわ。
」と、答えました。
これをお聞きになってお姫さまは、何だか急に、この大広間がものたりないように思いはじめになりました。
そして、アラジンが入って来た時、大へん悲しそうな顔をしていらっしゃいました。
アラジンは、何事が起ったのですか、とたずねました。
お姫さまは、
「私、この天じょうから、ロック鳥の卵がぶらさがっていなきゃあ、何だか悲しいんですもの。
」と、おっしゃいました。
「そんなことなら、ぞうさないじゃございませんか。
」と、アラジンはこともなげに言ってランプをおろして、廊下へ出てあのおばけを呼びました。
けれども、ランプのおばけは、その命令を聞くと、大へんおこりました。
顔をぶるぶるふるわせながら、アラジンをしかりつけました。
「大ばか者、そんなものを私がやられると思っているのか。
お前は私のご主人を殺して、あの天じょうからぶらさげてくれというのか。
そんなばかは、死んでしまうがいいや。
」
おばけの目は、まるで石炭がもえている時のように、まっ赤になっていました。
しかし、やがて言葉をやわらげて、
「だけれども、それはお前の心から出た願いでないということを、私はよーっく知っているのだよ。
それは尼さんの風をしている、悪者のまほう使が言わせたのだろう。
」
と、言いました。
そして、おばけは消えました。
アラジンは、お姫さまが待っているへやへ、いそいで行きました。
そして、
「私は、ずつうがしてなりません。
尼さんを呼んでくださいませんか。あの方のお手でさすっていただいたら、きっとなおるだろうと思います。
」と、お姫さまに申しました。
すぐに、にせのファティマが来ました。
アラジンはとびついて、その胸へ、短刀をつきさしました。
「どうなすったのです。
まあ、あなたは尼さんを殺すのですか。
」
お姫さまは泣き声でとがめました。
「これは、尼さんではございません。
これは私たちを殺しに来たまほう使です。
」と、アラジンが申しました。
こんなにして、アラジンは二人の悪いまほう使の悪だくみからのがれました。
そして、もうこの世の中には、だれもアラジンの仕合せのじゃまをする者はなくなりました。
アラジンとお姫さまは、長い間たのしくくらしました。
そして、王さまがおかくれになった時、二人はとうとう、王さまとおきさきさまになりました。
そして国をよくおさめました。
いつまでもいつまでもその国はさかえたということであります。
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