初級翻訳・ポラーノの広場 第18話

ポラーノの広場

「さあ、もう一回きれいな水ですすぐんだぜ!」ファゼーロが言って、再びみんなのコップに水をついでいきました。みんなはさっきの水を草に捨てて、また新しく水を注ぎました。
「もう一回洗うんだぜ。前の酒の匂いがまだ残っているからな」
ファゼーロがまたみんなに水をつぎました。
「ファゼーロ、今夜はずっとコップばかり洗ってるんじゃないのかい?」
さっきお酢を作っていたお年寄りがそう言うと、みんなはまたドッと笑いました。
「今度こそ飲むぞ。冷たいぞー!」
ファゼーロがまたみんなのコップにつぎました。
コップの水は冷たく白く光り、風に激しく波立っていました。
「さあ飲むぞ。いち、に、の、さん!」
みんなはぐっと飲み干しました。
ぼくも飲んで、ガタッと体が震えました。
「それじゃあ、ぼくが歌うよ!
ポラーノの広場の歌!
つめくさのはなの 終わる夜は
ポランの広場の 秋まつり
ポランの広場の 秋のまつり
水を呑まずに 酒を呑む
そんなやつらが 威張っていると
ポランの広場の 夜が明けぬ
ポランの広場も 朝にならぬ」

みんなはパチパチと手を叩いて笑いました。
その歌声もすぐにビューッと強い風がやってきて、昔のポラーノの広場の方へと吹き飛ばしてしまいました。
「おれも歌うぞ!」
ミーロが立ち上がりました。
「つめくさの花の しぼむ夜は
ポランの広場の 秋まつり
ポランの広場の 秋のまつり
酒ぐせの悪い 山猫は
黄いろのシャツで 遠くへ逃げて
ポランの広場は 朝になる
ポランの広場は 夜が明ける」

「さあ、ぼくも歌うぞ!」

「さあ叫ぼう! 新しいポラーノの広場のために、ばんざーーい!」
ぼくは帽子を高く放り上げて叫びました。
「ばんざあーーい!」

そして私たちはまっ黒な林を抜け、さっきの柏のまばらな林を通り過ぎて、古いポラーノの広場に到着しました。
そこではいつものハンノキの木が、風に揺さぶられるたびに青く光っていました。
アセチレンランプの明かりに照らされた私たちの影は、草の波の中で黒く長くぐにゃぐにゃと揺れ、まるで一人ひとりが大きな川を進む汽船に乗っているような気分になりました。
いつも集まる場所まで来て、私たちはそこで別れました。
そこには、本当に小さなつめくさの花の明かりが、一つぽつんと灯っていました。
ぼくはそれをそっと摘んで、服の襟にはさみました。
「それではさよなら! また来るよ!」
ファゼーロはそう言いながら、みんなといっしょに帽子を振りました。
みんなも何か叫んだようでしたが、その声はもう風にかき消されて聞こえませんでした。
そしてぼくも歩き出し、みんなも向こうへ歩いていって、その青い風の中のアセチレンの灯りと黒い影は、だんだんと小さくなっていったのです。

それから、ちょうど七年の歳月が流れました。
ファゼーロたちの組合は、最初はなかなかうまくいきませんでしたが、それでもどうにか工夫しながら楽しく続けることができました。
ぼくはそれから何度も遊びに行ったり、相談があるたびに友だちに話を聞いたりしていました。そして三年が過ぎる頃には、ファゼーロたちはすっかり立派な一つの産業組合を作り上げ、ハムとお肉の加工品とお酢、そしてオートミールは、モリーオの町やセンダードの町はもちろん、遠くのいろんな場所へも出荷されるようになっていたのです。
そしてぼくは、その三年目に仕事の都合でついにモリーオの町を離れることになり、それから大学の助手になったり、農事試験場の技術者としても働きました。
そして昨日、この友だちもいない、賑やかだけどどこか荒んだトキーオの町の、激しい輪転機の音が響く部屋のすぐ隣で、ぼくが担当する五十行の欄に、ちょっと珍しい博物館の出来事の文章を埋め合わせながら、一通の郵便を受け取りました。
それは、一枚の厚い紙に印刷された、みんなで手に持って一緒に歌えるように作られた楽譜でした。
そこには、こんな歌がついていました。

ポラーノの広場の歌
つめくさ灯ともす 夜のひろば
むかしのラルゴを うたいかわし
雲をもどよもし 夜風にわすれて
とりいれまぢかに 年ようれぬ

まさしきねがいに いさかうとも
銀河のかなたに ともにわらい
なべてのなやみを たきぎともしつつ
はえある世界を ともにつくらん

ぼくは、その楽譜はまちがいなくファゼーロが作ったものだと思いました。
なぜなら、そこにはいつもファゼーロが野原で気持ちよさそうに吹いていた、あの口笛のメロディがいっぱいにつつまっていたからです。
けれども、その歌の詩を作ったのがミーロなのか、それともロザーロなのか、あるいは別の誰なのか、ぼくには見分けることができませんでした。

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