すると、ふたりが元気なじょうぶなすがたで立っています。
王さまはふたりといっしょによろこびあいました。
これで、苦労はすっかりなくなってしまったわけです。
さて、あの三枚のヘビの葉は、わかい王さまがもってきて、ひとりの家来にわたして、いいました。
「これはたいせつにして、いつも肌身はなさずもっていてくれ。
またどんなことで、これがわたしたちの役にたつかもしれぬからな。」
ところで、お妃さまのほうは、生きかえってからというもの、心のなかがすっかりかわってしまったのです。
じぶんの夫を愛する気持ちなどは、お妃さまの胸のなかからあとかたもなくきえてしまったようでした。
しばらくたったとき、わかい王さまは海をこえて、じぶんの年とったおとうさまのところへいこうと思いたちました。
そこで、お妃さまとふたりで船にのりこみました。
ところが、ひどいことに、お妃さまは、わかい王さまがまごころからじぶんをかわいく思っていてくれるということも、またそのおかげで死なずにすんだということも、すっかりわすれてしまって、船頭がすきになってしまったのです。
そしてある日、お妃さまは、わかい王さまが横になってねむっているのを見すまして、その船頭をよびよせました。
そして、じぶんはねむっている王さまの頭をつかみ、船頭には両足をつかませて、ふたりでわかい王さまを海のなかへほうりこんでしまいました。
こういうひどいことをしてから、お妃さまは船頭にいいました。
「さあ、これからひきかえして、わかい王さまはとちゅうでなくなったともうしあげよう。
あたしはおとうさまに、おまえのことをうんとほめたてて、あたしとおまえが夫婦になって、やがては、おまえが王さまの位につけるようにしてあげるよ。」
ところが、あの忠義者の家来が、このようすをのこらず見ていたのです。
家来は、ひとに気づかれないように、親船からそっと小舟をおろすと、すぐさまそれにのりこんで、主人のあとを追ってこいでいきました。
うらぎりものたちののっている船は、そのままいってしまいました。
忠義な家来は、死んだわかい王さまをすくいあげますと、肌身はなさずもっていた、あの三枚のヘビの葉を、わかい王さまの両方の目と口の上にのせました。
すると、そのおかげで、わかい王さまはふたたび生きかえりました。わかい王さまと、心から王さまに忠実な家来は、ふたりで昼も夜も関係なく、力のかぎりボートをこぎ続けました。
そのため、小舟はとぶように進んで、どの船よりも先におじいさんである年をとった王さまのところへ着くことができました。
お父さんである王さまは、ふたりきりで帰ってきたのを見てびっくりし、いったいどうしたのかとたずねました。
王さまは、むすめがしでかした恐ろしい裏切りの話を聞くと、こう言いました。
「わしには、あの子がそんなひどいことをしたなんて、どうしても信じられん。
だが、もうすぐ本当のことがはっきりするだろう。」
王さまはこう言ってふたりに、だれにも見られない部屋に入り、ほかの人には絶対に気づかれないように隠れているよう言いつけました。
それから少しして、大きな親船が帰ってきました。
この人でなしの女は、いかにも悲しそうな顔をつくって、王さまの前にやってきました。
王さまは彼女に言いました。
「どうしておまえはひとりだけで帰ってきたのだね。
おまえの夫の王さまはどこにいるのか。」
「ああ、お父さま……!」
と、ずるい女はしおらしいふりをしてこたえました。
「あたしは、本当に悲しい思いをしながら、もどってまいりました。
主人は、船旅の途中で急に病気になってしまい、そのまま死んでしまったのです。
もしもこの感心な船頭さんが親切に手をかしてくれなかったら、あたしはとんだ大変なめにあうところでした。
この人は、夫の最期のときにもそばにいましたから、当時のことはなにもかもすべてお話しできます。」
すると、王さまはこう言いました。
「それなら、わしが死んだものを生きかえらせてみせよう。」
王さまはそう言って、あの隠れていた部屋の扉をあけ、ふたりに出てくるように言いつけました。
女は、そこに生きているはずのない夫のすがたをパッとひと目見るなり、まるでカミナリに打たれたようにその場にひざまずき、
「どうかおゆるしください……!」
と、必死でおねがいしました。
王さまはきっぱりと言いました。
「おまえをゆるすことは絶対にできん。
この男は、自分の命をすててでもおまえといっしょにいる覚悟で、おまえの命をすくってやったのだ。
それなのに、おまえは、この男がぐっすりねむっているところをねらって、海につき落として殺そうとしたではないか。
おまえは、自分のしたことに対して、ふさわしいおそろしい罰をうけなければならない。」
こうして、女は、悪事を手つだいをした男といっしょに、底に穴をあけられたボートに乗せられて、海へとつきだされました。
ふたりは、あっというまに荒い波の中に沈んでいってしまったのでした。
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