初級翻訳・僕の帽子のお話 第3話

僕の帽子のお話

ついに帽子のところまで来ました。僕は力いっぱい帽子を掴みました。
帽子が「痛い!」と言いました。
その拍子に、帽子が天の釘から外れたのか、僕は帽子を掴んだまま、まっさかさまに下の方へと落ち始めました。
どこまでも、どこまでも。
もう草原に足がつきそうだと思うのに、そんなこともなく、際限もなく落ちていきました。
だんだん辺りが明るくなり、雷が鳴り響き、しまいには目も開けられないほどまぶしい火の海の中へと入り込んでいこうとするのです。
そこまで落ちたら、焼け死ぬほかありません。帽子が大きな声で、
「助けてくれえ!」
と叫びました。
僕はあまりの恐ろしさに、ただうなることしかできませんでした。
そのとき、誰かに体を激しくゆすぶられました。
びっくりして目を開けると、そこは夢の中でした。
雨戸を半分開けかけたお母さんが、僕のすぐそばに来てくれていました。
「あなた、どうしたの? とてもうなされていたわよ……寝ぼけ坊やね、もう学校に行く時間ですよ」
とお母さんが言いました。
そんなことはどうでもいいことでした。
僕はすぐさま、枕もとを見ました。
すると、そこには僕が大切に守っていた、つばがぴかぴかと光る二円八十銭の帽子が、ちゃんと右手に握られていました。
僕は最高に嬉しくなって、それからにこにことお母さんの顔を見て笑いました。

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