初級翻訳・変な衛星 第7話

変な衛星

馬鹿丘は人間にとって不毛の荒野であり、冥王星と同じくらい未知の領域だったのです。まるで小悪魔たちが今度こそ、敵である「踏みつぶし屋」の大巨人、この畑の強奪者を絶滅させる覚悟を決めたかのようでした。
武器は役に立ちません。
グラントは追跡者を見ようともしませんでした。やつらは草の中を、まるで頭巾をかぶった鼠のように滑るようにして迫ってきます。
たとえ一発の銃弾がスリネズミを一匹仕留めたところで、無駄というものです。
火炎放射機なら一吹きで何トンもの藪や流血草を灰にできるでしょうが、大群をなす鼠どもの狭路を切り開く程度の効果しかありません。
唯一役に立つかもしれない武器であるガス球は、壊れた小屋の中に置いてきてしまいました。
グラントとリーはやむなく上へと逃げました。
平地から300メートルほど登ると、空気がだんだんと薄くなってきました。
もう密林はなく、流血草だけが繁茂しており、数匹のべらぼうが頭を出し、長い首をひょこひょこと動かしています。
グラントは喘ぎ、苦しげに息を切らしながら言いました。
「山頂へ向かうんだ。たぶんやつらよりは、この薄い空気に耐えられるはずだ」
リーは返事をする余裕すらありません。
傍らでぜいぜいと息を切らし、むき出しの岩肌をのろのろと進みました。
前方に、門柱のような低い頂きが二つ見えてきました。
グラントが後ろを振り返ると、小さな黒い群れが空き地にちらりと見えたので、怒りにまかせて一発撃ちました。
一匹のスリネズミがマントを広げて反射的に飛びのきましたが、残りの部隊が後を追ってきます。何千匹もいるに違いありません。
頂上に近づき、ほんの数百メートルのところまで来ました。
頂上は切り立っており、つるつるとしていて登れそうにありません。
「あいだに」
とグラントがつぶやきました。
二つの頂きのあいだには何もなく、道は狭まっていました。
この二つの頂きはかつては一体でしたが、昔の火山活動のために二つに割れ、このような峡谷ができたのです。
グラントはリーに腕を回しました。
リーの息は無理がたたり、高度のせいでひっきりなしにぜいぜいと鳴っています。
入り口に着いたとき、岩に矢がチャリンと当たってきらきらと光りました。グラントが後ろを振り返ると、紫色のべらぼうが一匹だけついてきており、数匹が右手にいるだけでした。
15メートルほどの直線通路を急ぐと、突然、かなり大きな谷が現れ、その光景にしばし胆をつぶして二人は立ち止まりました。
そこに街があったのです。
グラントは一瞬、スリネズミの大都市に出くわしたのかと思いましたが、一見してそうではないと分かりました。
中世風の街並みではなく、大理石風の古代的な美しさが漂う叙情的な風景で、そこには「人」と呼ぶべき人間的な調和がありました。
白い円柱、壮麗なアーチ、曲線を描くドーム、そして建築美。すべてがまるで古代ギリシャのアクロポリスの影響を受けているようです。
再度よく見れば、街がさびれ、砂漠化して荒れていることが分かりました。
疲労困憊のリーですら、その美しさを感じ取っていました。
息も絶え絶えに彼女は言いました。
「な、なんてすばらしい……」
「スリネズミなら、こんなものやりかねない」
グラントがつぶやきました。
「もし人間ならたまらないな。とにかく陣地を確保せねば。建物を選ぼう」
ですが、谷の入り口から1メートルも行かないうちに、大騒動で足止めを食らいました。
辺りを見回した途端、グラントは現実に身がすくみました。
狭い谷は「チューチュー」と叫ぶ大群のスリネズミに満ち溢れ、黒いじゅうたんが波打つさまに吐き気を催しました。
ですが、やつらは谷の端っこに留まっています。
なぜなら、ニタニタ、ギャーギャーと奇声を上げ、ヒョコヒョコしながら入り口をふさいでいるのが、三本指の足をどんどんと踏み鳴らしている四匹のべらぼうだったからです。
戦いが始まっていました。
スリネズミが噛んだり刺したりすると、惨めな守備隊のべらぼうたちが痛みで泣き叫びます。その嬌声は笑い声ではなく、悲痛な金切り声でした。
しかし、べらぼうたちは自分たちにとって全くの部外者であるスリネズミを排除しようと固く決意しているのか、鉤爪のついた足を整然と上げ下げして、踏みつけるわ、踏みつけるわ。
グラントが感情を爆発させました。
その時、ある考えが浮かびました。
「驚いたな。リー、やつら谷に閉じ込められているんだ。全悪魔がな」
グラントが入り口に突進しました。
火炎放射銃を一匹のべらぼうの細い足の間に差し込み、まっすぐ谷の中央を狙って発射しました。
地獄のような音が轟きました。
ちっぽけなダイヤモンドがすさまじい一吹きで全エネルギーを放出し、火炎をめらめらと噴き上げます。火炎は谷の壁という壁をなめ尽くし、はるか向こうまで噴出し、火炎風で坂の流血草を焼き払いました。
馬鹿丘に轟音が何回もこだましました。
塵の雨が収まると、谷にあるのは肉の塊と、かわいそうなべらぼうの頭が一つ、まだ弾んでのたうち回っているだけでした。
三匹のべらぼうが生き残りました。
紫顔のべらぼうが一匹、グラントの手を握って、にこにこしながらギャーギャーと馬鹿喜びをしています。
グラントはべらぼうを払いのけて、リーのところへ戻りました。
「ありがたい。とにかく排除した」
「怖くなかったわ、あなたがいたから」
「ふふふ、おそらくここにいることが奴らにも分かるだろう。この高度であれば白熱病にはかからない。ところで、そうだなあ、ここは全スリネズミ種族の古代首都だったに違いない。でも、あの小悪魔どもがこんなにも美しく、いや、これほど大きな建物を造ったとは思えないんだがな」「だって、スリネズミの大きさとこれらの建物の比率は、ニューヨークの摩天楼と人間のそれと比べても、あまりに巨大すぎる」

リーが壮大な廃墟を眺めながら、そっと言いました。
「とても美しいわ。……まあ、やりかねないかもしれないわね、グラント。あれを見て」

リーが指さした先を見て、グラントは息を呑みました。峡谷の入り口の内側に、巨大な彫刻があったからです。
二人がまばたきも忘れて驚き見つめたのは、その肖像画でした。
崖の両側、はるか高い場所に描かれていたのはスリネズミではなく、べらぼうの姿でした。
まさに生き写しです。うすら笑いというよりは微笑みに近く、やや悲しげで、気の毒そうで、哀れむような表情をしていますが、間違いなくべらぼうでした。

グラントが小声で言いました。
「驚いたな。リー、わかるか? かつてはべらぼうたちの街だったに違いないんだ。階段も、扉も、建物も、すべてが彼らの大きさに合わせられている。どういうわけか、ある時期に彼らは文明を獲得していたんだよ。我々の知る今のべらぼうたちは、偉大な種族が退化して残った成れの果てというわけさ」

リーが言葉を挟みました。
「それに、スリネズミたちが入り込もうとした時に、あの4匹が阻止した理由もわかるわ。彼らはまだ覚えているのよ。いえ、実際には記憶していないかもしれないけれど、過去の栄光を伝える伝説を持っているか、あるいはもっとありそうなのは、ここに何らかの神聖な迷信を感じているのね。

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