』「どうしても訊問の必要があるの。今朝から、まったく何の役にも立たないんだもの!」
すると、ネズミが小人にこう言いました。
「こんな訊問が何になるというんだ。検事もいなければ判事もいない。ただ無駄に私たちの息を費やすだけだ」
「僕が判事になってやろう。検事にもなってやるよ」と、狡猾な福公(ふくこう)が言いました。
「吾輩がすべての訴訟を裁く。いいか、お前に死刑の宣告をするぞ!」
「お前の知ったことではない」とネズミは真面目な顔で愛ちゃんに言い放ち、「何を考えているんだ?」と尋ねました。
「え、何ですか?」と愛ちゃんは丁寧に答えました。「貴方はこれで五度もお辞儀をしましたね?」
「していない!」とネズミは怒って叫びました。
「皆さん!」愛ちゃんはそう言って、さらに続けようと気遣わしげに周りを見回しました。「さあ、これで解散しましょうじゃありませんか!」
「そんなことをする必要はない」と、ネズミは立ち上がって歩き出しました。
「馬鹿なことを言う。それは私を侮辱するものだ!」
「そんなつもりじゃなくてよ」と愛ちゃんは優しく弁解しました。
「本当に怒りっぽい人ね。もう、怒らないで!」
ネズミはただ歯ぎしりをするばかりでした。
「おいでよ、最後まで話して!」愛ちゃんが背後から呼びかけました。
他の者たちも声を合わせて「そうだとも、そうだとも!」と言いましたが、ネズミはただ悔しそうに頭を振って、さっさと歩いて行ってしまいました。
「まあ、行ってしまった。可哀想に!」
ネズミの姿が全く見えなくなるとすぐに、ローリー鳥がそう言って長い溜息を吐きました。
それを機に、一匹の年老いた蟹が自分の娘に言い聞かせました。
「ああ、お前ね、よく覚えておきなさい。これは、お前のその悪い性質はどうしても直すことができないのだという、良い教訓だからね!」
「何ですって、お母さん!」と、その若い蟹が怒って噛みつくように言いました。
「年甲斐もなく、お慎みなさい!」
「ああ、ここに玉ちゃんがいたらいいのになあ!」と、愛ちゃんは誰に言うでもなく声を上げました。
「玉ちゃんって誰のこと? え、誰?」とローリー鳥が言いました。
愛ちゃんは元々、その可愛い猫のことを話したくてたまらなかったので、心待ちにしていたとばかりに答えました。
「玉ちゃんは私の猫よ。ネズミ捕りの名人だわ! ああそうだ、鳥を追いかけるところを見せてあげたいのね! 玉ちゃんはそれを見るが早いか、すぐに小鳥などは捕まえて食べてしまうのよ!」
この話は一同に著しい感動を与えました。
中には逃げ出す鳥さえいて、年老いた一羽の鵲(かささぎ)は用心深く身仕舞いをしながら、「家へ帰ろう、夜露は喉に毒だ!」と言い出しました。
また金糸雀(かなリア)は震え声で、「お帰りよ、みんな! もう寝る時間じゃないか!」と子供たちを呼びました。
さまざまな口実を設けてみんな残らず立ち去った後、そこには愛ちゃん一人だけが残されました。
「玉ちゃんのことを話さなければよかった」と、愛ちゃんは悲しげな声で呟きました。
「誰もここにいた者たちは、玉ちゃんのことが好きではないみたい。だけど、玉ちゃんは世界中で一番良い猫に違いないわ! おう、可愛い玉ちゃん! 私は今までのように、ずっとお前のそばにいられるのかしら!」
そう言って、憐れな愛ちゃんは心細くなり、急にまた泣き出してしまいました。
しばらくして、愛ちゃんは遠くの方でパタパタという小さな足音を聞きつけ、一心にその方を見つめていました。ネズミが機嫌を直して戻ってきて、話を最後までしてくれるのではないかと思いながら。
第四章
蜥蜴の『甚公』
やってきたのは白兎でした。再び駆け戻ってきて、まるで何かをなくした時のようにキョロキョロと四方を見回しながら、「公爵夫人! 公爵夫人! おや、私の可愛い足は! 私の毛皮や髭は! 何と言っても、きっと夫人は私を罰するに違いない! どこへそれを落としたのかしら?」と呟いています。
それを聞いて、愛ちゃんはすぐに、兎が扇子と白い山羊仔皮の手袋を探しているに違いないと思い、親切にもそれを尋ねてあげましたが、どこにも見当たりませんでした。
――あの涙の池で泳いでからは何もかもが変わってしまったようで、ガラスのテーブルも、小さな戸のあった大広間も、全くどこかへ消え失せてしまっていたのです。すると兎は、愛ちゃんがいることに気がつき、怒ったような声で呼びかけました。「オヤ、梅子さん、そこで何をしているの? 早く行って手袋と扇子を持って来なさい! 早くさ!」愛ちゃんの驚きは大変なものでした。何がなんだか分からないまま、すぐに兎が指さした方へ向かって駆け出しました。
「私を小間使いだと思っているのね」と、愛ちゃんは走りながら独り言を言いました。
「驚いて人の見境もつかなくなっているんだわ! だけど、扇子と手袋は持って行ってあげたほうがいいわね――そうよ、もしあればの話だけど」言い終わるのと同時に、小ぎれいな小さな家にたどり着きました。その入口には、ぴかぴかと光る真鍮の表札に『山野兎』と名前が彫りつけられていました。愛ちゃんは誰に声をかけるでもなく二階へと駆け上がりました。本物の梅子さんに会って、扇子と手袋を見つける前に戸外へ追い出されてしまわないかと、ひやひやしながら。
「不思議なこと、兎のお使いに来るなんて!」と独り言を言って、「今度はきっと玉ちゃんが私をお使いに行かせるようになるのかしら!」と言って、愛ちゃんはその時の様子をいろいろと想像してみました。「『愛ちゃん! まあここへおいで、用があるんだから!』『ちょっとお入り、乳母や! 私が帰ってくるまでネズミが逃げ出さないように、このネズミ穴を番しておいで』……でも」と言って、さらに「もしそんな風に人を使えるようになっても、みんなが玉ちゃんを家に入れてくれるかしら!」と思いを巡らせました。
やがて愛ちゃんは、きれいに片付いた小さな部屋へ行きました。窓の近くには洋風のテーブルがあり、その上には(愛ちゃんの望み通り)一本の扇子と、二、三枚の小さな白い山羊革の手袋が載っていました。
愛ちゃんは扇子と手袋を手に取り、まさにその場を立ち去ろうとしたとき、姿見の鏡のそばにあった小さな瓶に目が留まりました。
今度は「召し上がれ」と書いた貼り紙はありませんでしたが、それにもかかわらず愛ちゃんは栓を抜いて、すぐに唇に当てがいました。
「きっと今にいい気持ちになるに違いないわ」と独り言を言って、「私の食べたり飲んだりするものは、いつだってそうなの。どんなものだかこれも一つ試してみよう。うまくいくと、一度大きくなってくれたらいいのだけれど。こんなに小さな体のままでいるのは、もう嫌だわ!」
実際、思ったよりも早く、半分も飲まないうちに愛ちゃんは頭が天井につかえたことに気づきました。首を折らないようにと用心して体を屈め、急いで瓶を下に置いて、「もうたくさんよ――もう伸びたくないわ――この通り、外へ出られなくなってしまったわ――本当に、あんなに飲まなければよかった!」と独り言を言いました。
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