唸っていても、何だかさっぱりわからないんだから」と愛ちゃんが言いました。
赤子がまた唸ったので、何かあったのではないかと、愛ちゃんは心配そうにその顔を覗き込みました。紛れもなくそこには、普通の鼻よりも獅子鼻にそっくりな、ひどく反り返った鼻がありました。また、その目も赤ちゃんにしては非常に小さすぎました。愛ちゃんは、その容貌を見るのが少し嫌になってしまいました。
「でも、きっと泣いているのね」と思ったので、涙が出てはいないかと、もう一度その両目を見ました。ところが、一滴の涙もありませんでした。
「もしもお前が豚になってしまうならば、ねえ」と愛ちゃんは真面目に言いました。「そうすれば世話がなくていいのだけれど、ねえ!」哀れな小さな生き物は再びひっくひっくと鳴きました(いいえ、唸ったのですが、何と言ったのかはわかりませんでした)。そのため、両者ともしばらくの間、黙り込んでいました。
愛ちゃんはしきりに考え始めました。「さて、私がこの子を連れて帰ってどうしよう?」やがてまたひどく唸ったので、愛ちゃんは驚いてその顔を見入りました。今度こそ、どう見ても豚に違いありませんでした。愛ちゃんも、もうこの子を連れて行くのは全く馬鹿げたことだと思いました。
そこで、愛ちゃんはその小さな動物を地面に下ろし、きっとそれがゆっくりと森の中へ逃げ込んでいくだろうと思って眺めていました。
「もしこの子が大きくなったら」と独り言を言いました。「随分と醜い子供になるでしょうけれど、どちらかと言えば大人しい豚さんね」愛ちゃんは、豚になってしまいそうな子供たちのことを思い浮かべながら、「もし誰かが、うまく彼らを変える方法を知っていたら……」と自分に言い聞かせました。ちょうどその時、チェシャ猫が二、三尺離れた木の枝の上に座っているのを見て、少なからず驚かされました。
猫は愛ちゃんを見て、ただその歯並びを見せただけでした。
「優しそうね」と愛ちゃんは思いましたが、やはりその猫はとても長い爪とたくさんの歯を持っていたので、丁重に接しなければならないな、とも考えました。「猫ちゃん!」
猫がそれを喜ぶかどうかはわかりませんでしたが、とにかく愛ちゃんは少しおそるおそる、そう呼びかけてみました。
すると猫は、さっきよりも少しだけ広く、口を開いて歯を見せただけでした。
「まあ、とっても嬉しそう!」
愛ちゃんはそう思って、話を続けました。
「ねえ、教えてくれる? 私はここからどっちへ行けばいいのかしら?」
「それはもちろん、お前さんがどこへ行きたいかによるよ」と猫が言いました。
「どこでもいいのよ……」と愛ちゃんが答えると、
「それなら、どっちの道へ行ったって同じことさ」と猫が言いました。
「――どこかへたどり着きさえすれば、いいの」愛ちゃんは説明するように付け加えました。
「ああ、それなら大丈夫。とにかく長く歩き続ければ、どこかへは着くさ」と猫は言いました。
愛ちゃんもこれには言い返せなかったので、今度は別のことを聞いてみることにしました。
「このあたりには、どんな人が住んでいるの?」
「こっちの方向には」と猫は右の前足を振って弧を描き、「帽子屋が住んでいる。そしてあっちの方向には」と猫はもう片方の前足を振って、「三月ウサギが住んでいる。どちらでも好きなほうを訪ねてごらん。どっちもみんな狂人だからね」
「でも、私、狂人のところなんて行きたくないわ」と愛ちゃんが言いました。
「ああ、そんなことを言っても無駄だよ」と猫が言いました。「だって、私たちだって、こうしてここにいる時点でみんな狂人なんだから。私も狂人。お前さんも狂人さ」
「どうして私が狂人だってわかるの?」と愛ちゃんが聞きました。
「だって、そうじゃないか」と猫は言いました。「もしお前さんがまともなら、わざわざこんなところへは来ないだろう?」
愛ちゃんはまったく、それに対して言い返す言葉が見つかりませんでした。それでもなお、「じゃあ、どうしてあなた自身が狂人だってわかるの?」と質問を続けました。
「そうねえ」と猫は言いました。「犬は狂人じゃない。そう言ったら嬉しいかい?」
「そうね」と愛ちゃんが答えました。
「それならね」と猫は続けました。「お前さんは、犬が怒るときには唸り声をあげて、嬉しいときには尻尾を振るのを見たことがあるだろう? ところが今の私は、嬉しいときに唸って、怒るときに尻尾を振るんだ。だから私は狂人さ」
「それは喉をゴロゴロ鳴らしているのよ。唸っているんじゃなくて」と愛ちゃんが言いました。
「まあ、好きなように言えばいいさ」と猫は言いました。「お前さん、今日は女王様と毬投げをしないのかい?」
「私、大好きよ」と愛ちゃんが言いました。「でも、まだ招待されていないの」
「それじゃ、またそこで会おうね」そう言うと、猫は姿を消してしまいました。
愛ちゃんはこれにはあまり驚きませんでした。もう不思議な出来事にはすっかり慣れてしまっていたからです。
猫がいた場所をじっと見つめていると、突然また猫が現れました。
「そういえば、あの赤子はどうなったんだい?」と猫が言いました。「聞くのをすっかり忘れていたよ」
「豚になっちゃったわ」と愛ちゃんは、まるでそれが当たり前のことであるかのように、静かに言いました。
「やっぱりそうだろうと思ったよ」と猫は言うと、また消えてしまいました。
愛ちゃんは、すぐまた姿を現すだろうと思ってしばらく待っていましたが、猫は結局戻ってきませんでした。しばらくして愛ちゃんは、三月ウサギが住んでいると言われたほうへ歩き出しました。
「帽子屋なら会ったことがあるわ」と愛ちゃんは独り言を言いました。「三月ウサギとは会うのは初めてね。今は五月だから、狂って暴れ回っているかもしれないわ――三月ほどではないとしてもね」愛ちゃんがそう言って上を見ると、またあの猫が木の枝に座っていました。
「お前さんは、豚と言ったのかい? それとも『ぶち』と言ったのかい?」と猫が言いました。
「豚と言ったのよ」と愛ちゃんが答えました。「お願いだから、いつまでもそうやって現れたり消えたりしないで。本当にめまいがするわ」
「わかったよ」と猫は言うと、今度はゆっくりと姿を消していきました。尻尾の先から順に消えていき、体がすっかり見えなくなっても、最後にはしばらくの間、あのニヤニヤした口と歯だけが空中に残っていました。
「あら! 歯のない猫なら何度も見たことがあるけれど、猫のない歯を見たのは初めてだわ! 今まで見た中で一番奇妙な光景よ!」
愛ちゃんがそう言い終わらないうちに、三月ウサギの家が見えてきました。それは耳のような形をした煙突と、毛皮でおおわれた屋根がついた、立派な家でした。
とても大きな家だったので、愛ちゃんは持っていたキノコを少しかじり、背を二尺(約60センチ)ほどに伸ばしてからでないと、怖くて近づけませんでした。それでも二尺の高さになった愛ちゃんでさえ、少しおそるおそる近づいていきました。「きっと、また暴れ回るような狂人に違いないわ! それなら、帽子屋さんのところへ行ったほうがまだマシだわ!」と思いながら。
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