「見ろよ! これが本当のプロレタリアート文化の進歩ってやつだ。俺は職工で、工場でアルミの板をこねくり回しているけれど、自分で飛行機を組み立てようなどと思ったこともなかった。ところがどうだ! このチビ助は! もう俺を追い越している。飛行機を造る力を自分の中に感じているんだ」
お父さんは、無骨な手でミーチャの頭を撫でて言いました。
「ふんばって、せっせと親父を追い抜くんだぞ。いいか! そして俺たち世界のプロレタリアート、ソヴェトの文化を押し上げるんだ。アメリカを追い抜くのは俺たちじゃない。こういうチビ共だ!」
お父さんの声には深い感動がこもっていて、ミーチャは重い手のひらの下で、嬉しいような、少し怖いような気持ちになりました。
「さあ、いいからご飯を食べなさい」
お母さんは静かな声でミーチャに言いました。そして、
「でも、それは難しいことなのよ、なかなかね……」
「そうさ! 難しいさ。だが、その困難を乗り越えるだけの健康と知恵があるチビ公には何でもない。道は開かれている。ソヴェトの小学校、技術学校、もっと上の専門学校が、プロレタリアートの子供たちに、女の子だろうが男の子だろうが、すべて無料で開かれているのはなぜだと思う? これは『プロレタリアートのチビ共、進め!』という合図なんだよ」
さて今朝、ミーチャはお茶を飲むと、急にお母さんをせき立て始めました。自分でコートを着て帽子をかぶり、玄関のドアのところへ先に出て待っています。
「どうしたのさ、急に!」
「今日、きっと行くと思うんだよ」
「どこへ?」
「動物園へ。インドではね、象はとても働くんだよ。母さん知ってる? イギリス人がインドで象とインド人をひどくこき使って儲けているんだ。象を見たことがないから、先生がみんなを連れて行ってくれるんだって」
お母さんが毛糸の肩掛けを頭からかぶると、まずミーチャがドアから外へと飛び出しました。続いてお父さんが出て、最後にお母さんが出て、鍵を閉めてポケットにしまいました。
お父さんは「トトトト」と勢いよく階段を駆け下りて行きました。ミーチャだって、もう「十月の児」です。手すりになんか捕まりません。手すりを滑り降りていきます。
(八歳から十五歳までがピオニェールで、それより小さい子はみんな「十月の児」と呼ばれます)
一番下の大きな戸を開けると、外は広い中庭です。春には花壇に綺麗な花が咲きますが、今はまだ深い雪の中から、緑色の花壇の仕切りの先が見えるだけです。
この頃ミーチャは、いつもこの鳩のいる中庭で母さんと別れます。お母さんは工場で職場代表を務めている、立派な労働婦人です。昔風にキスをしてミーチャを甘やかしたりはしません。
「じゃあ、いっといで!」
「うん」
同志みたいに別れます。ミーチャは元気な眼つきで中庭を横切り、向こう側の建物の入り口を開けて中に入りました。その入り口と並んで、こちらからは植木鉢が五つ並んだ明るい窓が見えます。ミーチャや大勢の子供たちが一日を過ごす幼稚園の窓です。
ミーチャと別れたお母さんは、急ぎ足で木の門を出たところで、隣に住んでいるタマーラに会いました。タマーラとお母さんのアンナは、同じ菓子工場で働いています。二人は並んで、頭を包んだ肩掛けの中から白い息を吐きながら並木道を歩きました。
「どう? お前の体調は」
ミーチャのお母さんが聞きました。
「どうやら、そのようよ」
「妊婦健康相談所へは行ったの?」
「それで分かったの」
「心配することは何もないわよ」
「…………」
若いタマーラは黙って肩をすくめました。
「だってあなた、丈夫じゃない」
「そりゃそうよ」ミーチャのお母さんはしばらく黙って歩いていましたが、やがて穏やかな碧い瞳いっぱいに、花が咲いたような微笑みを浮かべて言いました。
――私たち、いわば国家の母さんだからね。子供だって国家の赤ちゃんなのよ。安心しなさい。
ミーチャのお母さんは、労働婦人ならば産前産後の四ヶ月間は給料をもらいながら休めること、赤ちゃんの支度金と九ヶ月分の特別なミルク代が国から出ること、そして病院も無料であることなどを、その短い言葉の中に込めてタマーラに思い出させたのです。
タマーラは何も言いませんでした。
でも、工場が近づくにつれて、托児所に預ける子供を自分の肩掛けの中に抱き込んで歩いていく労働婦人たちの姿を、今日はいつもよりずっと注意深い目つきで見つめていました。
ミーチャのお母さんは工場の門の中で、背が高く、さっぱりとした黒い外套を着た女性に出会いました。
――あら、ナターリヤ・イワーノヴナ、ごきげんよう。
托児所の保母さんは、少し立ち止まってアンナのことを思い出しました。
――ごきげんよう。ミーチャのお母さん。ミーチャは元気? ちっとも交代の子供が来ないものだから。
――今度は、この人の赤ちゃんをお願いすることになるわ。
そう紹介されて、タマーラは笑いながら少し顔を赤らめました。
――ミーチャが今朝、托児所の二十日鼠のことを思い出してね。生きているかしらって心配していたんですよ。
――生きていますとも! ワロージャが家からあと二匹持ってきたので、もう子供の鼠も生まれましたよ。ミーチャに「見においで」と伝えてくださいな。
ナターリヤ・イワーノヴナはクラブの横を通って、托児所の方へ向かいました。
ミーチャのお母さんは、タマーラと一緒に仕事の出勤札を受け取りに事務所へ行きました。
その頃、ミーチャは幼稚園で、朝日の差し込む窓の前で如雨露(じょうろ)を持って立っていました。
水はきらきらと光りながら転がり落ちて、鉢植えのゼラニウムの芽を濡らしていました。
〔一九三一年三月〕
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