初級翻訳・犬さんと、くもさんと、かへるさん 第1話

村山 籌子

犬のおばあさんは、ひとりで暮らしていました。でも、ひとりで暮らすのは、とてもさみしいことでした。
お仕事をしているときも、夜ねているときも、ひとりでいるのはつらいことでした。
そこで、いっしょに暮らすお友達をさがそうと、新聞に広告を出すことにしました。
広告の文は、こんなふうでした。

わたしは犬ですが、としをとりましたので、ひとりで暮らすのはさみしいです。
どなたか、わたしの家へいっしょに住んでくださる方はいませんか?
ただし、わたしのうちには、お皿と、ナイフと、フォークが一つずつしかありませんから、来てくださる方は、どうぞ、ご自分のお皿と、ナイフと、フォークを持っていらしてください。
いつも、おいしいごちそうを食べさせてあげます。
東京、犬小屋町 犬山クロ子

この広告を見て、お皿と、ナイフと、フォークを持ってやってきたのが、くもさんでした。
くもさんは二階に住むことになりました。
おばあさんはとてもよろこびました。
けれども、二人目にやってきたのが、かへるさんでした。
かへるさんは、あまりにも急いでやってきたものですから、お皿と、ナイフと、フォークを持ってくるのをすっかり忘れてしまいました。
おばあさんも、くもさんも、とてもこまってしまいました。
すると、かへるさんが言いました。
「おばあさん、くもさん、少しもこまることはありませんよ。
わたしは、みなさんが食べおわったあとのお皿をかりて使いますから、だいじょうぶです。」

すると、くもさんとおばあさんは、手をたたいて、ホッと胸をなで下ろしました。
「それは、実にいい考えだ!」と言って。
三人はなかよく暮らしました。

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