それは、小人たちが家をでかけたときのように、いろいろのものが、ちゃんとおいてなかったからでした。
第一の小人が、まず口をひらいて、いいました。
「だれか、わしのいすに腰をかけた者があるぞ。」
すると、第二の小人がいいました。
「だれか、わしのお皿のものをすこしたべた者があるぞ。」
第三の小人がいいました。
「だれか、わしのパンをちぎった者があるぞ。」
第四の小人がいいました。
「だれか、わしのやさいをたべた者があるぞ。」
第五の小人がいいました。
「だれかわしのフォークを使った者があるぞ。」
第六の小人がいいました。
「だれか、わしのナイフで切った者があるぞ。」
第七の小人がいいました。
「だれか、わしのさかずきでのんだ者があるぞ。」
それから、第一の小人が、ほうぼうを見まわしますと、じぶんの寝どこが、くぼんでいるのを見つけて、声をたてました。
「だれが、わしの寝どこにはいりこんだのだ。」
すると、ほかの小人たちが寝どこへかけつけてきて、さわぎだしました。
「わしの寝どこにも、だれかがねたぞ。」
けれども、第七ばんめの小人は、じぶんの寝どこへいってみると、その中に、はいってねむっている白雪姫を見つけました。
こんどは、第七ばんめの小人が、みんなをよびますと、みんなは、なにがおこったのかと思ってかけよってきて、びっくりして声をたてながら七つのランプを持ってきて白雪姫をてらしました。
「おやおやおやおや、なんて、この子は、きれいなんだろう。」と、小人はさけびました。
それから小人たちは、大よろこびで、白雪姫をおこさないで、寝どこの中に、そのままソッとねさせておきました。
そして、七ばんめの小人は、一時間ずつほかの小人の寝どこにねるようにして、その夜をあかしました。
朝になって、白雪姫は目をさまして、七人の小人を見て、おどろきました。
けれども、小人たちは、たいへんしんせつにしてくれて、「おまえさんの名まえはなんというのかな。」とたずねました。
すると、
「わたしの名まえは、白雪姫というのです。」と、お姫さまは答えました。
「おまえさんは、どうして、わたしたちの家にはいってきたのかね。」」と、小人たちはききました。
そこで、お姫さまは、まま母が、じぶんをころそうとしたのを、かりうどが、そっと助けてくれたので、一日じゅう、かけずりまわって、やっと、この家を見つけたことを、小人たちに話しました。
その話をきいて、小人たちは、
「もしも、おまえさんが、わしたちの家の中のしごとをちゃんと引きうけて、にたきもすれば、おとこものべるし、せんたくも、ぬいものも、あみものも、きちんときれいにする気があれば、わしたちは、おまえさんを家においてあげて、なんにもふそくのないようにしてあげるんだが。
」といいました。
「どうぞ、おねがいします。
」と、お姫さまはたのみました。
それからは、白雪姫は、小人の家にいることになりました。
白雪姫は、小人の家のしごとを、きちんとやります。
小人の方では毎朝、山にはいりこんで、金や銀のはいった石をさがし、夜になると、家にかえってくるのでした。
そのときまでに、ごはんのしたくをしておかねばなりませんでした。
ですから、ひるまは白雪姫は、たったひとりでるすをしなければなりませんので、しんせつな小人たちは、こんなことをいいました。
「おまえさんのまま母さんに用心なさいよ。
おまえさんが、ここにいることを、すぐ知るにちがいない。
だから、だれも、この家の中にいれてはいけないよ。
」
こんなことはすこしも知らない女王さまは、かりうどが白雪姫をころしてしまったものだと思って、じぶんが、また第一のうつくしい女になったと安心していましたので、あるとき鏡の前にいって、いいました。
「鏡や、鏡、壁にかかっている鏡よ。
国じゅうで、だれがいちばんうつくしいか、いっておくれ。
」
すると、鏡が答えました。
「女王さま、ここでは、あなたがいちばんうつくしい。
けれども、いくつも山こした、
七人の小人の家にいる白雪姫は、
まだ千ばいもうつくしい。
」
これをきいたときの、女王さまのおどろきようといったらありませんでした。
この鏡は、けっしてまちがったことをいわない、ということを知っていましたので、かりうどが、じぶんをだましたということも、白雪姫が、まだ生きているということも、みんなわかってしまいました。
そこで、どうにかして、白雪姫をころしてしまいたいものだと思いまして、またあたらしく、いろいろと考えはじめました。
女王さまは、国じゅうでじぶんがいちばんうつくしい女にならないうちは、ねたましくて、どうしても、安心していられないからでありました。
そこで、女王さまは、おしまいになにか一つの計略を考えだしました。
そしてじぶんの顔を黒くぬって、年よりの小間物屋のような着物をきて、だれにも女王さまとは思えないようになってしまいました。
こんなふうをして、七つの山をこえて、七人の小人の家にいって、戸をトントンとたたいて、いいました。
「よい品物がありますが、お買いになりませんか。
」
白雪姫はなにかと思って、窓から首をだしてよびました。
「こんにちは、おかみさん、なにがあるの。
」
「上等な品で、きれいな品を持ってきました。
いろいろかわったしめひもがあります。
」といって、いろいろな色の絹糸であんだひもを、一つ取りだしました。
白雪姫は、
「この正直そうなおかみさんなら、家の中にいれてもかまわないだろう。
」と思いまして、戸をあけて、きれいなしめひもを買いとりました。
「おじょうさんには、よくにあうことでしょう。
さあ、わたしがひとつよくむすんであげましょう。
」と、年よりの小間物屋はいいました。
白雪姫は、すこしもうたがう気がありませんから、そのおかみさんの前に立って、あたらしい買いたてのひもでむすばせました。
すると、そのばあさんは、すばやく、そのしめひもを白雪姫の首をまきつけて、強くしめましたので、息ができなくなって、死んだようにたおれてしまいました。
「さあ、これで、わたしが、いちばんうつくしい女になったのだ。
」といって、まま母はいそいで、でていってしまいました。
それからまもなく、日がくれて、七人の小人たちが、家にかえってきましたが、かわいがっていた白雪姫が、地べたの上にたおれているのを見たときには、小人たちのおどろきようといったらありませんでした。
白雪姫は、まるで死人のように、息もしなければ、動きもしませんでした。
みんなで白雪姫を地べたから高いところにつれていきました。
そして、のどのところが、かたくしめつけられているのを見て、小人たちは、しめひもを二つに切ってしまいました。
すると、すこし息をしはじめて、だんだん元気づいてきました。
小人たちは、どんなことがあったのかをききますと、姫はきょうあった、いっさいのことを話しました。
「その小間物売りの女こそ、鬼のような女王にちがいない。よく気をつけなさいよ。
わたしたちがそばにいないときには、どんな人だって、家にいれないようにするんですよ。
」と。
わるい女王の方では、家にかえってくると、すぐ鏡の前にいって、たずねました。
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