親鳥子鳥

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佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第32話

「源太郎さん、私、苦しくてどうにかなっちゃいそうよ。もう一度お医者さんに来てもらえないかしら?」と、夕方に僕へ頼んできたときも、彼女は手鏡をずっと手放さずに持っていた。「痛いのって、側で見ているだけでも本当に辛いものですね何かいい方法はあり...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第31話

こちらへ来るには及びません』と慌てて返電が来ましたよ。あの野郎、ちゃっかりほかの腕のいい医者を探して入院したんですな。親父のヘボい腕前を、息子はよく知っていたわけですよ」と佐久間先生はケラケラと笑っていた。「医者の不養生」という有名なことわ...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第30話

二人はすぐに引き返し、五時近くになって家に帰った。「どうでございましたの?」とお母さんが迎えてくれたけれど、僕は錦町へ行ったことだけは報告からこっそり省いた。しばらくして、お父さんが帰ってきて、「絹子さん、うちの新聞に写真を撮られちゃったね...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第29話

玄関で見送ったあと、絹子さんは、「面白いおじさんね」と楽しそうに笑っていた。「銀座から三越へでも参りましょうか? クリスマスの装飾できれいですよ」と僕が提案した。「それじゃあそうお願いいたしますわ。ちょっと待ってくださいね」と絹子さんは離れ...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第28話

せっかく東京へ来たついでに、一つ手術を受けたいと思っているのだけど、ああいう美容整形って、下手なところにお願いするとかえって形が悪くなっちゃうって聞くし……」「そうなののかしらねえ。私、そのへんはちっともわからないのよ。でもねえ、絹子さんの...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第27話

当時は散髪代が三銭五厘だったよ」「それは相当昔ですねえ」「日清戦争の前だったからね。物価が安かったんだ。蕎麦なんて、もりやかけが八厘、具が入った種物(たねもの)でも二銭五厘という時代だったからな」「なるほどねえ」「その代わり、金も取れなかっ...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第26話

「時代も進んだものだなあ」「どうして?」「あんなに教育がなさそうな人なのに、あんなに威勢の良い女権論者(女性の権利を主張する人)がいるんだからさ」「あれは女権なんかじゃないよ」「それじゃあ何なんだい?」「カカア天下さ」「同じことじゃないか」...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第25話

お手数をおかけします」「はあ?」と僕は思わず聞き返したが、「さあ、どうぞ」とハガキをグイと突きつけられたので、やっぱり他人の手紙を代筆してほしいという依頼なのだと分かった。あのネコヤナギの筆で文字を書くことを思えば、「お手数をおかけする」ど...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第24話

髪をさっぱりさせれば気持ちがいいことくらい分かっているけれど、タイミングが悪いと床屋で一時間も待たされることになると思うと、どうしても億劫になって腰が上がらないのだ。「源太郎は変な顔をしているね。どこか具合でも悪いんじゃないのか?」と、今朝...
佐々木 邦

初級翻訳・親鳥子鳥 第23話

「みんな、ちゃんと乗り換えの場所を知っているのかい?」「電車の路線図をトイレの壁に貼ってあるんだ」「なるほどね! それなら、たとえ途中で迷子になっても一人でちゃんと家に帰ってこられるわけだ」「実はね、今日は喜三郎をわざと迷子にさせる作戦なん...
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