吉川 英治

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吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第49話

しかし、またすぐ食べ始めます。木を降りるのも惜しいようです。と、一口かじりかけたところで、また「チクリ」。「ちぇっ」と舌打ちをして襟首をなでると、今度はなでた手が「チクリ」と刺されました。「なんだろう、さっきから――」そっと探ってみると、な...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第48話

「ではまた、後刻あらためてお目にかかりましょう」端厳、麒麟のごとき左少将・秀吉。風格、鳳凰のような右少将・家康。どちらも胸に大きな野心を抱いて、威風あたりを払い、安土城本丸の大広間を右と左とに分かれていきました。二「野武士のうちにも人物がい...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第47話

戦国の世ほど、移り変わりが激しいものはない。ついこの夏までは、右大臣織田信長の居城として、この山の緑の中に素晴らしい金殿玉楼が見えたものさ。金の鯱(しゃちほこ)や七重の天守が、日本中を支配しているかのようにそびえていた安土城だ。それがたった...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第46話

「一大事、一大事! まんまと敵の計略にはまり、頭領の生死もわからぬほどの大崩れだ!」 続いて逃げてきた手下たちも口々に叫びます。「伊那丸自身が先陣を切り、小幡民部が軍師となって、もうすぐここへ攻め寄せてくる気配だ!」 さらに間を置かず、次々...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第45話

なかなか七十人や八十人の小勢で押し寄せたところで、たやすく険しい廓(くるわ)は落ちまいと思う」「わたくしもあのなかを見てきましたが、どうしてどうして、恐ろしいほど厳重な山荘でございました」「それゆえ、力で押さず、智で落とす。しかし、智に頼っ...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第44話

目ばたきする間に二、三町も飛んだ呂宋兵衛のあとには、うすい虹か、淡い霧のようなものが一筋、尾をひくように残っていました。四いつまで見送って歯がみしたところでどうにもならないと、忍剣は一同を励ましました。そして、そこに倒れている伊那丸と咲耶子...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第43話

伊那丸は太刀を振りかぶり、咲耶子は薙刀の柄を握りしめて、「八幡(はちまん)!」と叫びながら、十字架の根元を狙って斬りつけました。その時――ほぼ同時でした。伊那丸の軍師である小幡民部が、無二無三に馬をそこへ飛ばしてきながら、「やあ、待ちたまえ...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第42話

竹童は勇んで、「それじゃあ夜中になったら、またすごい戦いが始まるな。僕も今からしっかり英気を養っておかなくちゃ……」 と言うと、飼っている鷹のクロを抱き、お堂の隅でゴロリと横になって寝てしまった。ところが、寝入るか寝入らないかのうちに、「お...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第41話

だが、おまえはここに、何用があってやってきたのか」「はい」竹童はかしこまって、「お師匠さまのお言付けでござります」「なに、果心先生からここへ使いに?」「さようでござります」「みなさまは、きょう穴山梅雪をお討ちになって、さだめしホッとなされた...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第40話

「湖水の底に沈めてあった石の箱を引き上げて、中にあった『御旗(みはた)』と『楯無(たてなし)』の宝物をすりかえたのは、たしかにあなたですね――これはお師匠さまりの千里眼の術ですでにわかっています。ですが、その宝物をあなたは一体だれに渡したの...
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