吉川 英治

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吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第119話

鏃師卜斎に姿を変えて、夜が明けないうちに竹生島を出るとしよう」卜斎は陣羽織を脱ぎ捨てると、手早く籠手の具足を外し、脛当ての鎖を脚絆(きゃはん)に変えて、旅の鏃師らしい姿に早変わりしました。そして蛾次郎に、「菊村宮内どのへ、ちょっと暇乞いをし...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第118話

すると、真っ赤な火独楽は、文字通り一条の火の矢となって、しかもピュッと恐ろしい唸りを上げ、鼻かけ卜斎の顔へ食いつくように飛んでいきました。「おお、これはッ?」と驚いた卜斎。切り下ろした厚重ねの大刀を持ち直す間もなく、火の玉のように宙を舞って...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第117話

「うむ」 と、卜斎一流の妖気がみなぎる含み気合いでそれをはねのけ、壁ぎわへ身を貼りつけると、「おお、おまえは鞍馬の竹童だな」 と、らんらんと瞳を射て、こちらの影を透かしました。 ハッと思って、竹童は自分の顔に気づきました。卜斎の鉄拳を食らっ...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第116話

そればかりでなく、今日のような場合でも、腹がたったら独楽で勝った者の言い分を通すなり、あるいは、あやまるということにすれば、なにも掴み合って湖水におぼれるまでの必要もなくなるであろう」 欲しいものは与えられ、しかも愉快な方法を教えてもらって...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第115話

あたり一面に、雪かとばかり白く散っていた、糸桜の花びらである。花びらの武器? なんになるのか蛾次郎にはわからない。「畜生、少し血が上っていやがるな」と見くびって拾い取った石礫を、ピューッと敵の眉間へ打ち放すと、竹童はすばやく身を沈めて指の先...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第114話

お粥の湯気を見ると、空腹で喉から手が出るほどだったはずなのに、蛾次郎はプンプンと怒った。「けっ、またお粥かよ、おじさん」「じっとしている間は、まあこれで我慢しなければいけないよ」「冗談じゃないぜ。俺なんて、裾野にいたときから、ずっと奈良や京...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第113話

その様子を見ると、彼はしばらくの間、病人となってこの可愛御堂に閉じこもっていたようです。だが、蛾次郎は布団の中に寝てこそいますが、もうすっかり全快した様子で、宮内の顔を見るや否や、ムックリと起き上がりました。そして、「おじさん、ひどいじゃな...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第112話

秀吉の部下を五、六十騎貸し出そう」「いえ、徳川の領地を通るのが恐ろしくて、秀吉殿の侍を借りてきたなどと言われては……」「うむ、それは武士の名折れというものか」「困難は、旅の道中だけではありませんから」「そうだな。天下は暗闇に包まれている――...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第111話

秀吉はそれを試して、滝川一益を手ひどく痛めつけたのだ。「これで伊勢はまずは片づけた。……つぎは柴田権六(しばたごんろく)だな。あいつもそろそろ、熊のように雪国の穴から首をだしかけてくるころだろう……」敵城を目の前にして、野風呂ですっかり体が...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第110話

だがよいわ、まさかに家康の領分まで、その軍兵がくっついてもいけないだろう。」「昌仙――」と呂宋兵衛(るそんべえ)もズルズルと下へ降りてきて、「徳川家へ取り入る算段とは、やっぱり何か、その伊那丸をおとりにして? ……」「こいつを利用しないのは...
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