宮沢 賢治

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ひかりの素足

初級翻訳・ひかりの素足 第4話

一郎はいつの間にか雪の中に座り込んでしまっていました。そして、一段と強く楢夫を抱きしめました。三、うすあかりの国けれども、けれども、そんなことはまるで、まったく夢のようでした。いつの間にか、冷たい針のような雪の粒もなんだかなまぬるくなり、楢...
ひかりの素足

初級翻訳・ひかりの素足 第3話

大丈夫だからさ、なあに、あと一里もないんだから」一郎も息をはずませながら言いました。けれども、実際ふたりとも急がずにいられなかったのです。目の前もくらむほどに急ぎました。あまりにも急ぎすぎたので、それは長くは続きませんでした。雪がいよいよひ...
ひかりの素足

初級翻訳・ひかりの素足 第2話

あいつらいつもなんだかんだって人をだますんだから」楢夫もようやく、泣きじゃくるだけになりました。けむりの中で泣いて目をこすったもんだから、目のまわりが真っ黒になって、ちょっと小さなタヌキのようになっていました。お父さんはなんだか少し泣きそう...
ひかりの素足

初級翻訳・ひかりの素足 第1話

一、山小屋 鳥の声があまりにもやかましいので、一郎は目をさました。 もうすっかり夜があけていたのだ。 小屋のすみから、3本の青い日光の棒がななめにまっすぐ、兄弟の頭の上をこえて、向こうの萱の壁にかかった山刀やはむばきを照らしていた。 土間の...
なめとこ山の熊

初級翻訳・なめとこ山の熊 第4話

と思った瞬間、小十郎は「ガーン!」と頭の中で大きな鐘が鳴り響いたような衝撃を受け、まわりの景色が一面まっ青になった。そして遠くの方で、こんな声を聞いたんだ。「おお、小十郎、おまえを殺すつもりはなかったんだ……」もうおれは死んでしまうんだな、...
なめとこ山の熊

初級翻訳・なめとこ山の熊 第3話

ところが、ある年の夏、こんなおかしなことが起こったんだ。小十郎が谷の川をチャプチャプと渡って、ある岩にのぼったときのこと、すぐ目の前の木に、大きな熊がまるで猫みたいにせなかをまるくして、スルスルとよじ登っていくのを見たんだ。小十郎はすぐに鉄...
なめとこ山の熊

初級翻訳・なめとこ山の熊 第2話

小十郎が、小屋のすぐ下にわき水があったことを思い出して、少し山を降りかけたら……びっくりしたことに、お母さん熊と、やっと一歳になるかならないくらいの小さな子熊の二匹が、ちょうど人間が額に手をあてて遠くを眺めるようなポーズで、うすい六日目の月...
なめとこ山の熊

初級翻訳・なめとこ山の熊 第1話

なめとこ山の熊のお話なら、とってもおもしろいよ。なめとこ山は、とっても大きな山なんだ。淵沢川(ふちざわがわ)という川は、そのなめとこ山から流れてきている。なめとこ山は、一年のうちの大ていの日は、つめたい霧や雲を吸ったり吐いたりしているんだ。...
とっこべとら子

初級翻訳・とっこべとら子 第2話

もう一杯飲んでいけよ、待てってば!」と言ったのですが、小吉はプイッと下駄(げた)をはいて表に出ていってしまいました。空はよく晴れていて、十三夜の月が空のまんなかにぽっかりと浮かんでいました。小吉が門を出ようとして、ふと足もとを見ますと、門の...
とっこべとら子

初級翻訳・とっこべとら子 第1話

おとら狐のお話は、みんなもよく知っているよね。おとら狐にもいろいろな思い出があったのかな、僕が知っているのは「とっこべ、とら子」っていうお話なんだ。「とっこべ」っていうのは苗字なのかな。「とら」っていうのは名前なのかなあ。そうすると、苗字は...
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