宮沢 賢治

スポンサーリンク
シグナルとシグナレス

初級翻訳・シグナルとシグナレス 第3話

信号機は唾を飲み込んだり、「ええ、ええ」と咳払いをしたりしていましたが、ようやく喉の痛みが治ったようで、もう一度シグナレスに話しかけました。けれど、この時は風がまるで熊のように吠え、まわりの電信柱たちは、山いっぱいの蜂の巣をいっぺんに壊して...
シグナルとシグナレス

初級翻訳・シグナルとシグナレス 第2話

やっぱり雷か、それとも噴火かな」本線の信号機は、今夜も眠れませんでした。とても悩み苦しんでいたのです。けれども、悩んでいたのは信号機だけではありませんでした。枕木の向こう側に、青白くしょんぼりと立って、赤い火を掲げている軽便鉄道の信号機、す...
シグナルとシグナレス

初級翻訳・シグナルとシグナレス 第1話

「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、  さそりの赤い目が 見えたころ、  四時から今朝も やって来た。遠野の盆地は まっくらで、  つめたい水の 音ばかり。ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、  凍った砂利に 湯気を吐き、  火花を闇に まき...
オツベルと象

初級翻訳・オツベルと象 第3話

そのうち、象の片足が塀からこちら側にはみ出しました。それからもう一本、足がはみ出します。五匹の象が一斉に塀からドッと落ちてきました。オツベルはピストルのケースを握りしめたまま、もうクシャクシャに潰れてしまいました。早くも門が開いて、「グララ...
オツベルと象

初級翻訳・オツベルと象 第2話

その日の午後、象は九百把もの薪を運び、目を細めて喜んでいました。晩方、象は小屋で八把の藁を食べながら、西の空の四日月を見て、「ああ、せいせいした。サンタマリア」と独り言を言ったそうです。その次の日のことです。「悪いんだが、税金が五倍になった...
オツベルと象

初級翻訳・オツベルと象 第1話

……ある牛飼いが語る物語です。第一日曜オツベルという男は、とんでもないやり手です。稲扱(いねこ)き機を六台も並べて、「のんのんのんのん」と、ものすごい音を立てながらフル稼働させています。十六人の百姓たちは、顔を真っ赤にして足で機械を踏みつけ...
どんぐりと山猫

初級翻訳・どんぐりと山猫 第3話

「よし、早く馬車の準備をしろ」白い大きなキノコで作った馬車が、引っ張り出されました。そこには、なんだかネズミ色をした、おかしな形の馬がつながれています。「さあ、おうちまでお送りしましょう」と山ねこが言いました。二人は馬車に乗り込み、別当はど...
どんぐりと山猫

初級翻訳・どんぐりと山猫 第2話

もうすぐどんぐりどもがやってくるでしょう。毎年この裁判には苦労するんですよ」山ねこは懐(ふところ)から紙巻きタバコの箱を取り出して、一本くわえると、「いかがですか?」と一郎にすすめました。一郎がびっくりして「いいえ」と断ると、山ねこは大人の...
どんぐりと山猫

初級翻訳・どんぐりと山猫 第1話

ある土曜日の夕方のこと、一郎の家に不思議なはがきが届きました。「かねた一郎さま 九月十九日きみ、元気そうでなによりだ。あした、ちょっと面倒な裁判をするから、おいでなさい。とび道具は持ってこないように。山ねこ 拝」こんな内容でした。字はとても...
よだかの星

初級翻訳・よだかの星 第2話

蜂すずめさんだってあんなに遠くにいるんですし、僕ひとりぼっちになってしまうじゃありませんか」「それはね、どうも仕方がないことなんだ。もう今日は何も聞かないでくれ。そしてお前もね、どうしても生きるために必要な時以外は、いたずらに魚を取ったりし...
スポンサーリンク