宮沢 賢治

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土神と狐

初級翻訳・土神と狐 第1話

(一)一本木の野原の、北のはずれに、少し小高く盛り上がった場所がありました。そこには、いのころぐさが一面に生えていて、その真ん中に一本の美しい樺(かば)の木が立っていました。決して大きな木ではありませんでしたが、幹は黒くつやつやと光り、枝は...
土神ときつね

初級翻訳・土神ときつね 第4話

その瞳は黒く、立派に輝いていました。樺の木はまた何とか返事をしようとしましたが、やはり何かがとても重苦しく、ただ小さく吐息をつくばかりでした。その時です。狐がやって来たのです。狐は土神がいるのを見ると、ハッとして顔色を変えました。けれど、今...
土神ときつね

初級翻訳・土神ときつね 第3話

土神は自分の祠のまわりを何度も何度も歩き回って、ようやく気が静まったのか、スッと姿を消して、氷が溶けるように祠の中へと入っていきました。(四)八月のある、霧の深い晩のことでした。土神は言いようのない寂しさと、どうしようもないイライラを感じて...
土神ときつね

初級翻訳・土神ときつね 第2話

それにもやっぱり赤や黄色といろいろある。分からんねえ」「狐さんにでも聞いてみたら、いかがでございましょう」樺の木は、うっとりと昨夜の星の話を思い出していたので、ついそう言ってしまいました。この言葉を聞いたとたん、土神は急に顔色を変えました。...
土神ときつね

初級翻訳・土神ときつね 第1話

(一)一本木の野原の、北のはずれに、少し小高く盛りあがった場所がありました。そこにはいのころぐさがいっぱいに生えていて、そのまん中には、一本のとても綺麗な女の人のような樺の木が立っていました。そんなに大きな木ではありませんでしたが、幹はてか...
双子の星

初級翻訳・双子の星 第5話

「私どもの不注意で、しばらく役目を欠かしてしまい、申し訳ございません。それにもかかわらず、今晩はご恩恵により不思議と助けていただきました。海の王様が、たくさんの尊敬をお伝えしてほしいと申しておりました。それから、海の底のヒトデたちが慈悲を願...
双子の星

初級翻訳・双子の星 第4話

今日からは、暗い海の底の泥をはいつくばって生きていきます」「さようなら、王様。そして天の上の皆さま。皆さまの栄えを祈っています」「さようなら、皆さん。そしてすべての上の尊い王様、いつまでもそのままでおいでください」赤いヒトデたちがたくさん集...
双子の星

初級翻訳・双子の星 第3話

「あかいめだまの さそり ひろげた鷲の  つばさ あおいめだまの 小いぬ、 ひかりのへびの とぐろ。オリオンは高く うたい つゆとしもとを おとす、 アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。大ぐまのあしを きたに 五つのばした  と...
双子の星

初級翻訳・双子の星 第2話

すぐに吐き出さないと!」チュンセ童子は黙って、傷口から六回ほど毒の混じった血を吸っては吐き出しました。すると大烏がようやく意識を取り戻し、うっすらと目を開けて言いました。「あ、どうもすみません。私はどうしたのですかな。たしか、あの野郎を仕留...
双子の星

初級翻訳・双子の星 第1話

双子の星 一 天の川の西の岸に、すぎなの胞子(ほうし)みたいに小さな二つの星が見えます。 あれはチュンセ童子とポウセ童子という、双子のお星さまが住んでいる小さな水精(すいせい)のお宮です。 この透き通るような二つのお宮は、まっすぐに向かい合...
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