山彦乙女

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初級翻訳・山彦乙女 第11話

しかし、その法令を持続させたのは彼だろう? たびたびの反柳沢運動にもかかわらず、彼の地位が揺るがず、甲府城主となり、大老などと自称するようになったのは、ひとえにそのおかげなのさ」「しかし、あの狂気じみた禁令は、むしろ彼の首を絞める縄になって...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第10話

当惑したように、口ごもって、なにやら身振りをするばかりだった。松室泰助は、しんこくに考えこむだけだし、正木重兵衛はしきりに説を立てるが、あまりに飛躍的であり、また矛盾が多かった。――要するに反抗でしょう、世間一般の俗習に抵抗することでしょう...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第9話

父と母のことですよ」「――わからないね」「ダメですよ、あなたはいまビクッとなさったし、僕の目が見られないじゃありませんか。何もかも知っているということが、お顔にちゃんと言葉として書いてありますよ」「失敬だが、帰ってくれないか」半之助は落ち着...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第8話

彼はぼんやりとそう思いました。しかし、彼の意識そこにずっととどまり続けることはありませんでした。すっぽんぽんになった女の肌の白さや、重たそうな肉体の丸み、驚くほど力強い腰まわり、そしてすでに少し印象がぼやけかけていながらも異様に美しい顔立ち...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第7話

「私のもので失礼しますけれど」彼女はそう言って、黙ったまま、じっとこちらの様子を見つめていました。「どうしたんだい?」半之助がそう言って顔を向けると、おなには寂しげにふっと笑い、首を横に振りました。小さな唇の間から、白い糸切歯がちらりと覗き...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第6話

そもそも僕のことを覚えていらっしゃらなかったんでしょう」「――そんなことないさ」「そんなことって、僕はそう思うんですからね」愛想よく微笑んではいましたが、その笑顔には明らかに棘(トゲ)が含まれていました。――ああ、あの笑い方だ。半之助はその...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第5話

「今日はご主人役でお疲れさまね」 彼女はそう言って、まっすぐにこちらを見上げながら、親しげにふふっと笑いかけました。「お友達がいらしたら、みんな連れていらっしゃいよ。美味しいごちそうをたくさん用意して待ってるから」「ありがとう、暑いのにどう...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第4話

もう子どもっぽいつまらない妖怪話などを信じる年齢ではありませんでしたが、この一連の出来事のあまりの異様さと、なんだかゾッとするような不気味さには、かなり強烈なショックを受けていました。――かんば沢。もちろん見たこともありませんでしたが、きっ...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第3話

昔はここで金属を溶かして何かを作っていたらしく、「いもじ」という地名は「鋳物師(いもじ)」と書くらしい、ということなどである。 「かんば沢へも、今年の冬には入ってみようと思っているんだ。遠くから見たところでは、木や草が茂りすぎていてとても近...
山彦乙女

初級翻訳・山彦乙女 第2話

表向きは普通の農家の地主で、特に立派な苗字もなく、代々の主人は「清左衛門(せいざえもん)」と名乗っていた。年貢の記録などを見ても、それほど広い土地を持っているわけでもなければ、昔から庄屋や戸長といった村の役職についたことも一度もなかった。し...
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