夢鬼

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夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第16話

(ダメだ――)黒吉は蒼白な額を、片手で拭いました。(ダメだ、ダメだ……)どうしたことか、今日に限って、あの空に浮かぶ「白昼の夢」が映らないのです。(俺に、予言の力がなくなっちまったのか……)あれほど恐れていた「白昼の妖夢」が、かえって期待に...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第15話

あの眠っている時も起きている時も忘れられない葉子のことすら、空へ飛び立つ一瞬で振り落としてしまうほど、怪しい雲にも似た幻影は、黒吉をグイグイと力強く四次元の宇宙へと引きずり込んでいくのでした。端的に言えば、いつしかそれは「予言の夢」となって...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第14話

おどかすなよ」「ほ、ほ、ほ! 葉ちゃんじゃなくて、がっかりさせちゃったかしら、お気の毒さま!」そう言って、いたずらっ子のように体全体でクスクスと笑ったのは、黒吉が期待していた葉ちゃんではなく、同じ劇団の女の子、薗道由子でした。「何がお気の毒...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第13話

そうした考えが、「さあ、どうなんだ、どうなんだ」と責め立てるように、黒吉を恐怖と深い悩みの泥沼へと、どんどん押し込んでいくのでした。「ちぇっ、もう勝手にしやがれ!」黒吉は、口の中にねっとりとたまった、重苦しい言葉を吐き捨てました。「僕が、こ...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第12話

すると突然、サーカス小屋の向こうから、楽隊(ジンタ)のにぎやかな演奏が始まりました。そして、どこか寂しくて、消えてしまいそうなクラリネットの音色が、「ここは御国を」といった聞き慣れたメロディを、一音一音ていねいに教え込むように吹き鳴らすのを...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第11話

それどころか、気のせいか、親方がときどき自分の方へ、冷たく疑うような視線を向けてくるような気がして、背中がゾクッと寒くなりました。「黒公。見つかったか? もっとも、こんな時間から探し始めて見つかるわけがないんだがな。おい、お前は一体、何を探...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第10話

もちろん、葉ちゃんの方へ飛び移るときなら、彼女の顔が見えても不思議はありません。しかし、彼女に完全に背中を向けて、命がけで反対側へ飛んでいるときにも、ごくぼんやりとではありますが、確かに葉ちゃんの顔が、まるで幻のようにテントの空中に浮かび上...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第9話

そして、仙次と入れ替わるように、安全ネットを持った裏方の人たちが、かっこいいハッピを着て三人ほど現れたところでした。黒吉は、思わず手のひらににじみ出た冷や汗を、交互にタイツの太もものあたりにゴシゴシとこすりつけました。(もし落ちたら、それで...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第8話

彼はすでに、このサーカス団で誰もが認める、文句なしの花形スター曲芸師になっていました。 十六歳といえば、サーカスの世界ではもう立派な一人前の大人です。 その上、他の誰にもできないような、空を飛ぶ恐ろしい大技を自分だけの得意技にしてしまったの...
夢鬼

初級翻訳・夢鬼 第7話

「どう? 痛い?」葉ちゃんは、黒ちゃんの顔をのぞき込みました。「ううん」黒ちゃんは、慌てて頭を振りました。「痛いもんか!」「だって、体が震えていたんだもの。なめた方が早く治るんだって、言ったでしょう?」傷口につばをつけることは、サーカス団の...
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