みんなはふるえあがって、森のなかへいちもくさんににげていきました。
そこで、四ひきはテーブルについて、のこっていたごちそうをうまそうに食べました。
それこそ、これからひと月ぐらいは、なにも食べられないとでもいうように、腹いっぱいつめこみました。
四ひきの音楽師はごちそうを食べおわりますと、あかりをけして、めいめいの生まれつきにしたがって、それぞれ寝ぐあいのいい場所をさがしました。
ロバは、きたないわらのつみあげてある上に横になり、犬は戸のうしろにねころびました。
ネコはかまどの上の、あたたかい灰のそばにまるくなり、オンドリは棟の横木の上にとまりました。
みんなは長いあいだ歩いて、つかれきっていたものですから、すぐにぐっすりねこんでしまいました。
真夜中すぎになって、どろぼうどもが遠くからながめますと、家のなかのあかりはもうついてはいませんでした。
それに、いやにしずかなようすです。
そこで、かしらがいいました。
「おれたちゃ、あんなにびっくりしなくてもよかったんだ」
そして、ひとりの手下をやって、うちのようすをさぐらせました。
手下がいってみますと、うちのなかはしーんとしずまりかえっています。
それで、台所へはいって、あかりをつけようとしました。
ところがそのとき、この男は火のようにもえているネコの目を炭火だとかんちがいして、その目にいきなりマッチをおしつけてしまいました。
けれども、ネコには、こんなじょうだんはわかりません。
それで、いきなり、どろぼうの顔にとびついて、つばをひっかけたり、ひっかいたりしました。
どろぼうは、びっくりぎょうてん、あわててうら口からにげだそうとしました。
ところが、そのとたん、そこにねていた犬が、どろぼうの足にかみつきました。
ますますあわてたどろぼうが、庭へとびだして、きたないわらのつんであるそばをかけぬけようとしますと、こんどはロバが、あと足でいやというほどけとばしました。
おまけに、オンドリも、このさわぎに目をさまして、横木の上から、
「コケッコー」
と、さけびたてました。
それから、どろぼうは、あとをも見ずに、むちゅうになって、かしらのところへとんでかえって、いいました。
「ああ、あのうちには、おっそろしい魔女がいますよ。
いきなり、あっしに息をふっかけたかと思うと、長い指であっしの顔をひっかきやがったんでさ」戸のまえには、ひとりの男が立っていて、小刀をあっしの足につきさしゃがる。
庭にはまた黒い怪物がねこんでいて、こん棒であっしをぶんなぐりますのさ。
おまけに、屋根の上には裁判官がいて、「そのわるものをつれてこい」と、どなりたてるしまつなんです。
とにかく、あっしゃ、ほうほうのていで、にげてきたんでさ。
」
それからというものは、どろぼうどもは、二度とこの家に近づこうとはしませんでした。
いっぽう、ブレーメンの四ひきの音楽師たちは、たいそうこの家が気にいって、もうここからでていこうとはしませんでした。
これは、じぶんで見たという人の口から、きいたばかりのお話なんですよ。
初級翻訳・ブレーメンの音楽師 第2話
グリム ヴィルヘルム・カール
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