初級翻訳・ワンダ・ブック――少年・少女のために―― 第24話

ホーソーン ナサニエル

というのは、できることならパンドーラの背後にしのび寄り、彼女が気づかないうちにその花輪を頭に投げかけてやろうと思ったからです。
しかしちょうどその時、彼はそこまで抜き足差し足で歩く必要もありませんでした。
彼がどんなに大きな足音を立てたとしても――大人のように、いや、象のようにと言いたいところですが――どしんどしんと歩いたとしても、パンドーラの耳には届きそうもなかったのです。
彼女は自分の考えにすっかり心を奪われていたからです。
彼が家に入った時、ちょうどその困った子は、箱の蓋に手をかけて、秘密の箱を開けようとしているところでした。
エピミーシウスは彼女の様子を見ていました。
もし彼が声をかけていたら、パンドーラはきっと手を引っ込めて、箱のおそろしい秘密を知らずに済んだことでしょう。
しかしエピミーシウスは、あまり口には出しませんでしたが、自分でもやはり、その中に何が入っているのか知りたいという気持ちがあったのです。
パンドーラがいよいよ秘密を暴こうと決心したのを見て、彼の方でも、この家の中でそれを知っているのがパンドーラだけであってたまるものか、と思ったのでした。
それに、もし箱の中に何かきれいなものや価値のあるものが入っていたら、彼もその半分は自分がもらうつもりでした。
こんなわけで、パンドーラに向かって好奇心を持ってはいけないと真面目くさってお説教をしておきながら、エピミーシウスも彼女と同じように愚かなことを考え、この失敗については彼も彼女と変わらない責任があることになってしまったのです。
ですから私たちは、この出来事についてパンドーラを責める時にはいつでも、エピミーシウスに対しても同じように不満を抱くことを忘れてはなりません。
パンドーラが蓋を持ち上げた時、家の中はひどく暗く、陰気になってきました。
黒雲がもうすっかりお日様を隠してしまい、まるで太陽を生埋めにしてしまったかのように見えたからです。
少し前から、低い唸り声や、つぶやきのような音が聞こえていましたが、急にそれが大きな雷鳴となって轟き渡りました。
しかしパンドーラはそんなことには一向にかまわず、蓋をほとんどまっすぐに持ち上げて、中をのぞき込みました。
何かが急に、翼の生えた生き物の群れとなって、彼女のそばをかすめて箱から飛び出したような気がしたのと同時に、エピミーシウスが悲しそうな調子で、何だか痛そうに叫ぶのが聞こえました。
「ああ、僕、刺されちゃった!」と彼は叫びました。
「僕、刺されちゃった! 意地悪なパンドーラ! どうして君はこのおそろしい箱を開けたんだ?」
パンドーラは蓋を下ろして、びっくりして立ち上がり、エピミーシウスに何が起きたのかとあたりを見回しました。
夕立雲のために部屋がとても暗くなっていたので、彼女には中の様子があまりはっきりとは見えませんでした。
しかし、何だかとてもたくさんの大きなハエか、大きな蚊か、あるいは私たちがカブトムシやハサミムシと呼んでいる虫のようなものが飛び回っているような、「ブーン」という嫌な羽音が聞こえました。
そして、彼女の目が薄暗がりに慣れてくると、コウモリのような翼をして、とても意地が悪そうな、お尻に恐ろしく長い針を持った、嫌な小さな生き物がたくさんいることが分かりました。
エピミーシウスを刺したのは、そのうちの一匹だったのです。
まもなくパンドーラもまた、エピミーシウスに負けないくらい痛がったり怖がったりして悲鳴を上げ始めましたが、その騒ぎ方はずっとひどいものでした。一匹の小さな怪物が彼女の額にとまっていました。もしもエピミーシウスが飛んで行って、それを払いのけてあげなかったら、彼女はどれほど深く刺されていたかわかりません。

さて、その箱から逃げ出したこれらの嫌なものたちが一体何だったのか、君たちが知りたがるなら、それはこの世のあらゆる「わざわい」の全一族だった、と僕は答えなければなりません。その中には、悪い「情欲の虫」もいました。とてもたくさんの種類の「心配の虫」もいました。百五十以上の「悲しみの虫」もいました。みじめで痛々しい姿をした、数え切れないほどの「病気の虫」もいました。それから、「いたずらの虫」の類に至っては、お話にならないほどたくさんいたのです。

つまり、その時から今日まで人間の心や体を苦しめてきたものは、すべてその秘密の箱の中に閉じ込められていたのでした。大切に取っておくようにと言ってエピミーシウスとパンドーラに渡されたのも、世の中の子供たちがそんなものに苦しめられることのないようにしたかったからなのです。もしも彼らが頼まれた通りにしていたならば、万事うまくいっていたことでしょう。その時から今に至るまで、悲しい思いをする大人もいなかったはずですし、子供たちだって涙を一滴こぼすことさえなかったはずなのです。

しかし――これを見ても、誰か一人でも間違ったことをすれば世間全体が迷惑するということが君たちにもわかるでしょうが――パンドーラがそのとんでもない箱の蓋を開けたこと、そしてエピミーシウスがそれを止めなかったという過ちによって、これらの「わざわい」が私たちの間に足がかりを得てしまい、急には追い払うことができなくなってしまったのです。

というのも、君たちにもたやすくわかる通り、この二人の子供は、その嫌な虫たちの群れを自分たちの小さな家の中に閉じ込めておくことができなかったからです。それどころか、彼らはそんなものは早く出て行ってほしかったので、何よりも先に戸口と窓をあけ放してしまいました。すると案の定、その翼の生えた「わざわい」たちはみんな外へ飛び出していき、そこいら中の子供たちをひどく苦しめ悩ませたので、その後何日もの間、彼らの誰もが一度もニコリともしなかったほどでした。

それから、大変不思議なことには、これまでどれ一つとして萎れたことのなかった草花や、露を帯びた花までもが、今度は一日二日経つとだらりと垂れ下がり、花びらが散りはじめました。その上、今まではいつまでも小さいままでいそうに思われた子供たちが、今度は一日一日と年を取って、まもなく青年や年頃の娘になり、やがては大人になり、そんなことは夢にも思わないうちに、じいさんやばあさんになってしまいました。

さて、どうしようもなくなったパンドーラと、それに負けないくらいのエピミーシウスは、家の中にじっとしていました。彼らは二人ともひどく刺されて大変痛かったのですが、それが世界始まって以来感じられた最初の痛みであっただけに、彼らには一層耐え難いものに思われました。言うまでもなく、彼らは苦痛にはまるで慣れていなかったので、それが何のことやらわけがわかりませんでした。

そこへもってきて、彼らは二人とも自分自身に対して、そしてお互いに対しても、ひどく不機嫌になっていました。思い切りその不機嫌に浸るために、エピミーシウスはパンドーラに背中を向けて、部屋の隅でふくれっ面をして座っていました。一方パンドーラは、床の上に身を投げ出して、頭をあの恐ろしくて嫌な箱の上に乗せていました。彼女はひどく泣いて、胸も張り裂けそうにすすり上げていました。

不意に、箱の蓋を、中から静かに、低く叩く音がしました。

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