初級翻訳・人魚の嘆き 第8話

人魚の嘆き

あなたがこの後、西洋へ行かれることがあったなら、きっと南ヨーロッパのイタリアという、美しい中でも特に美しい、まるで絵のような景色の国を訪れることでしょう。
そのときもし、船に乗ってメッシナの海峡を通り過ぎ、ナポリの港の沖合を通ることがあったなら、その辺りこそ私たち人魚の一族が、大昔から住んでいる場所なのです。
昔は船乗りたちがその近くの海を通ると、この世のものとは思えないほど素晴らしい人魚の歌声がどこからともなく響いてきて、いつの間にか彼らを底知れぬ水の深い場所へ誘い込んだと言われています。
――私はこんなにも懐かしい自分の家がありながら、ちょうど去年の四月の終わり、暖かい春の潮に乗せられて、ついうっかり南洋の島国まで迷い込んでしまったのです。
そして、ある浜辺のヤシの葉の陰でヒレを休めていたところを、悔しいことに人間に捕まってしまい、アジアの国々の市場という市場で、恥ずかしい肌をさらすことになりました。
貴公子さま、どうぞ私を哀れんで、一刻も早く私の体を、広々とした自由な海へ返してください。
たとえ私がどんなにすごい不思議な力を持っていても、こんな窮屈な水瓶の中に閉じ込められていては、どうすることもできないのです。
私の命も、私の美しさも、だんだんと衰えていくだけなのです。
あなたがどうしても人魚の魔法をご覧になりたいと思うなら、どうぞ私を恋しい故郷へ帰してください!」

「お前がそんなに南ヨーロッパの海を恋しがるのは、きっとお前に恋人がいるからだろう。
地中海の波の底に、お前と同じ人魚の姿をした美しい男が、昼も夜もでお前を待ち焦がれているのだろう。
そうでなければ、お前がこれほど私を嫌がるはずがない。
情けなくも私の恋を振り捨てて、故郷へ帰るなんて道理がない!」

貴公子が恨みがましい言葉を口にする間、人魚は神妙な様子で目を閉じ、うなずきながら耳を傾けていましたが、やがてしなやかな両手を伸ばしながら、しっかりと貴公子の肩をつかみました。

「ああ、あなたのような世にも珍しい気高い若さまを、私がどうして嫌うことができましょう。
どうして私が、あなたを愛さずにいられるような、冷酷な心を持っているでしょうか。
私があなたに恋い焦がれている証拠に、どうぞ私の胸の鼓動を聞いてください……!」

人魚はひらりと尾っぽをひるがえし、水瓶のフチへと背中をもたれかけさせたかと思うと、上半身を弓のように後ろへ反らせ、ポタポタと雫が落ちる長い髪を床に引きずりながら、まるで木にぶら下がるサルのように下から貴公子の首を抱え込みました。

すると不思議なことに、人魚の肌に触れている貴公子の首筋は、まるで氷をあてられたような寒さを覚え、みるみるうちにその場所が凍えてしびれていくのです。
人魚が彼をきつく抱きしめる力が強くなればなるほど、雪のように白い皮膚に含まれていた冷たい氷の気は、貴公子の骨に染み込み、骨の髄まで突き抜けて、紹興酒の酔いで熱くなっていた全身を、あっという間に感覚のない状態にしてしまいました。
その冷たさに耐えきれず、あわや貴公子が凍え死にそうになるその一瞬、人魚は彼の手首を押さえつけて、それをゆっくりと自分の心臓の上に置きました。

「私の体は魚のように冷たくても、私の心臓は人間のように温かいのです。
これが私の、あなたを愛しているという証拠です」

彼女がそう言ったとき、ふと貴公子の手のひらは、まるで一塊の雪の中で、炎々と燃え盛る火のような熱さを感じました。
ちょうど人魚の左胸をなでていた彼の指先は、その肋骨の下で勢いよく脈打つ心臓の生命力を受けて、危うく動きを止めようとしていた体中の血管に、再び生き生きとした血の巡りを起こさせたのです。

「私の心臓はこんなにも熱く、私の情熱はこんなにも激しく湧き上がっているのに、私の皮膚は絶える間もなく、忌々しい寒さに震えています。
そしてたまに、麗しい人間の姿を眺めてみても、人魚に生まれた浅ましさゆえに、生まれながらの運命の報いによって、その人を愛することを永遠に禁じられているのです。
私がいかにあなたを慕い、憧れても、神様に呪われて海の魚へと落とされた身の上では、ただ欲望の炎に狂い、妄想の奴隷となって、悶え苦しむことしかできないのです……」貴公子よ、どうか私を大海原の家へ帰して、このつらさと恥ずかしさから助け出してください。
青くて冷たい波の底に隠れてしまえば、私は自分の運命の、あまりの悲しさや辛さを忘れることができるでしょう。
この願いだけでも聞いてくださるなら、私は最後のご恩返しに、あなたの前で不思議な力を見せてあげましょう!」
「おお、どうかお前のその不思議な力を見せてくれ。
その代わりには、私はどんな願いでも聞いてあげよう!」
と、貴公子がうっかり口をすべらせると、人魚は本当にうれしそうに、両手を合わせて何度も頭を下げながら、
「貴公子よ、それでは私はこれでお別れをいたします。
私が今、魔法を使って姿を変えてしまったら、あなたはきっとそれを後悔なさるでしょう。
もしあなたが、もう一度人魚を見たいと思うなら、ヨーロッパ行きの船に乗って、船が南の海(赤道直下)を通るとき、月のきれいな夜に、人に見られないように甲板の上から私を海へ逃がしてください。
私はきっと、波の間に再び人魚の姿を現して、あなたにお礼を言うでしょう!」
そう言ったかと思うと、人魚の体はクラゲのようにぼんやりと透き通っていき、まるで氷が溶けるように消えてしまいました。そのあとには、二尺から三尺ほどの小さな海蛇が、水瓶の中を浮き沈みしながら、緑青色の背中をピカピカと光らせて泳いでいたのです。
人魚の教えに従って、貴公子が香港からイギリス行きの船に乗ったのは、その年の春の初めのことでした。
ある夜、船がシンガポールの港を出て、赤道の上を走っているとき、甲板を明るく照らす月明かりを浴びながら、誰もいない船の端へと歩み寄った貴公子は、そっと胸ポケットから小さなガラスの瓶を取り出し、中に入っていた海蛇をつまみ上げました。
蛇はまるで別れを惜しむように、二度三度と貴公子の手首にからみつきましたが、しばらくすると彼の指先から離れ、油のように穏やかな海の上を、しばらくスルスルと滑るように進んでいきました。
そして、月の光をキラキラと砕いている黄金色の波をかき分け、小さなウロコをピカピカと光らせながらうねりながら進むうちに、いつの間にか水の中へと姿を消してしまいました。
それから五、六分ほど過ぎたときのことでした。
はるか遠くの広大な海で、一番まぶしく、一番鋭く光っている水面に、銀色のしぶきをざんぶと上げて、まるでトビウオが跳ねるように、力強く体をひるがえす生き物がいました。
まるで空のお月様が海に落ちてきたのではないかと疑うほど、まばゆく輝く妖しい姿にびっくりして、貴公子がそちらを振り向いたその瞬間、人魚はすでに体の半分以上を波の中に沈め、両手を高くかざしながら、「ああ!」と一声あげて、くるくると水の渦を巻きながら沈んでいったのです。
船は、貴公子の胸の奥に残された一筋の希望を乗せたまま、恋しくなつかしいヨーロッパの方へ、人魚の故郷である地中海の方へと、少しずつ航路を進めていくのでした。

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