すると、波は高く打ち寄せ、海の向こうは雲の切れ間から青い空が見える一方で、黒い雲が渦を巻いていて、今にも嵐になりそうな、ものすごい景色でした。
「また降ってきたぞ。早く帰ろう」
とお父さんは言いました。
二人は急いで海辺の町を離れ、自分たちの村を目指して帰っていきました。
その日の夜から、ひどい雨と風になりました。
二日二晩、暖かい風が吹いて雨が降り続けたので、積もっていた雪はほとんど溶けてなくなってしまいました。
その嵐が過ぎ去ると、とてもいい天気になりました。
春が、とうとうやってきたのです。
寂しかった北の国に、待ちに待った春が訪れました。
小鳥たちがどこからともなく飛んできて、木の枝に止まってチチチと鳴き始めました。
庭の木々も芽を出し、花のつぼみは日に日に大きくなっていきました。
おじいさんは、相変わらずコタツに入って過ごしていました。
「あんなに元気だったおじいさんが、ずいぶんと弱くなってしまわれたねぇ」
と、家族のみんなは心配そうに話していました。ある日のこと、太郎くんが野原へ行ってみると、雪がとけたあとの地面から、ツクシがすくすくと何本も頭をのばしていました。
それを見たとき、太郎くんは、いつか雪の降る夜に見た、あの赤いロウソクの火がともっていた、不思議でどこか気味の悪い景色を思い出したのでした。
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